Ascend Acoustics Sierra-1 V2
Klippel NFSに基づくCTA-2034公開データ、竹材キャビネット、7年保証、個体ごとの周波数特性票を備えるパッシブブックシェルフ
概要
Ascend Acoustics Sierra-1 V2は、ペア149,244円(998 USD)のパッシブブックシェルフスピーカーです。Klippel NFSで取得したCTA-2034準拠データを公開し、各個体の生産ライン周波数特性(シリアル付き、左右±1 dBマッチング)を同梱します。縦方向積層の竹材キャビネットを採用し、30日満足保証と7年保証が付属します。 [1][3]
科学的有効性
\[\Large \text{0.8}\]第三者NFS測定(CTA-2034)では、基準帯域(300 Hz–5 kHz)での平坦度が約±2.6 dB、プレファレンススコアは約6.4(サブなし)、低域は−6 dBで約45 Hzまで到達します。メーカー公称の無響感度は83 dB(2.83 V/1 m)、室内想定は87 dBです。Erinの動特性試験(76/86/96/102 dB @1 m)と記述から、一般的なリスニング音量域では圧縮・歪みが良好に抑制され、約4 m・90 dBを超える領域で増加が示唆されます。ニュートラル志向の再現性を裏付ける数値です。 [1][2][3]
技術レベル
\[\Large \text{0.7}\]竹材の縦積層(V-LAM)キャビネットによる剛性/減衰の確保、SEAS “Titan” 26 mmドームツイーターと5.25インチミネラル充填PPウーファー、CTA-2034準拠の徹底QC(NFS測定は1台あたり約6時間・800点以上)など、測定整合を重視した設計/品質管理が特徴です。画期的な新素材ではありませんが、現代的で合理的な実装です。 [3]
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.9}\]分母(本機ペア価格): 998 USD。
より安価で同等以上と判断できる比較対象: Kali Audio IN-5(アクティブ、ペア)898 USD。独立NFSデータで帯域内平坦度は約±1.8 dBと良好、低域LFXは約39–42 Hzで本機と同等クラス、さらに内蔵アンプとバウンダリーEQ(ディップスイッチ)を備えます。よって、
898 USD ÷ 998 USD = 0.90 → 0.9(小数1位丸め)。 [2][5][6]
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.8}\]米国カリフォルニアでの組立/試験、各個体の応答票同梱、7年部品・労働保証および30日満足保証を明記しています。保証ページでも5年または7年(製品により異なる)が確認でき、パッシブスピーカーとして堅実なサポート体制です。 [3][4]
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.9}\]Klippel NFSとCTA-2034に基づくデータ公開、個体ごとの測定票、共振低減を狙った竹材採用など、聴感に直結する透明性向上へ資源を投じる姿勢が一貫しています。主観的な表現に頼らず、再現性のある測定に立脚した開発方針はきわめて合理的です。 [1][3]
アドバイス
無響83 dB/2.83 V/1 mという感度から、再生音量や距離に応じた十分な増幅器が前提です(目安として≤約2.7 mで33 W、≤約4.6 mで90 Wなどをメーカーが提示)。パッシブ構成と品質管理の透明性を重視するなら本機、同等の線形性で内蔵増幅/設置補正プリセットを含む統合型を望むならKali IN-5が安価な選択肢です。上方8 kHz超の指向性はドーム型相応なので、遠いオフ軸着座が多い場合は配置最適化や試聴を推奨します。 [1][3][6]
参考情報
[1] Erin’s Audio Corner, “Ascend Acoustics Sierra-1 V2 Speaker Review”, https://www.erinsaudiocorner.com/loudspeakers/ascend_sierra_1_v2/ , 2023年11月22日(CTA-2034/NFS、圧縮・歪み所見、価格記載)。
[2] spinorama.org, “Measurements for speaker Ascend Acoustics Sierra 1 V2 (ErinsAudioCorner)”, https://www.spinorama.org/speakers/Ascend%20Acoustics%20Sierra%201%20V2/ErinsAudioCorner/index_eac.html , 2025年8月20日アクセス(平坦度、プレファレンススコア、LF指標)。
[3] Ascend Acoustics, “SIERRA-1 V2 PAIR”, https://www.ascendacoustics.com/products/sierra-1-v2-pair , 2025年8月20日アクセス(特徴、QC票、±1 dBマッチ、竹材、価格、任意NFS、保証年数)。
[4] Ascend Acoustics, “Warranty Information”, https://www.ascendacoustics.com/pages/warranty-information , 2025年8月20日アクセス(5年/7年の保証条件)。
[5] spinorama.org, “Measurements for speaker Kali IN-5 (ErinsAudioCorner)”, https://www.spinorama.org/speakers/Kali%20IN-5/ErinsAudioCorner/index_eac.html , 2025年8月20日アクセス(平坦度≈±1.8 dB、LFX≈39–42 Hz、EAC/ASRへのリンク)。
[6] Sweetwater, “Kali Audio IN-5 5-inch Powered Studio Monitor”, https://www.sweetwater.com/store/detail/IN5–kali-audio-in-5-5-inch-powered-studio-monitor , 2025年8月20日アクセス(各449 USD、ペア898 USD、バウンダリーEQと入出力)。
(2025.8.20)