Denon DCD-755RE
測定データが一切公開されず、非科学的な技術を謳うなど多くの問題点を抱えるCDプレーヤー。生産終了品のためサポートにも懸念があり、専用機としての価値はほとんど見いだせない。唯一、中古市場での価格がコストパフォーマンスを辛うじて支えている。
概要
Denon DCD-755REは、192kHz/32bit DACを搭載したエントリーレベルのCDプレーヤーです。AL32 Processing技術の採用を謳い、基本的なCD再生機能に加えUSBポートによるファイル再生にも対応していますが、その性能や設計思想には多くの疑問点が指摘されています。
科学的有効性
\[\Large \text{0.3}\]本機は、音源への忠実度を評価するために不可欠な周波数特性の偏差(±dB)、THD+N、S/N比といった核心的な実測データが一切公開されていません。科学的根拠を提示せずに高音質を謳うことは、有効性が著しく低いと判断せざるを得ません。性能を証明できない製品の科学的価値は極めて低いと言えます。
技術レベル
\[\Large \text{0.4}\]Denon独自の「AL32 Processing」は、効果を裏付ける客観的なデータがなく、技術的な先進性を評価することはできません。DACチップや回路設計にも特筆すべき点はなく、全体として凡庸な技術構成です。効果の不明な独自技術に頼る姿勢では技術的ポテンシャルを評価できず、業界平均を下回るレベルと判断します。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.8}\]本機は生産終了品で、中古市場では約26,000円で取引されています。CD再生機能を持つ代替品として、現在新品で約20,000円から購入可能なユニバーサルBlu-rayプレイヤーが存在します。これらのプレイヤーもCD再生とデジタル出力を備えており、機能的には同等以上です。したがって、コストパフォーマンスは 20,000円 ÷ 26,000円 ≒ 0.77
と計算されます。この点だけが唯一の評価点です。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.5}\]Denonは大手メーカーですが、本機は生産終了品です。メーカーによる修理サポートは部品の在庫次第となり、長期的な使用には故障時のリスクが伴います。現行品と同等のサポートは期待できないため、信頼性の評価は限定的とならざるを得ません。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.2}\]本機の設計思想は極めて非合理的です。第一に、「AL32 Processing」のような科学的根拠が不明瞭な技術を音質の核としてアピールする点は、オーディオ神話に迎合するものです。第二に、CD再生という機能はより安価なユニバーサルプレイヤーで完全に代替可能であり、オーディオ専用機として存在する必然性がありません。これらの点から、本機は合理的な設計に基づいた製品とは到底言えません。
アドバイス
本製品の購入は推奨しません。性能を裏付ける客観的データが一切なく、設計思想も非合理的です。同等の機能はより安価なユニバーサルプレイヤーで実現できるため、あえて本機を選ぶ理由は見当たりません。唯一、中古価格(約26,000円)と代替品の新品価格(約20,000円)を比較した際のコストパフォーマンス評価(0.8)だけが数値上の評価点ですが、これは製品の絶対的な価値を示すものではありません。特別な理由がない限り、避けるべき選択肢です。
(2025.7.21)