Kiwi Ears

総合評価
3.2
科学的有効性
0.8
技術レベル
0.7
コストパフォーマンス
0.4
信頼性・サポート
0.7
設計思想の合理性
0.6

Linsoul Audio傘下のIEMブランド。ハンドメイドと二段階QCを特徴とし、Orchestra Liteなど多BA機で堅実な完成度を示します[1][2]。ただし、同等以上の測定性能を持つ有線IEMがより安価に入手でき、企業としてのコストパフォーマンスは最大評価には至りません。

概要

Kiwi Earsは、ハンドメイド製造と二段階品質検査を掲げる中国のIEMブランドで、CadenzaからOrchestra系まで幅広い価格帯の製品を展開します。代表作の一つであるOrchestra Liteは8BA構成で、第三者の周波数特性測定でもニュートラル寄りの応答が確認されています[1][2]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.8}\]

周波数特性の第三者測定が公開され、設計意図どおりのニュートラル傾向が確認できます[2]。左右マッチング検査などのQC体制も公表されています[1]。ただし各モデルの詳細THDやIMDなど網羅的な測定公開は限定的で、製品個別の科学的検証度合いはばらつきがあります。

技術レベル

\[\Large \text{0.7}\]

多BAやハイブリッド構成の実装、筐体のハンドメイド加工、QCの徹底など、開発・製造の成熟度は業界平均を上回ります[1]。一方で、根源的な新規方式やDSP統合などの先進性は限定的です。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.4}\]

企業全体の実勢感を代表してOrchestra Lite(249 USD)を基準とし、Moondrop Aria 2(99.99 USD)等価以上(有線IEM、THD≤0.05% @1kHz(公称)、有効周波数特性20Hz–20kHz(IEC60318-4, −3dB))として比較します[2][4][5]。
計算:99.99 USD ÷ 249 USD = 0.40 → スコア 0.4
同等以上の測定性能を持つ低価格製品が存在するため、企業としてのCPは最大とは言えません。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.7}\]

本体1年・ケーブル3ヶ月の保証、二段階QC(左右チャンネルの周波数マッチング含む)が明記されています[1]。流通はLinsoul経由が中心で、国際配送や梱包品質の評価も一定水準です。長期故障統計は限定的なため最高評価には至りません。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.6}\]

可聴域での整合を重視した受動クロスオーバーと多BA分担という堅実なアプローチは合理的です[1][2]。一方で、DSP等を活用したコスト効率化や機能拡張への踏み込みは限定的です。

アドバイス

ニュートラル志向のIEMを求め、ハンドメイドの仕上げやQC体制を重視するユーザーに適しています。価格面の合理性を厳格に求める場合は、等価以上の測定性能を持つ低価格モデル(例:Aria 2)も必ず比較検討してください[4][5]。

参考情報

[1] Kiwi Ears, “Kiwi Ears Orchestra Lite,” https://kiwiears.com/products/kiwi-ears-orchestra-lite(アクセス日:2025-08-20)
[2] headphones.com, “Kiwi Ears Orchestra Lite Review(FR測定),” https://headphones.com/blogs/reviews/kiwi-ears-orchestra-lite-review-the-return-of-multi-ba-midrange-iem(2023-05-20)
[3] Bloom Audio, “Kiwi Ears Orchestra Lite,” https://bloomaudio.com/products/kiwi-ears-orchestra-lite(アクセス日:2025-08-20)
[4] MOONDROP, “MOONDROP Aria 2 – Specifications,” https://moondroplab.com/en/products/aria2(アクセス日:2025-08-20)
[5] Linsoul, “MOONDROP ARIA 2,” https://www.linsoul.com/products/moondrop-aria2(アクセス日:2025-08-20)

(2025.8.21)