Aston Microphones Aston Spirit
高域を強調する意図的ボイシングのマルチパターンLDC。中立性は低く、同等以上の測定性能を持つ低価格品が存在するためCPは伸びません。
概要
Aston Spiritは、1インチ金蒸着のデュアルダイヤフラムを採用し、カーディオイド/全指向性/双指向性の3パターンを切替可能なラージダイヤフラム・コンデンサです。-20/-10/0 dBのパッドと80 Hzハイパス、48 Vファンタム電源に対応します [1][2]。米国の実売は369 USD [3]、国内の直近掲載例は52,800円(税込)です [6]。
科学的有効性
\[\Large \text{0.4}\]メーカー公表値は20 Hz–20 kHz(±3 dB)、自己雑音14 dB-A、最大音圧138 dB(0.5% THD)です [2]。公式の周波数特性図でプレゼンス帯域〜高域の持ち上がりが確認でき、中立ではなく色付け志向の設計です [1]。透明性重視の用途では忠実度に制約があるため、このスコアとしました。
技術レベル
\[\Large \text{0.6}\]トランスバランス出力の従来型LDC構成に、標準的なマルチパターン切替とパッド/ハイパスを備えます。測定透明性を押し上げる新規性は見当たらず、技術的には堅実ながら保守的です [1][2]。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.5}\]本レビューはUSDで計算統一します。対象価格は369 USD [3]。同等以上の最安はCAD M179で、連続可変パターン/自己雑音11 dB-A/最大音圧143 dB(パッド時)と、機能・測定性能の観点で劣りません [4]。新品の実勢は199.99 USDから確認できます [4][5]。
明示計算:199.99 USD ÷ 369 USD = 0.54 → スコア0.5。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.6}\]保証はグローバル販売網に沿った標準対応です。老舗ほどの長期データは少ないものの、構造と部品選定からは一般的な信頼性が見込めます [1][2]。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.6}\]「開放的で煌びやか」な高域表現を狙うボイシングで、測定上の中立性より音色を優先しています [1][2]。色を求めるユーザーには合理的ですが、忠実度重視では優先度が下がります。
アドバイス
特定の音源で高域の抜け感を積極的に得たい場合に向きます。中立性と数値性能重視ならCAD M179が有力です [4][5]。別系統のキャラクターとしてAKG P420は3パターンと高い耐音圧を備えますが、自己雑音はSpiritよりわずかに高めです [7]。
参考情報
[1] Aston Microphones — 「Spirit」製品ページ(FRリソースへのリンクあり). https://www.astonmics.com/EN/product/mics/spirit
[2] Aston Microphones — 「Owners Handbook (EN)」PDF. https://www.astonmics.com/downloads/AstonManual2017EN.pdf
[3] Sweetwater — 「Aston Spirit」製品ページ(米国実売の確認). https://www.sweetwater.com/store/detail/Spirit–aston-microphones-spirit-large-diaphragm-condenser-microphone
[4] CAD Audio — 「M179」公式ページ/仕様(“starting at 199.99 USD”の表記あり). https://www.cadaudio.com/products/equitek/m179
[5] Reverb — 「CAD M179」新品出品(199.99 USD). https://reverb.com/p/cad-m179-variable-pattern-condenser-microphone
[6] サウンドハウス — 「ASTON MICROPHONES / SPIRIT」国内掲載例. https://www.soundhouse.co.jp/en/search/index?i_type=a&search_all=AST-SPIRIT
[7] AKG — 「P420」公式ページ. https://www.akg.com/microphones/condenser-microphones/P420.html
(2025.8.26)