Bowers & Wilkins 684 S2

参考価格: ? 180000
総合評価
2.5
科学的有効性
0.5
技術レベル
0.6
コストパフォーマンス
0.7
信頼性・サポート
0.3
設計思想の合理性
0.4

測定値は平均的。独立測定と比較すると、より安価な現行タワー(例:JBL Stage A180)が同等以上の測定性能を示し、コストパフォーマンスを弱めます

概要

Bowers & Wilkins 684 S2は2014年に投入された600 S2ラインのスリムな2ウェイ・フロア型モデルで、現在はメーカーのアーカイブに移された生産終了機種です[3][1]。デュアル130 mmケブラー織布コーンのバス/ミッドと25 mmデカップルド・ダブルドーム・アルミ・トゥイーターをバスレフ(Flowport)キャビネットに搭載しました[1]。発売時のペア定価は1,150 USDでした[2]。その後の世代により置き換えられています[4]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.5}\]

メーカー公称:軸上72 Hz–22 kHz(±3 dB)、–6 dBは45 Hz/50 kHz、感度87 dB(2.83 V/1 m)、公称8 Ω(最小4 Ω)、90 dB/1 m時の高調波歪み(2次+3次)は140 Hz–22 kHzで1 %未満、180 Hz–20 kHzで0.5 %未満[1]。
独立測定:SoundStage!公開のNRC無響室データに軸上/オフ軸・リスニングウィンドウFR、90 dB時THD+N、感度実測86.25 dB、インピーダンス/位相が含まれます[5]。総合すると、パッシブ・タワーとして「平均域」であり、透明域には達しません。

技術レベル

\[\Large \text{0.6}\]

2本の130 mmバス/ミッドを25 mmドームへ4 kHzでクロスする標準的2ウェイ[1]。デカップルド・ダブルドームやAnti-Resonanceプラグなど当時の工夫は妥当ですが、構成自体は一般的で、現在水準で独創性は限定的です。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.7}\]

独立Klippel NFSスピンデータを確認できるJBL Stage A180を比較対象とします。Spinorama集約データ(出典:ASR)で–6 dB ≈ 41 Hz300 Hz–5 kHz偏差 ≈ 2.7 dB、Preference Score ≈ 4.4(理想サブ併用で≈ 6.1)[6][7]。JBL USの現行価格は399.95 USD/台799.90 USD/ペア)です[8]。

同等性注記: フロア型ステレオ用途で機能一致。低域到達はA180がより深く、ミッド帯域の直線性指標も良好。684 S2のNRCデータに対し明確な劣位は確認できません[5][6][7]。

計算(USD基準): 799.90 USD ÷ 1,150 USD = 0.6950.7(小数第一位四捨五入)。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.3}\]

684 S2は公式アーカイブ掲載のEOL機で、保証や部品供給は限定的です[3]。購入は中古依存となり、現行モデルに比べサポート確実性は低下します。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.4}\]

測定整合的なシンプル2ウェイ設計で非科学的主張はありませんが、発売時の価格設定と、独立測定で同等以上を示す現行タワーが低価格で入手できる今日の状況を踏まえると、合理性は強いとは言えません。

アドバイス

新規購入は推奨しません。独立測定が整った基準機としてJBL Stage A180を比較軸にするのが無難です[6][7][8]。ブランド性や現行サポートを重視するなら、現行流通のWharfedale Diamond 12.3なども検討対象になります[9]。既存ユーザーは、よりフラットかつ低歪みを志向する近年設計への更新で改善が見込めます。

参考情報

[1] Bowers & Wilkins, “684 S2 Information Sheet (PDF)”, https://www.bowerswilkins.com/on/demandware.static/-/Library-Sites-bowers_northamerica_shared/default/dw2d4f80dc/archive-manuals/684-s2-information-sheet-2.pdf, 参照日 2025-08-23。
[2] SoundStage! Hi-Fi, “Bowers & Wilkins 684 S2 Loudspeakers”, https://www.soundstagehifi.com/index.php/equipment-reviews/758-bowers-wilkins-684-s2-loudspeakers, 2014-08-01。
[3] Bowers & Wilkins, “Product Archive”, https://www.bowerswilkins.com/en-us/product-archive.html, 参照日 2025-08-23。
[4] Audioholics, “B&W Revamps 600 Series Speakers (2018)”, https://www.audioholics.com/tower-speaker-reviews/b-w-600-series, 2018-08-21。
[5] SoundStage! Network, “NRC Measurements: Bowers & Wilkins 684 S2 Loudspeakers”, https://www.soundstagenetwork.com/index.php?option=com_content&view=article&id=1223:nrc-measurements-bowers-wilkins-684-s2-loudspeakers&catid=77&Itemid=153, 2014-08-01(感度実測86.25 dB等)、参照日 2025-08-23。
[6] Spinorama.org, “Measurements for speaker JBL Stage A180 (ASR)”, https://www.spinorama.org/speakers/JBL%20Stage%20A180/ASR/index_asr.html, 参照日 2025-08-23。
[7] Audio Science Review, “JBL A180 Tower Speaker Review”, https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/jbl-a180-tower-speaker-review.34846/, 2022-06-11。
[8] JBL(米国), “JBL Stage A180 | Home Audio Loudspeaker System”, https://www.jbl.com/loudspeakers/STAGE%2BA180.html, 参照日 2025-08-23。
[9] Wharfedale(UK), “Diamond 12.3”, https://www.wharfedale.co.uk/products/diamond-12-3, 参照日 2025-08-23。

(2025.8.23)