Sansui

総合評価
1.1
科学的有効性
0.1
技術レベル
0.5
コストパフォーマンス
0.2
信頼性・サポート
0.1
設計思想の合理性
0.2

1947年創業の老舗オーディオメーカーSansuiは、かつて高品質なアンプで名声を博しましたが、現在は製品の新規開発が停止しており、科学的有効性と技術力が著しく時代遅れのため、総合的に極めて低い評価となります。

概要

Sansui(山水電気)は1947年に東京で創業された日本のオーディオ機器メーカーです。創業者の菊池光作氏の「高価でも高品質な製品を作る」という理念のもと、1950年代から1980年代にかけて高品質なアンプやレシーバーで名声を博しました。1965年に発売されたAU-111など黒いフェイスプレートのAUシリーズアンプや、独自のα-x回路技術、1971年のクアドラフォニック技術QSシステムの開発など、技術革新を牽引しました。しかし1980年代後半以降は競合他社に押され、2014年に倒産、現在は新製品開発が停止している状況です。

科学的有効性

\[\Large \text{0.1}\]

現在のSansuiは新製品開発が停止しており、最新の測定基準で評価可能な製品が存在しません。過去の代表製品である真空管アンプやアナログ回路は、最新のデジタルアンプと比較して圧倒的に劣る測定性能を示します。真空管アンプのTHD+Nは通常0.1%以上、S/N比は90dB程度と問題レベルの数値であり、現代の高性能DACアンプが実現するTHD+N 0.01%以下、S/N比120dB以上と比較すると科学的に劣位です。ヴィンテージ機器として評価されることがありますが、マスター音源への忠実度という唯一の評価基準では現代製品に遠く及びません。

技術レベル

\[\Large \text{0.5}\]

Sansuiは1960年代から1980年代にかけて独自技術を多数開発しました。α-x回路やダブルダイヤモンド差動回路、フィードフォワードサーボシステムなど、当時としては先進的な設計を採用していました。AU-D101やAU-D33では第二高調波歪みを大幅に低減するサーボシステムを実装し、技術的に評価されました。しかし現在は新技術開発が停止しており、デジタル信号処理、Class-Dアンプ、最新DACチップなど現代の主要技術に対応していません。過去の技術実績は認められるものの、現在の業界水準から見ると時代遅れの状況です。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.2}\]

現在Sansuiブランドの新製品は市場にほぼ存在せず、中古・ヴィンテージ市場での取引が中心です。例えば中古のAU-607MOS PREMIUMが96,184円で販売されています。一方で、これを凌駕する測定性能を持つ現代のアンプ、例えばFosi Audio V3は約15,000円で入手可能です。コストパフォーマンスは、これらの価格比(15,000円 ÷ 96,184円 ≒ 0.16)に基づき算出されます。ヴィンテージ価値や希少性は純粋な性能評価には含めないため、客観的な性能対価格比では現代製品に大きく劣ります。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.1}\]

2014年の倒産以降、元のSansui Electric社の公式サポートは存在しません。現在日本ではドウシシャがSansuiブランドのライセンスを保有していますが、これは元の山水電気とは無関係の製品であり、ヴィンテージSansui製品のサポートは行われていません。ヴィンテージ機器については修理専門店での対応が可能な場合がありますが、部品入手困難により修理不可能となるケースが多発しています。新製品がないため保証期間やファームウェア更新なども存在せず、信頼性・サポート面では業界最低水準です。現行製品を持つメーカーと比較して圧倒的に劣位です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.2}\]

創業時の「高品質」への取り組みは評価できますが、アナログ回路や真空管技術への固執は現代の科学的視点から非合理的です。測定性能の向上よりもヴィンテージ的価値や「音楽性」を重視する傾向があり、デジタル技術やソフトウェア信号処理による低コスト・高性能実現の流れに対応できませんでした。現在は新製品開発が停止しており、IoT機能やアプリ連携、ストリーミング対応など現代的なニーズへの対応も皆無です。汎用機器(スマートフォン+外付けDAC等)で代替可能な専用機器として存在意義が薄れており、設計思想の合理性は極めて低いと評価せざるを得ません。

アドバイス

Sansuiを検討されている方は、まず購入目的を明確にすることが重要です。純粋な音質性能を求める場合、現代の高性能DACアンプ(Fosi Audio、Aiyima、SMSL等)が同じ予算で圧倒的に優れた測定性能を提供します。ヴィンテージオーディオとしての趣味性や歴史的価値を重視される場合のみ、中古Sansui製品の購入を検討してください。ただし修理サポートがないため、故障リスクを十分に理解した上での購入判断が必要です。実用性を重視するなら、確実に現代製品を選択することをお勧めします。新規購入では測定性能、コストパフォーマンス、サポート体制すべてにおいて現代メーカーの製品が優位です。

(2025.7.21)