Audio-Technica ATH-CM707

参考価格: ? 15500
総合評価
2.0
科学的有効性
0.5
技術レベル
0.5
コストパフォーマンス
0.2
信頼性・サポート
0.6
設計思想の合理性
0.2

15.4mmドライバー搭載の伝統的イヤホンだが、低音不足と15500円での価格設定によるコストパフォーマンス不良

概要

Audio-Technica ATH-CM707は、2010年に「Earsuit」シリーズの一部として発売された伝統的なイヤホンで、廃盤となったCM700モデルの後継機です。新開発の15.4 mmダイナミックドライバーにダクト共鳴構造、アルミニウム合金ハウジングを組み合わせ、2010年代初期におけるAudio-Technicaのプレミアムイヤホン設計アプローチを体現する製品です。

科学的有効性

\[\Large \text{0.5}\]

ATH-CM707に特化した周波数特性・THD・S/N比などの公開実測データは確認できません。公式仕様として15.4 mmダイナミック型、インピーダンス16 Ω、感度104 dB/mW、質量約6 gが示されていますが、客観測定の代替にはなりません。検証可能な測定が見当たらないため、科学的有効性は未知状態を反映して0.5といたします。

技術レベル

\[\Large \text{0.5}\]

独自の15.4 mmドライバー設計とダクト共鳴構造、軽量なアルミ合金ハウジングなど、伝統的イヤホンとしての工学的配慮は見られます。一方でアナログのみの設計で現代的なデジタル統合がなく、形状起因の制約も残ります。カテゴリと発売時期の平均水準相当です。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.2}\]

15500円(参考:米国103 USD)のATH-CM707は、機能・測定面で劣らない現行IEMと比較して割高です。たとえばMOONDROP CHU IIは、IEC60318-4準拠の有効FRやTHD≤0.5% @94 dBなど測定情報を公表し、公式価格22.99 USDで販売されています。測定情報の明確さと入手性を踏まえると、ATH-CM707の価値は低い評価になります。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.6}\]

Audio-Technicaは確立されたサポート体制と、米国向け2年のエンドユーザー限定保証を提供します。アルミ合金ハウジングと単純なアナログ設計は耐久性に有利です。なお、オープンなイヤホン形状ゆえの音漏れや延長コードによる故障点の増加には留意が必要です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.2}\]

目標の明確性とユーザー適合性。 クリアな中高域を狙うプレミアムな伝統型という狙いは読み取れますが、開放型の特性上、遮音性と低域伸びが制約され、騒がしい環境での実用性は限定的です。
根拠と透明性。 設計主張を裏づける公開測定がなく、チューニングや歪み目標の検証ができません。
トレードオフの処理。 空気感・装着性のための開放構造を採った一方、音漏れや低域不足に対する対策(測定に基づく目標設定や補正手段)は示されていません。
設計整合性。 軽量な金属筐体など素材選択は一貫していますが、延長コード構成は故障点を増やす可能性があります。
持続性・ライフサイクル。 既に廃盤で、部品供給やアップグレード経路が不明瞭です。

総じて、素材やフォームファクタの選好が先行し、測定に基づく最適化や検証可能性が弱い設計方針です。

アドバイス

ATH-CM707は低音の弱さ、音漏れ、価格に対して総合性能の裏付けが乏しい点から、コストパフォーマンスが良好とは言えません。客観情報と価格を重視する読者には、測定情報が公開され入手しやすいMOONDROP CHU IIなどの代替を検討することをおすすめします。

参考情報

[1] オーディオテクニカ(日本)ATH-CM707 公式ページ https://www.audio-technica.co.jp/product/ATH-CM707
[2] Audio-Technica US Two-Year Limited End-User Warranty https://www.audio-technica.com/en-us/support/us-two-year-limited-end-user-warranty
[3] MOONDROP CHU II(公式) https://moondroplab.com/en/products/chu-ii
[4] Head-Fi.org AUDIO TECHNICA ATH-CM707 https://www.head-fi.org/showcase/audio-technica-ath-cm707.14689/

(2025.9.4)