ASHIDAVOX ST-31-02

参考価格: ? 22000
総合評価
2.7
科学的有効性
0.5
技術レベル
0.4
コストパフォーマンス
0.6
信頼性・サポート
0.6
設計思想の合理性
0.6

クラシックなスタジオモニターの系譜を継ぐ日本製ヘッドホンです。職人仕事の作りは魅力ですが、最先端技術やコストパフォーマンスの観点では見劣りします。

概要

ST-31-02は、1980〜1990年代にスタジオ標準として採用例の多かったST-31の流れを汲みつつ、現代の音楽鑑賞向けに再設計されたモデルです。製造は1942年創業のアシダ音響。フィルム振動板の50 mmダイナミック・ドライバー、密閉型構造、26 Ωの公称インピーダンス、104 dB/mWの感度を備えます。Headphone Book 2024 主催「ヘッドフォンアワード」ではエントリークラス賞を受賞しています。

科学的有効性

\[\Large \text{0.5}\]

第三者測定[1]によれば、インピーダンスは約25 Ω、主共振は約65 Hzで、メーカー値と整合します。左右チャンネルの整合は良好と報告されています。一方で、THD/IMDの定量(SPL依存やターゲット対偏差のRMS値など)を網羅する独立測定は限定的で、サンプルの低域ではTHD上昇も見られます。現状入手できる客観データが部分的に留まるため、評価は上限が伸びにくい水準です。

技術レベル

\[\Large \text{0.4}\]

紙コーンの初代ST-31と異なり、フィルム振動板の動電型ユニットを採用します。密閉ハウジングや金メッキプラグなどは一般的な構成で、DSP等の先進的な実装は見当たりません。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.6}\]

機能・測定性能で同等以上かつ最も安価な比較対象として、AKG K361(密閉・50 mm)を採用します。独立測定では加重高調波歪 0.05 %(94 dB SPL)/ 0.13 %(104 dB SPL)、ターゲット整合(BassプロファイルRMS偏差)2.5 dBなど良好な数値が示されています[4]。一般的な米国実売はUSD 79です。

79 USD ÷ 145 USD = 0.54

同等以上の測定性能を満たす下限価格がほぼ半額で存在するため、本機のCPは平均以下と評価します。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.6}\]

業務用で培った堅牢な作りは好印象です。公式仕様の質量は約250 g(コード除く)で、交換用イヤーパッド(税込2,090円)も用意されています[2][3]。一方、海外でのサポート網は大手に比べて限定的です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.6}\]

モニター的資質を残しつつ低域量感と高域の伸びを加え、不要共振の抑制に注力するなど、音質に直結する部位へ資源を配分しています。ただし、革新的素材やDSPの積極活用は見られず、突破力は限定的です。

アドバイス

日本製の工作精度や往年のモニターヘッドホンのキャラクターに価値を置く方には魅力があります。客観性能と価格重視なら、AKG K361など測定的に優れる下位価格帯の選択肢も検討しやすいでしょう。海外での購入・サポートは販売経路を事前に確認することをおすすめします。

参考文献

  1. 0dB 測定レビュー(周波数特性/インピーダンス/THD所見)、https://www.0db.co.kr/REVIEW_0DB/3568210
  2. ASHIDAVOX ST-31-02 製品ページ(公式仕様・受賞・重量)、https://ashidavox.com/items/628f058939da5f25d25f6c88
  3. ST-31-02 交換用イヤーパッド(公式)、https://ashidavox.com/items/6321b6ca23c2aa7bdde17bdc
  4. RTINGS — AKG K361 測定(THD、ターゲット整合、FR一貫性)、https://www.rtings.com/headphones/reviews/akg/k361
  5. AKG K361 公式ページ、https://www.akg.com/headphones/professional-headphones/K361-.html

(2025.9.4)