Cayin RU7

参考価格: ? 43350
総合評価
2.4
科学的有効性
0.6
技術レベル
0.7
コストパフォーマンス
0.3
信頼性・サポート
0.5
設計思想の合理性
0.3

ドングル型としては世界初となる1ビット・ディスクリートレジスタDACを搭載した革新的な製品だが、現代の代替製品と比較してコストパフォーマンスは劣る

概要

Cayin RU7は、世界初のドングル型1ビット・ディスクリートレジスタDAC技術を採用したUSB DAC/ヘッドホンアンプドングルです。価格は289 USD相当で、RU6の経験を活かしたRシリーズの最新製品です。128個の高精度薄膜抵抗器による完全バランスのディスクリート構成を採用し、PCMは32ビット/384kHz、ネイティブDSDはDSD256までサポートします。サイズは66×24×12 mm、重量は25 gです。革新的な一方で、より強力かつ安価な代替製品との競争が厳しい状況です。

科学的有効性

\[\Large \text{0.6}\]

公式仕様ではヘッドホン出力が3.5mm SEで160 mW(32Ω)4.4mm BALで400 mW(32Ω)です。固定電圧のラインアウト時は共有端子で3.5mm=1.2 Vrms、4.4mm=2.4 Vrmsとなります(LO電圧でありヘッドホン出力電圧ではありません)。デジタル/アナログを二分した6層基板×2の構成でEMI低減を図っています。一方、THD、SNR、ダイナミックレンジの第三者計測値は公表が見当たらず、出力以外の定量評価は限定的です。

技術レベル

\[\Large \text{0.7}\]

ディスクリート1ビット抵抗ネットワークDAC(全128抵抗)の4chフルバランス構成を、ドングルサイズに小型化した点は技術的に高度です。並列デュアルアンプによる高出力、100段階のリレー/抵抗式ボリューム、任意選択のAll-to-DSD処理、シールドを含む二枚基板のレイアウトなど、既製チップに依存しない実装は評価に値します。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.3}\]

本評価では「方式・クラスを超え、機能・計測性能で同等以上の中で最も安価な製品」と比較します。FiiO KA13はバランス/SE両対応、PCM 384/32・DSD256対応、≥550 mW(32Ω・BAL)に加えSNR/THD公称値が公開されており、少なくともRU7の公開情報を下回りません。一般的な実売価格79.99 USD(KA13)と289 USD(RU7)により、CP = 79.99 ÷ 289 = 0.28となり、客観的な価格対性能は低い評価です。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.5}\]

Cayinは正規代理店経由で標準1年保証を提供します。コミュニティでは画面のわずかな傾きや3.5mm端子のガタつき等の報告が見られます。アルミ筐体や堅牢な基板設計から携行耐久性は平均的と見込みますが、長期実績データは限定的で、総合的には業界平均相当です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.3}\]

Cayinはディスクリート1ビット抵抗DACと任意のAll-to-DSD処理を訴求していますが、現時点で第三者機関によるTHD/SNR/線形性やノイズフロア、ダイナミックレンジの優位性を示す定量データを確認できませんでした。一方で、実効出力は中程度(400 mW@32Ω・BAL/160 mW・SE)で、FiiO KA13(≥550 mW@32Ω・BAL)のようにより安価かつ公称性能が明快な代替品も存在します。ユーザー利益に直結する客観的根拠が乏しいため、当該ディスクリート実装は差別化の側面が強く、合理的な設計選択としての評価は低くなります。

アドバイス

超小型でディスクリート1ビットDACという特性を最優先するならRU7は有力候補です。一方で客観指標(出力・公称SNR/THD)と価格重視なら、FiiO KA13(79.99 USD)が強力な代替です。音質的な嗜好や設計思想に価値を見いだせるかで選択ください。

参考情報

  1. Cayin公式:RU7 製品ページ(仕様)https://en.cayin.cn/features/7/124/603.html
  2. FiiO公式:KA13 パラメータ https://www.fiio.com/ka13_parameters
  3. Head-Fi:RU7ユーザーレビュー(QCの観察)https://www.head-fi.org/showcase/cayin-ru7.26493/reviews

(2025.9.3)