概要

Accuphase E-305は1987年12月に270,000円で登場したプリメインアンプです。6素子による3パラレル・プッシュプル出力段で8Ω130W×2、MM/MC対応フォノとトーンコントロールを搭載します。現在は中古流通のみです。

科学的有効性

\[\Large \text{0.7}\]

電力段は8Ω130W/0.02%THD（20Hz–20kHz、両ch）で透明指標（~0.01%）をわずかに上回る水準、ラインS/N 106dBは許容範囲です。一方フォノはMM 86dB / MC 66dBと現代の高S/N機に比べて劣後します。周波数特性は規定内でフラットです。総じてライン経路は透明境界に近い一方、フォノは明確に遅れが見られます。 [3][4]

技術レベル

\[\Large \text{0.4}\]

設計は離散部品のクラスAB、リレー切替とDCサーボなど当時の定石です。現代の統合設計が実現する低ノイズ・高効率・安全機能・機能統合と比べると新規性は小さく、技術水準は現代基準で中位未満です。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.5}\]

同等以上の機能・測定性能を満たす最安構成（確認できた範囲）

• Emotiva BasX TA2（プリメイン）：8Ω135W/両ch/20Hz–20kHz/THD<0.02%、ラインS/N>116dB、MM/MCフォノ内蔵。価格：1,099 USD。
• ＋ Schiit Mani 2（外付フォノEQ）：S/N>98dB（MM）、>87dB（MC）、RIAA ±0.2dB。価格：149 USD。
  同等性メモ: 出力はE-305の130Wを上回り、ラインS/Nも上回ります。内蔵フォノのMC S/N（E-305は66dB）を外付けMani 2で大幅に改善し、総合で同等以上を満たします。 [1][2][3]

計算（USD基準。日本記事でもUSDで計算を統一）
合計 1,248 USD。
1,248 USD ÷ 2,300 USD = 0.5426… → 0.5（小数第1位四捨五入）。
参考として、E-305の中古市場想定価格は368,000円（2,300 USD）相当です。 [5]

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.5}\]

筐体品質の評価は高い一方、経年劣化（電解、スイッチ/リレー、半導体、ボリューム等）のリスクは大きいです。現行製品のような保証はなく、1980年代機の純正部品入手性も限定的です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.4}\]

「大きく重いアナログ回路で低歪みを狙う」という方針は当時は妥当でしたが、2025年の視点では透明性能をより低コスト・低消費電力で達成できる手段が存在します。測定で優位を示しにくい点からも、現代的合理性は高くありません。

アドバイス

外観や操作感といったヴィンテージ価値を重視するなら選択肢になり得ます。純粋な音質と費用対効果を優先するなら、BasX TA2＋Mani 2構成が高出力・低ノイズ・現代機能をE-305の約半額で達成します。 [1][2]

参考情報

[1] Emotiva — BasX TA2 仕様/価格: https://emotiva.com/products/basx-ta2-stereo-preamp-dac-tuner-with-integrated-amplifier （2025-08-21参照）
[2] Schiit — Mani 2 仕様/価格: https://www.schiit.com/products/mani （2025-08-21参照）
[3] Accuphase — E-305 カタログ/仕様（PDF）: https://www.accuphase.com/cat/e-305en.pdf （2025-08-21参照）
[4] Audio-Database — Accuphase E-305: https://audio-database.com/Accuphase-kensonic/amp/E-305-e.html （2025-08-21参照）
[5] HiFiShark — E-305 中古価格動向（~2,280–2,300 USDの事例含む）: https://www.hifishark.com/model/accuphase-e-305 （2025-08-21参照）

(2025.8.21)