AüR Audio Hermit
U字型チューニングの10ドライバーIEM(8BA+2BC)。第三者測定が乏しく、測定重視の横並び比較では激安帯に対しCPが極端に低いです
概要
AüR Audio Hermitは、シンガポール拠点のブティックメーカーAüR AudioによるプレミアムIEMです。10ドライバー構成(8BA+2BC)で、役割は「サブベース:Sonionデュアルウーファー×2、ミッドベース:Sonionボーンコンダクション×2、中域:AüRカスタム×2、高域:Knowlesデュアルツイーター×4」と明記されています [1]。公式価格は1399 USD(サイト表示はSGD)。本レビューのCP分母は1,093 USD(参考換算)とします [1]。
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]メーカー公称:周波数応答20 Hz–20 kHz、インピーダンス7 Ω(1 kHz)、感度106 dB(@130 mV)、THD < 1%(@130 mV)です。130 mVは7 Ω負荷で約2.41 mWに相当します [1]。レビュー時点でGRAS/5128等の第三者公開測定は見当たりません。公称の歪み上限(約1%)は透明域の目安を大きく上回るため、独立データが出るまでは保守的評価とします。
技術レベル
\[\Large \text{0.4}\]Knowles/Sonionの既製ドライバーに自社カスタム中域、ボーンコンダクション素子を組み合わせた堅実な実装です [1]。一方、測定で裏付けられた画期的な性能向上や新規技術の公開は確認できず、標準的なマルチBA設計の範囲に留まります。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.0}\]比較対象(機能・測定性能で同等以上かつ最安):7Hz x Crinacle Zero:2(有線IEM・受動遮音)。第三者レビューで客観測定(周波数応答/歪み)が公開されており、市場価格は24.99 USDです [2][3]。
同等以上と判断する理由:ユーザー視点の機能は同等(有線IEM・受動遮音)。Zero:2は標準化治具に基づく測定が公開され、低歪みかつ良好な周波数応答が確認可能で、Hermit側は第三者測定が未整備で公称もTHD < 1%に留まります [1][2]。このため、測定観点ではZero:2を同等以上と判定します。
CP計算(必ず割り算を明示):
24.99 USD ÷ 1,093 USD = 0.02286 → 0.0(小数第1位四捨五入)。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.5}\]AüRは6/12か月の限定保証、FedExによる世界送料無料、プレオーダー目安約4週間を案内しています [1]。ブティック系ゆえ長期的な信頼性データやサービス網の公開情報は限定的です。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.3}\]公式説明はU字型チューニングと「Impactful Clarity」の訴求が中心で、測定上の透明性追求は前面化していません [1]。第三者測定の裏付けがない現状では、忠実度重視の設計合理性は低めに評価します。
アドバイス
測定重視の読者にとって、現状のHermitは第三者測定の整備待ちが妥当です。即購入の文脈では、7Hz x Crinacle Zero:2(24.99 USD)が公開測定により透明性が確認でき、費用対効果は圧倒的です [2][3]。Hermitに関心がある場合は、GRAS/5128等の独立測定(FR/歪み)の公開後に再検討することをおすすめします。
参考情報
- AüR Audio — 「Hermit (The King of New Wave Music)」製品ページ(仕様・価格・保証)。閲覧日:2025年8月21日。https://www.auraudio.store/product-page/hermit-distro-pack
- Audio Science Review — 「7Hz x Crinacle Zero:2 IEM Review(測定付き)」.閲覧日:2025年8月21日。https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/7hz-x-crinacle-zero-2-iem-review.50534/
- Amazon — 「Linsoul 7Hz x Crinacle Zero:2」商品ページ(24.99 USD)。閲覧日:2025年8月21日。https://www.amazon.com/Linsoul-7Hz-Crinacle-Zero-Earphones/dp/B0CMZVZPCF
(2025.8.21)