Coral Beta-10

参考価格: ? 180000
総合評価
1.3
科学的有効性
0.2
技術レベル
0.4
コストパフォーマンス
0.3
信頼性・サポート
0.1
設計思想の合理性
0.3

伝説的な名声を持つヴィンテージ日本製フルレンジドライバーですが、共振による問題とコストパフォーマンスの低さが課題です

概要

Coral Beta-10は、日本のコーラルオーディオ株式会社が1970年から1985年にかけて製造した25cm(10インチ)ダブルコーンフルレンジスピーカードライバーです。ベータシリーズの一部として、独特のスカイバーエッジとスター型ディフューザー、アルニコマグネット技術を特徴としています。ヴィンテージオーディオ愛好家の間では伝説的な地位を持つにも関わらず、2.1kHzでの深刻な共振ピークなど、重要な技術的制約を抱えています。コーラルオーディオ株式会社は1980年代中期に倒産しており、メーカーサポートのない廃番のヴィンテージ製品です。

科学的有効性

\[\Large \text{0.2}\]

Beta-10は、現代の透明性基準を大幅に下回る問題のある測定性能を示しています。周波数特性は32Hz-20kHzに及び、公称感度は97dBとされていますが、ユーザー測定では変動が見られます(一例では94.96dB)[2][6]。このドライバーには、ノッチフィルターが必要な2.1kHzでの深刻な共振が記録されています[1]。ユーザーテストによる測定済みThiele/Smallパラメータでは、Fs: 37.01Hz、Qts: 0.496を示しています[2]。サードパーティソースからのTHD、SNR、IMDの公開測定データは入手できません。重大な中音域共振問題により、このドライバーは測定基準の問題レベルに位置し、許容可能な直線性を達成するには能動フィルタリングが必要です。

技術レベル

\[\Large \text{0.4}\]

Beta-10は、当時としては革新的な機能を持つ、堅実な1970年代のエンジニアリングを示しています。バレット型センターキャップ付きダブルコーン設計によりフルレンジ動作を実現し、コーラル独自のスカイバーエッジとスター型ディフューザーが指向性を拡張しました[3]。振動板は密度変動を減らすため化学繊維を混合したパルプを使用し、ボイスコイルは材料の利点を組み合わせた銅コーティングアルミニウムワイヤを採用しています。しかし、これは50年前の純粋なアナログ/機械技術であり、現代的なデジタル統合や今日の材料科学の進歩は含まれていません。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.3}\]

Beta-10の現在の市場価格は275-4,200 USD(41,250円-630,000円)の範囲で、良好な状態のペアは一般的に1,200 USD(180,000円)程度です。Tang Band W8-1772は、97dB感度、42Hz-20kHz応答、60W耐入力、現代的なネオジムマグネットを備え、約400 USD(60,000円)のペア価格で同等以上の性能を提供します[4]。同等のフルレンジ機能を搭載し、W8-1772の周波数特性と耐入力は文書化された共振問題なしに同等以上です。CP = 60,000円 ÷ 180,000円 = 0.33。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.1}\]

コーラルオーディオ株式会社(1980年代中期以降倒産)のヴィンテージ製品として、メーカー保証や公式サポートは存在しません。修理サービスはサードパーティのヴィンテージオーディオ専門店に限定され、一般的に2-3週間の納期と60日保証となります[5]。廃番状態と会社閉鎖により、交換部品の入手は極めて制限されています。シンプルな機械設計により本質的な耐久性を提供する一方、コンポーネントの経年劣化とメーカー支援の欠如は実用的な使用において重大な信頼性懸念を生じさせます。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.3}\]

Beta-10は、測定可能な性能指標よりも主観的な音質を重視する1970年代のアナログ設計思想を表しています。白い振動板は特に「着色を避けるため」に選ばれ、音響原理への注意を示していましたが、設計は科学的測定ベースの最適化を欠いています[6]。このアプローチはその時代としては革新的でしたが、現代の透明性重視手法と対立します。2.1kHzでの深刻な共振は、平坦な周波数特性よりも他の要因を優先した設計上の妥協を示しています。

アドバイス

Coral Beta-10は、根本的な技術的制約とコストパフォーマンスの悪さにより、真剣なオーディオ用途では避けるべきです。文書化された2.1kHz共振は追加のフィルタリングコンポーネントを必要とし、フルレンジ設計のシンプルさという利点を無効化します。Tang Band W8-1772のような現代的な代替品は、ヴィンテージ特有の信頼性懸念なしに、大幅に低いコストで優れた性能を提供します。最適なオーディオ再生ではなく、歴史的興味のためのヴィンテージコレクターズアイテムを特に求めている場合のみ検討してください。

参考情報

  1. hifi-selbstbau.de, Coral Beta 10B, https://hifi-selbstbau.de/index.php/hsb-datenblaetter/historische-chassis/coral-beta-10b, アクセス日 2025-09-04
  2. diyAudio, cab options for coral beta 10, https://www.diyaudio.com/community/threads/cab-options-for-coral-beta-10.340441/, アクセス日 2025-09-04
  3. hifi-wiki.com, Coral Beta-10, https://hifi-wiki.com/index.php/Coral_Beta-10, アクセス日 2025-09-04
  4. Parts Express, Tang Band W8-1772 8” Neodymium Full Range Driver, https://www.parts-express.com/Tang-Band-W8-1772-8-Neodymium-Full-Range-Driver-264-893, アクセス日 2025-09-04
  5. dBm Pro Audio, Pro Audio Repair Equipment, https://www.dbmproaudio.com/, アクセス日 2025-09-04
  6. audio-database.com, CORAL BETA-10 specifications, https://audio-database.com/CORAL/unit/beta-10.html, アクセス日 2025-09-04

(2025.9.4)