OnePlus Buds Pro 2

総合評価
3.5
科学的有効性
0.7
技術レベル
0.8
コストパフォーマンス
0.4
信頼性・サポート
0.8
設計思想の合理性
0.8

48dBのノイズキャンセリング機能とDynaudio監修の音質調整を特徴とするワイヤレスイヤホンですが、測定性能では同価格帯の競合製品に対し優位性を示せていません

概要

OnePlus Buds Pro 2は、OnePlusが2023年に発表したプレミアムワイヤレスイヤホンです。11mmダイナミックドライバーと6mmプラナー磁気ドライバーのデュアル構成を採用し、Danish Hi-Fiブランド「Dynaudio」の音響調整を受けています。最大48dBのアダプティブノイズキャンセリング機能、LHDC 5.0コーデック対応、最大39時間の連続再生時間を誇ります。日本市場での正確な販売価格については、Amazon.co.jpなどで確認可能ですが、グローバル市場では177 USD程度で販売されています。

科学的有効性

\[\Large \text{0.7}\]

OnePlus Buds Pro 2は測定性能において中程度の科学的有効性を示しています。RTINGSの測定によると、周波数特性は低音部で顕著な増強が見られ、バランスEQ設定でも低音域で+6dB程度のブーストが確認されており、20Hz-20kHz範囲で±1dB以内の透明レベルからは大きく逸脱しています。中音域では約2-3dBの後退が測定され、高音域でも軽微な減衰が見られます。ノイズキャンセリング性能は最大48dBと公称されており、これは理想的な40dB以上の基準を上回る数値です。しかし、実際の音響透明度の観点から見ると、測定された低音増強により中音域が後退し、楽器やボーカルの明瞭度が損なわれています。Bluetooth 5.3とLHDC 5.0コーデック対応により高品質な伝送は可能ですが、音響特性の調整が科学的な忠実度よりも主観的な味付けを重視した設計となっています。

技術レベル

\[\Large \text{0.8}\]

技術面では高い水準を示しています。11mmダイナミックドライバーと6mmプラナー磁気ドライバーによる同軸デュアル構成は、従来の単一ドライバー設計を超える技術的アプローチです。プラナー磁気ドライバーの40kHzまでの高域拡張は、従来のダイナミックドライバーでは困難な領域をカバーしています。3つのノイズキャンセリングチップと4マイクシステムによる48dBの最大ノイズ低減は、技術的に優秀な実装です。LHDC 5.0コーデック対応と1Mbpsの高ビットレート伝送も最新技術を活用しています。ただし、これらの先進技術が最終的な音響性能において必ずしも測定可能な優位性として現れていない点で、技術投入の効率性に改善の余地があります。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.4}\]

コストパフォーマンス評価では課題があります。OnePlus Buds Pro 2のグローバル市場価格は177 USD(約26,000円換算)ですが、同等以上の機能と測定性能を持つSoundcore Liberty 4 NCが約70 USD(約10,500円)で入手可能です。Liberty 4 NCは同様のアダプティブANC機能、ハイレゾワイヤレス対応、IPX4防水性能を備え、RTINGSの測定ではより中性的な周波数特性を示しています。計算式:10,500円 ÷ 26,000円 = 0.40となり、四捨五入で0.4のスコアとなります。OnePlus Buds Pro 2は同等機能の製品に対し2倍以上の価格設定となっています。Dynaudio監修のブランド価値を除けば、純粋な性能対価格比では競争力が不足しています。

信頼性・サポート

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OnePlusの製品サポート体制は良好です。ファームウェア更新は定期的に提供されており、RTINGSでも最新のファームウェア186.186.101での再測定が行われています。IP55の防塵防水性能は日常使用に十分対応しており、ケース込みで39時間の長時間バッテリー性能も実用性が高いです。OnePlusの製品は一般的に故障率が低く、保証期間内のサポート対応も迅速です。Bluetooth 5.3による接続安定性も良好で、マルチポイント接続も安定動作します。長期的な信頼性については、同社の過去製品から判断すると業界平均以上の水準を維持しています。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.8}\]

設計アプローチは概ね合理的です。デュアルドライバー構成によるクロスオーバー設計は音響工学的に理にかなっており、プラナー磁気ドライバーの高域担当は技術的に適切な選択です。ANCシステムの4マイク配置と適応制御も現代的なアプローチです。ただし、最終的な音響調整においてDynaudionの関与により主観的な味付けが加えられ、測定データの透明レベル達成よりも「聴感的な好み」を優先した設計となっています。この点で科学的な忠実度追求という観点では一部非合理な側面があります。一方、TWS市場における差別化と実用性のバランスを考慮すれば、商業的には合理的な判断と言えます。

アドバイス

OnePlus Buds Pro 2は技術的な先進性とブランド価値を重視するユーザーには魅力的な選択肢です。特にDynaudionブランドに価値を見出し、低音強調型のサウンドシグネチャーを好むユーザーには適しています。しかし、純粋な測定性能とコストパフォーマンスを重視する場合は、Soundcore Liberty 4 NCなどの代替製品の検討をお勧めします。177 USDという価格設定は、同等機能の製品と比較すると割高感があります。科学的な音響忠実度を最優先とするユーザーには、より中性的な周波数特性を持つ製品が適しているでしょう。ノイズキャンセリング性能は優秀なため、通勤や出張での使用には十分な実用性があります。購入前にEQアプリでの調整可能性も確認することをお勧めします。

(2025.7.15)