64 Audio
tiaチューブレス設計、Apex圧力緩和、LIDインピーダンス補正など複数の独自技術を持つ米国のIEMメーカー。主力モデルは1,699–3,599 USD。
概要
64 Audioは米国拠点のインイヤーモニターメーカーで、プロミュージシャン/オーディオファン向けにカスタムおよびユニバーサルIEMを展開しています。製品はコンパクトなハイブリッドから18ドライバー級フラグシップまで幅広く、独自のtia(チューブレス構造)、apex(エア圧緩和+受動遮音)、LID(リニア・インピーダンス・デザイン)を中核技術として打ち出しています。設計・組立・QCは米国で実施されています。
科学的有効性
\[\Large \text{0.7}\]apexモジュールは−10 / −15 / −20 dBと遮音量を明示し、圧力緩和と遮音のバランスを定量的に提示しています [1][3]。LIDは出力インピーダンス差による周波数応答の変動を抑えるための補正回路として説明され、スマホやDAP、ボディパック間での音色一貫性を狙います [4]。U12tについては、IEC-711/GRAS系の測定に基づく第三者の周波数特性データとapexモジュール別の応答比較が公開されています [5][6]。一方、全ラインナップを網羅する歪み・遮音の第三者データは限定的で、ヘッドホンの透明性基準(例:THD <0.05%、受動遮音30 dB以上相当)に対する全社水準での完全検証には至っていません。
技術レベル
\[\Large \text{0.9}\]tiaはチューブやダンパー起因の共振を避ける単一ボア+オープンBAの構成で、IEMの音響設計を実装面から再設計したアプローチです [2]。apexは密閉耳道での圧力問題に取り組みつつ遮音性能を明示し [1][3]、LIDはソース差で起こる実用上のトナーリティ変動を抑える設計です [4]。いずれもメカニズムと結果の因果を説明しており、短期での模倣が難しいノウハウに基づいています。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.1}\]企業レビューとしてのCPは、代表的現行モデルを選び、各モデルを「同等以上の機能・測定性能を満たす世界最安の製品」と比較した値の平均で算出します。
透明性重視のユース(有線、着脱式ケーブル、強力な受動遮音、フラット志向の周波数応答)に対しては、Etymotic ER2SE(通常価格 149.99 USD)が該当します。ER2SEは有線UIEMで着脱式ケーブル、35–42 dBの受動遮音(メーカー公称)とフラット志向のチューニングを備え、透明性の観点で機能・測定軸が同等以上と判断できます [7]。
代表モデルと現行価格(USD):
- U4s – 1,099 USD [8]
- Nio – 1,699 USD [1]
- U12t – 1,999 USD [9]
CP計算(CP = MIN(1.0, 最安同等品価格 ÷ 対象製品価格))
U4s: 149.99 ÷ 1,099 = 0.14/Nio: 149.99 ÷ 1,699 = 0.09/U12t: 149.99 ÷ 1,999 = 0.08
上記を同率重みで平均し、企業CP ≈ 0.10。これをスコアに反映しています。価格は各社公式で確認しました [1][7][8][9]。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.8}\]米国内製造とディーラー網に基づくサポート体制を持ち、apexモジュールは現場交換が可能です。専業メーカーとしての対応品質は高い一方、家電大手ほどの拠点網はありません。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.8}\]共振(tia)、耳道圧(apex)、ソース差起因の周波数応答変動(LID)という可測・可説明な課題を定義し、その解決策を提示しています。レビューや技術ページではメカニズムと結果が結び付けられ、主観に依存しない合理的な姿勢が見られます [2][3][4][5][6]。
アドバイス
apexの圧力緩和(遮音モジュール選択)やLIDによるソース間一貫性などの固有価値を重視するなら64 Audioは有力候補です [1][3][4]。一方で、価格当たりの透明性や強力な受動遮音を最優先する用途では、例えばEtymotic ER2SEのような選択肢が大幅に低価格で要件を満たします [7]。64 Audioの中ではU12tが第三者のFRデータで裏付けられた堅実な万能型 [5][6]、U4s/Nioはapexでの遮音・低域感の調整性を価格とトレードオフする位置付けです [1][8]。
参考情報
[1] 64 Audio — Nio 製品ページ(価格・仕様・apex遮音値)。2025-08-26(UTC+8)確認。https://www.64audio.com/products/nio
[2] 64 Audio — tia 技術ページ。2025-08-26(UTC+8)確認。https://www.64audio.com/pages/tia
[3] 64 Audio — apex 技術/モジュール。2025-08-26(UTC+8)確認。https://www.64audio.com/pages/apex
[4] 64 Audio — LID(Linear Impedance Design)ページ。2025-08-26(UTC+8)確認。https://www.64audio.com/pages/lid
[5] Headphones.com — “64 Audio U12t Review – The Consummate All-Rounder”(FR測定、モジュール比較)。2020-11-16。https://headphones.com/blogs/reviews/64-audio-u12t-review-the-consummate-all-rounder
[6] GoldenSound — “64 Audio U12T In-Ear Monitor Review and Measurements”(GRAS 43AG測定)。2023-01-15。https://goldensound.audio/2023/01/15/64-audio-u12t-in-ear-monitor-review-and-measurements/
[7] Etymotic — ER2SE 製品ページ(フラット志向、35–42 dB遮音、通常価格149.99 USD併記)。2025-08-26(UTC+8)確認。https://etymotic.com/product/er2se-earphones/
[8] 64 Audio — U4s 製品ページ(価格・仕様)。2025-08-26(UTC+8)確認。https://www.64audio.com/products/u4s
[9] 64 Audio — U12t 製品ページ(価格・仕様)。2025-08-26(UTC+8)確認。https://www.64audio.com/products/u12t-1
(2025.8.25)