Focusrite

総合評価
4.2
科学的有効性
0.9
技術レベル
0.8
コストパフォーマンス
0.8
信頼性・サポート
0.8
設計思想の合理性
0.9

英国の総合オーディオ企業で、13ブランドを展開。RedNet技術でプロ品質を民生価格で実現。

概要

Focusrite は1985年に伝説的コンソール設計者Rupert Neve氏により英国で創業されたオーディオインターフェース専門メーカー。George Martin氏からの依頼でAIR Studioのカスタムコンソール用プリアンプを開発したことから始まり、ISA(Input Signal Amplifier)で名声を確立した。現在はFocusrite PLCとして8ブランドを展開し、「オーディオインターフェースの製造のみに特化、それが世界最高水準である」と明言している。Scarlett Gen 4では同社プロ機材RedNetシリーズのコンバーターを採用し、40年間の技術蓄積を活かした製品展開を行っている。

科学的有効性

\[\Large \text{0.9}\]

Scarlett 18i20 Gen 4(ダイナミックレンジ122dB、THD+N -100dB、24bit/192kHz対応)は透明レベル(105dB)を上回る優秀な測定性能を実現。プロ機材RedNetシリーズのコンバーターを採用により、24bit/192kHz対応で可聴域全体での透明性を確保。69dBのマイクプリアンプゲインは-95dBのTHDを維持し、科学的に優秀な性能。従来のScarlett 3rd Genから大幅な性能向上を実現しており、測定結果基準表の透明レベルを全項目で満たす。ESS Sabre32 Ultra DACテクノロジーも数千ドルクラスの高級機と同等の技術を採用。

技術レベル

\[\Large \text{0.8}\]

40年間の技術蓄積により、マイクプリアンプ設計では業界最高水準の技術を保有。ISAプリアンプの設計思想を継承し、低ノイズかつ高ゲインのアナログ回路技術を確立。RedNetコンバーターの下位機種への展開は技術的に意義深く、プロ機材の技術を民生機器に適用する戦略が成功。ASIO ドライバーの最適化も優秀で、低レイテンシー実現に貢献。ただし基本的にはESS等の既製DAC/ADCチップを使用しており、独自開発技術は限定的。クロック精度等の詳細技術は非公開。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.8}\]

Scarlett 18i20 Gen 4(市場価格600-700USD程度、ダイナミックレンジ122dB、RedNetコンバーター搭載)に対し、RME Babyface Pro FS(750USD程度、同等測定性能)と比較してCP優位性がある。より顕著なのはMOTU M4(220USD、ESS Sabre32 Ultra搭載)との比較で、I/O数の違いを考慮してもScarlettの優位性は明確。特にScarlett 2i2 Gen 4(200USD)クラスでは同等性能の競合製品が少なく、CPは非常に良好。プロ機材技術の民生機器への展開戦略により、測定性能に対するコスト効率が高い。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.8}\]

40年間の事業継続実績と世界的な市場シェアは信頼性の証左。Scarlettシリーズの長期サポート実績も良好で、Gen 1から現在まで継続的なドライバー更新を実施。3年保証が標準で業界平均を上回る。英国本社による技術サポートは迅速で、日本でも正規代理店による充実したサポート体制が整備されている。製品の長期使用実績も良好で、Scarlett 2i2は「at-home recording studio revolutionの象徴」として10年以上の実績を持つ。ファームウェア更新も定期的に実施され、最新OS対応も迅速。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.9}\]

「オーディオインターフェースの製造のみに特化」という明確な企業戦略により、測定性能と実用性を両立した極めて合理的な設計思想。RedNetコンバーターの下位機種への展開は、プロ機材の技術を民生機器に適用する科学的に正しいアプローチ。マイクプリアンプの低ノイズ化、高ゲイン化も録音品質向上に直結する合理的技術選択。ASIOドライバーの最適化によるレイテンシー低減も実用性重視の設計思想を反映。唯一の課題は「音楽性」等の主観的要素への言及だが、実際の製品設計は測定性能を重視した科学的アプローチが貫かれている。

アドバイス

Focusriteグループは13ブランドで幅広い製品展開を行う総合オーディオ企業。オーディオインターフェース(Focusrite)、シンセサイザー(Sequential、Oberheim、Novation)、モニタースピーカー(ADAM Audio)、PAシステム(Martin Audio)等で市場をリード。Scarlettシリーズは同社の中核製品で、特に2i2(個人用)から18i20(スタジオ用)までのラインナップは業界標準として確立。RedNetコンバーター技術の下位機種への展開で、プロ品質を民生価格で実現している。競合はRME、MOTU、Presonus等だが、RedNet技術で技術的優位性を維持。

(2025.7.8)