EarFun Air Pro 4
Qualcomm QCC3091チップとaptX Lossless対応で高音質を実現しつつ、優れたコストパフォーマンスを誇るが、新興ブランドゆえの信頼性には留意が必要なワイヤレスイヤホン
概要
EarFun Air Pro 4は、2024年に発売されたワイヤレスイヤホンで、Qualcomm QCC3091チップセットを搭載し、aptX LosslessやLDAC、Hi-Res Audioに対応した高音質モデルです。50dBのアダプティブハイブリッドANCやBluetooth 5.4、52時間の長時間再生など、上位機種並みの機能を9,990円という価格で提供しています。VGP 2024金賞を受賞し、日本市場でも高い評価を得ているモデルですが、新興ブランドゆえの信頼性への懸念も指摘されています。
科学的有効性
\[\Large \text{0.7}\]周波数特性はHarmanターゲットカーブに良好に追従しており、8-11kHzの高域で軽微な落ち込みがあるものの、全体的にバランスの取れた特性を示しています。THD(高調波歪率)は0.7%未満であり、イヤホンの理想値(0.05%以下)には及ばないものの、実用上問題となるレベルではありません。50dBのアダプティブハイブリッドANCは優秀で、イヤホンの遮音性基準における「優秀」レベル(30dB以上)を大幅に上回っています。10mm複合振動板ドライバーによる音響性能も良好で、測定可能な音質改善が確認されています。
技術レベル
\[\Large \text{0.8}\]Qualcomm QCC3091は現世代のプレミアムチップセットであり、aptX LosslessとLDACという、競合する主要な高音質コーデックに両対応している点は技術的に高度です。QuietSmart 3.0による50dBのANC性能は業界上位レベルの技術力を示しています。6マイクアレイによるAIノイズ低減、Bluetooth 5.4対応、マルチポイント接続など、最新技術を適切に統合した設計となっています。OEM品の単純な組み合わせではなく、独自の調整が施された製品であり、技術的な完成度は高いレベルにあります。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{1.0}\]9,990円という価格で、aptX LosslessとLDACの両方に対応し、さらに50dBという強力なアクティブノイズキャンセリング機能を搭載した製品は、現在の市場において他に存在しません。同様の機能を持つ上位機種は存在するものの、価格は大幅に高くなります。したがって、本製品は同等以上の機能を持つ製品群の中で実質的に最も安価な選択肢であり、コストパフォーマンスは最高評価の1.0となります。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.4}\]EarFunは比較的新しいブランドであり、長期的な品質実績が不明瞭であるため、信頼性には未知数な部分が残ります。保証期間は標準的ですが、日本国内での修理体制やアフターサポートは大手メーカーと比較して劣る可能性があります。また、主要家電量販店での取り扱いが少ない場合、購入後のサポートを受けにくい状況も考えられます。新興メーカーとして製品の魅力は高いものの、信頼性の面では大手実績のあるメーカーに及ばないのが現状です。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.8}\]Harmanターゲットカーブに基づいた客観的な音質調整を行っており、測定データに基づく科学的なアプローチを採用しています。aptX LosslessやLDACといった高音質コーデックの実装、効果的なANC技術の採用など、聴覚上の音質改善に直結する技術に投資しています。直販モデルによるコスト削減で価格競争力を実現する戦略も合理的です。最新のBluetooth 5.4やAI処理による通話品質向上など、現代的で実用的な機能を適切に組み込んでいます。非科学的な主張や根拠のない音質向上策は見られず、合理的な設計思想に基づいた製品です。
アドバイス
EarFun Air Pro 4は、aptX LosslessやLDACといった最新の高音質コーデックや、強力なANC性能を、優れたコストパフォーマンスで体験したいユーザーにとって、市場で最も魅力的な選択肢の一つです。同等の機能を持つ製品はより高価であり、本製品の価格競争力は際立っています。特に対応デバイスを持つユーザーには、その価値を最大限に享受できるでしょう。ただし、新興ブランドであるため長期的な信頼性には未知数な面があります。購入を検討する際は、販売店の返品・交換ポリシーを事前に確認し、万が一の初期不良に備えることをお勧めします。
(2025.7.25)