CVJ Yukimi
CVJのフラッグシップ単一ダイナミック型IEMは、カーボナイズド・クリスタル振動板とCNC加工アルミ筐体を採用し、仕様上は堅実です。ただし第三者測定の公開が見当たらず、安価で測定情報のある代替機が存在するため、コストパフォーマンス面で不利です。
概要
CVJ YukimiはAngelearsとのコラボレーションによるシングル・ダイナミックドライバーIEMです。10 mmカーボナイズド・クリスタル振動板ドライバーをCNC加工アルミ合金シェルに搭載し、0.78 mm 2ピン着脱式ケーブル(3.5 mm/4.4 mm)に対応します。公称仕様は22 Ω、108 ± 2 dBで、一部の小売ページでは556芯銀メッキ銅ケーブルが付属と記載されています。主要小売での価格は30900円(209 USD)です。 [1][2][4][6]
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]本機について、周波数応答やTHD/IMDといった信頼できる第三者測定は本稿執筆時点で確認できませんでした。メーカー/小売掲載のカタログ値は10 Hz–40 kHz(帯域表記)、22 Ω、108 ± 2 dBですが、これらは実耳での周波数偏差や歪み挙動を示さず、聴感上の透明度判断には不十分です。したがって、独立測定の公開までは中央値で暫定評価とします。 [1][6]
技術レベル
\[\Large \text{0.6}\]カーボナイズド・クリスタル振動板のDD、CNCアルミ筐体、ホーン形状ノズル、556芯SPCケーブルなど、現代的で妥当な実装です。さらに四系統の電子/物理チューニングをうたう記載もあります。もっとも、先端的な特許・技術資料や測定での飛躍が確認できないため、わずかに平均以上の位置づけとします。 [1][2][4]
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.2}\]Yukimiの市場価格は30900円(209 USD)です。同等以上の代替として最安はKiwi Ears Cadenza(34.99 USD)で、単一10 mm DD・2ピン着脱などユーザー向け機能が同等であり、第三者の周波数応答測定がIEF/Harmanターゲットに近いニュートラル傾向を示します。Yukimi側に独立測定がないため、忠実度は暫定的にCadenzaを同等以上と見なします。34.99 USD ÷ 209 USD = 0.167で、規定の丸めにより0.2です。 [1][3][5]
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.5}\]Yukimiの長期的な故障率やMTBF等の統計は確認できませんでした。主要小売経由の提供から標準的な保証は見込めますが、公開トラックレコードが限られるため平均評価にとどめます。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.4}\]測定公開の乏しい単一DD機を209 USDで提示する方針は、測定に基づくニュートラル特性が確認でき、かつ大幅に安価な選択肢が存在する状況では合理性が高いとは言えません。透明性(測定開示)と価格整合の面で改善余地があります。
アドバイス
外観や装着感、コラボモデルの所有欲を重視する場合には候補となり得ます。一方、測定に裏づけられたニュートラル再生を低コストで求めるなら、まずはKiwi Ears Cadenzaの試聴を推奨します。将来Yukimiの第三者測定が公開され、透明性の高い特性が確認されれば、再評価の余地があります。
参考情報
[1] HiFiGo, “CVJ YUKIMI New-Gen 10 mm Dynamic Driver In-Ear Earphone”, https://hifigo.com/products/cvj-yukimi, 参照 2025.8.18
[2] TheHiFiCat, “CVJ YUKIMI(仕様・556芯SPCケーブル記載)”, https://thehificat.com/products/cvj-yukimi, 参照 2025.8.18
[3] Squiglink(Paul Wasabii), “Kiwi Ears Cadenza vs IEF target(周波数応答DB)”, https://pw.squig.link/?share=IEF_Comp_Target%2CKiwiears_Cadenza, 参照 2025.8.18
[4] Amazon, “CVJ x ANGELEARS Yukimi(4-Channel Tuning 記載)”, https://www.amazon.com/dp/B0DG2X7W8Y, 参照 2025.8.18
[5] Linsoul, “Kiwi Ears Cadenza(34.99 USD)”, https://www.linsoul.com/products/kiwi-ears-cadenza, 参照 2025.8.18
[6] Geekwills, “CVJ YUKIMI(10 Hz–40 kHz/22 Ω/108 ± 2 dB 表記)”, https://www.geekwills.com/cvj-yukimi.html, 参照 2025.8.18
(2025.8.19)