Edifier MR5
tri-amped構成とBluetooth 6.0対応が特徴の5インチアクティブスタジオモニター。39,980円という価格に対し、Bluetooth搭載の競合製品「Pioneer DJ DM-50D-BT」が約29,700円で存在するため、コストパフォーマンスは平均をやや上回る評価となります。
概要
Edifier MR5は、北京に本社を置くEdifier Technology(漫步者)が2025年に発売した5インチアクティブスタジオモニターです。同社は1996年設立の老舗オーディオメーカーで、深圳証券取引所に上場する企業として約30年の事業実績を持ちます。MR5は、tri-amped(3ウェイ3アンプ)構成、Bluetooth 6.0対応、Hi-Res Audio認証取得を特徴とし、プロフェッショナル用途からコンシューマー用途まで幅広い使用を想定した製品です。
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]MR5の公称スペックは、周波数特性46Hz-40kHz、総出力110W RMS、最大SPL 101dB@1mとされています。しかし、周波数特性の許容偏差(±dB)や、THD+N、S/N比、クロストーク、ダイナミックレンジといった音質評価における重要な測定指標は公式に開示されていません。同価格帯の競合製品では詳細な測定データが提供されることが多く、この情報不足は科学的評価を困難にしています。tri-amped構成は理論的にクロスオーバー歪みの低減に寄与しますが、実測データがないため透明レベルの達成度は判断不可能です。業界平均水準の性能を持つ可能性はありますが、確証に欠けるため中間評価とします。
技術レベル
\[\Large \text{0.7}\]MR5の技術的特徴は、5インチクラスでは珍しいtri-amped構成にあります。各ドライバー(1インチシルクドームツイーター、3.75インチミッドレンジ、5インチウーファー)に専用Class-Dアンプを割り当て、デジタルクロスオーバーで精密な周波数分割を行う設計は先進的です。Bluetooth 6.0でLDACコーデックをサポートし、最大24bit/96kHzのHi-Res Audioワイヤレス伝送に対応している点も評価できます。ただし、Class-Dアンプの具体的な設計や実装技術の詳細は不明であり、基本的には汎用的なOEMチップセットの組み合わせと推測されます。全体として設計の独自性は認められるものの、業界最高水準の技術には及びません。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.7}\]MR5の日本市場価格は39,980円(ペア)です。比較対象として、同等の基本機能(5インチクラス・アクティブ・Bluetooth搭載)を持つ最も安価な競合製品に「Pioneer DJ DM-50D-BT」(約29,700円、ペア)が存在します。コストパフォーマンスは、比較対象の価格をレビュー対象の価格で割ることで算出します。計算式は 29,700円 ÷ 39,980円 = 0.74...
となり、四捨五入してスコアは0.7となります。MR5はtri-amped構成やLDAC対応で優位ですが、基本的なモニタリング機能とBluetooth接続性という点では、より安価な選択肢が存在するため、コストパフォーマンスは平均を上回るものの、突出して高いわけではありません。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.6}\]Edifierは深圳証券取引所上場企業(証券コード:002351)として29年の事業実績を持ち、企業としての継続性は高いと評価できます。製品保証期間は標準的な1年間で、日本市場でも正規代理店を通じたサポート体制が整備されています。ただし、MR5は比較的新しい製品のため、長期的な故障率に関する客観的データはまだありません。同社の過去製品における品質実績や、Red Dot Design Awardなどの受賞歴を考慮すると、業界平均程度の信頼性は期待できますが、国内サービス拠点の充実度や修理対応の迅速性においては、より確立されたブランドに劣る可能性があります。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.5}\]MR5の設計思想は、プロフェッショナル用途の音響技術とコンシューマー用途の利便性を両立させる点にあります。tri-amped構成の採用は音響工学的に合理的で、各帯域の最適化と歪み低減を目指す姿勢は評価できます。Hi-Res Audio認証やBluetooth 6.0対応も現代的なニーズに応じた合理的な判断です。しかし、同等の基本機能をより低コストで実現している競合製品が存在する中で、価格設定の合理性には疑問が残ります。スタジオモニターとしては有線接続の音質が基本であり、ワイヤレス機能にコストを配分する優先順位には議論の余地があります。技術的には標準的なアプローチに留まり、価格を破壊するような革新性は見られません。
アドバイス
MR5は、tri-amped構成やLDAC対応Bluetoothなど、技術的に堅実な特徴を持つ製品ですが、39,980円という価格に見合う価値があるかは慎重な検討が必要です。同等の機能を持つ製品として「Pioneer DJ DM-50D-BT」が約29,700円で存在することを考えると、コストパフォーマンスを最優先する場合には最適な選択とは言えません。MR5を選ぶべきなのは、特にtri-amped構成と高音質ワイヤレス接続の両方に価値を見出すユーザーに限られます。純粋なニアフィールドモニターとしての性能を有線接続で求めるのであれば、Bluetooth非搭載のより安価で実績のある競合製品(PreSonus Eris E5 XTなど)を推奨します。
(2025.7.23)