DALI Oberon 5
SMC磁気回路を採用したエントリー級フロア型。カタログ上の仕様は堅実だが、独立測定公開は限定的で、価格面では強力な対抗馬が存在します。
概要
Oberon 5は、13 cmミッド/ベース×2と29 mmソフトドームを用いた2ウェイ・バスレフのコンパクトなフロア型スピーカーです。広指向性と低損失動作を狙った設計で、小~中規模の部屋に向けた自然な再生を目指します。主要仕様は39 Hz–26 kHz(±3 dB)、感度88 dB(2.83 V/1 m)、公称6 Ω、クロスオーバー2.4 kHzです。国内の参考価格は181,500円(2台1組)です。 [1]
科学的有効性
\[\Large \text{0.6}\]メーカー公表の基本仕様(39 Hz–26 kHz、88 dB/2.83 V/1 m、6 Ω)は妥当で、SMC磁気回路は鉄素材に起因するヒステリシスや渦電流などの非線形を抑えることで歪み低減を狙う理にかなった方策と説明されています。一方で、本機そのものの第三者機関による包括的な公開測定は少なく、独立データの蓄積待ちのため評価は未知基準0.5からやや上に設定します。 [1][2]
技術レベル
\[\Large \text{0.6}\]特許SMCの下位機種への適用、木繊維混抄コーンや広指向性設計など、設計思想は一貫しており実装も堅実です。システム構成としては標準的な2ウェイ/バスレフで、革新の主軸はモーター素材(SMC)にあります。技術の独自性は認めつつ、システム全体の高度さは中庸と判断します。 [1][2]
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.7}\]本機の現在価格は181,500円(2台1組、参考)ですが、CP計算はUSD基準で統一します。米国での実勢は1,500 USD(ペア)で、同等以上の機能・測定裏付けがある最安候補としてQ Acoustics 3050iを選定します。3050iは受動フロア型で機能は同等、NRC無響室での独立測定でリスニングウィンドウが概ね滑らか、実測感度も87.8 dB(2.83 V/1 m)と本機公称値と実質同等です。公式ストア価格は999 USD(ペア)。計算:999 ÷ 1,500 = 0.666… → 0.7。 [1][3][4][5]
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.7}\]パッシブ構成でソフトウェア要素を持たず、経年の主なリスクは筐体/ユニットとネットワーク部品です。DALIは長年の量産実績と販売網を持ち、現時点でOberonシリーズに体系的な不具合報告は見当たりません(一般カテゴリの所見、ファーム更新の考慮は不要です)。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.7}\]SMCによるモーター非線形の低減や広指向性重視など、測定で検証可能な要素に投資している点は合理的です。実在しない効果を謳うことなく、可聴改善に直結する物理量(歪・指向・損失)の改善を目標にしていると評価します。 [2]
アドバイス
小~中規模の部屋での設置が容易で、アンプは概ね30~150 Wのクリーンな出力との組み合わせが適しています。40 Hz未満の低域を強化したい場合はサブウーファーの併用を推奨します。価格重視なら、公開ラボ測定が揃う3050iは有力な代替候補です。 [1][4][5]
参考情報
[1] DALI(日本)「OBERON 5」製品ページ:仕様・国内価格、https://dm-importaudio.jp/dali/lineup/dali/index1146.html、2025-08-17参照。
[2] DALI「Patented Soft Magnetic Composite (SMC)」技術解説、https://www.dali-speakers.com/en/sound-academy/tech/patented-soft-magnetic-composite-smc、2025-08-17参照。
[3] Crutchfield「DALI Oberon 5 Floor-standing speaker」米国価格、https://www.crutchfield.com/p_411OB5WHT/DALI-Oberon-5-White.html、2025-08-17参照。
[4] SoundStage! Network「NRC Measurements: Q Acoustics 3050i」、https://www.soundstagenetwork.com/index.php?option=com_content&view=article&id=2036:nrc-measurements-q-acoustics-3050i-loudspeakers&catid=77:loudspeaker-measurements&Itemid=153、測定条件:NRC無響室、2 m測定(1 m換算)、感度は300 Hz–3 kHz平均、2025-08-17参照。
[5] Q Acoustics「3050i Floorstanding Speaker Pair」公式ストア価格、https://www.qacoustics.com/products/3050i-floorstanding-speaker-pair、2025-08-17参照。
(2025.8.18)