Edifier MR4

総合評価
3.3
科学的有効性
0.4
技術レベル
0.6
コストパフォーマンス
1.0
信頼性・サポート
0.7
設計思想の合理性
0.6

エントリーレベルのスタジオモニターとして手頃な価格で提供されるが、60Hz以下のサブベース再生能力の制限と測定性能の平凡さが目立つ製品

概要

Edifier MR4は、中国の音響機器メーカーEdifierが展開するエントリーレベルのアクティブスタジオモニターです。4インチウーファーと1インチシルクドームツイーターを搭載し、42W(21W×2)の出力を持つ2wayデザインを採用しています。16,980円程度の価格帯で、モニターモードとミュージックモードの切り替え機能を備え、ホームスタジオや小規模な制作環境向けに設計されています。MDF製キャビネットの採用により共振を抑制し、バランスXLR/TRS入力とRCA入力を装備しています。

科学的有効性

\[\Large \text{0.4}\]

測定データによると、THD+Nは0.2%以下、システム全体のS/N比は公式仕様では≥85dB(A)とされ、特定の測定条件下でSNRが最大99dBとされていますが、これらの数値は透明レベルには達していません。特に問題となるのは周波数特性で、60Hz-20kHzの範囲に制限されており、人間の可聴域である20Hz-20kHzを完全にカバーしていません。60Hz以下のサブベース領域の再生能力が欠如しているため、低音域の正確な再現が困難です。THD+N 0.2%はスピーカーとしては標準的な水準ですが、透明レベルの0.01%には大きく劣ります。これらの測定結果から、聴覚上の改善効果は限定的と判断されます。

技術レベル

\[\Large \text{0.6}\]

TI製デジタルアンプTAS5713を採用し、4インチウーファーと1インチシルクドームツイーターの組み合わせは業界標準的な設計です。MDF製キャビネットによる共振抑制や、モニター/ミュージックモードの切り替え機能は実用的な技術実装といえます。しかし、これらの技術は既存の設計を組み合わせたものであり、独自性や革新性は限定的です。クラスD増幅回路の採用は現代的ですが、測定性能の向上に大きく寄与していません。全体的に業界平均水準の技術レベルと評価できますが、最高水準には達していません。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{1.0}\]

MR4の価格は現在の市場で約16,980円(約115USD)です。コストパフォーマンスを評価するにあたり、同等以上の基本性能、具体的には4インチウーファーを搭載したアクティブスタジオモニターの中で、最も安価な代替品を探す必要があります。市場調査の結果、2025年現在、MR4はこのカテゴリにおいて実質的に最も安価な選択肢の一つとなっています。より安価な製品はウーファーサイズが小さいなど基本性能で劣るため、比較対象として適切ではありません。同等性能を持つより安価な代替品が見つからないため、コストパフォーマンスは1.0と評価されます。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.7}\]

Edifierは世界的に展開する音響機器メーカーとして、一定の製品品質と保証体制を維持しています。標準的な保証期間と修理サポートを提供し、グローバルな販売網を通じて製品入手が容易です。ただし、業界トップクラスの保証期間や特別なサポート体制は提供されておらず、信頼性において特筆すべき優位性はありません。製品の故障率や長期的な耐久性に関する詳細なデータは公開されていませんが、一般的な使用条件下では標準的な信頼性を期待できます。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.6}\]

エントリーレベルのスタジオモニターとしての設計は基本的に合理的ですが、いくつかの制限があります。60Hz以下のサブベース再生能力の制限は、小型スピーカーの物理的制約として理解できますが、正確な音響モニタリングには影響を与えます。モニターモードとミュージックモードの切り替え機能は実用的ですが、本来のスタジオモニターとしての目的を考えると、フラットな特性の維持が重要です。MDF製キャビネットの採用や適切な入力端子の配置は合理的な設計判断といえます。しかし、同価格帯でより優れた測定性能を持つ製品が存在することを考慮すると、設計思想の合理性は中程度と評価されます。

アドバイス

MR4の購入を検討している場合、まず使用目的を明確にすることが重要です。本格的な音楽制作や正確なモニタリングが必要な場合、60Hz以下のサブベース再生能力の制限とTHD+N 0.2%という数値は制約となる可能性があります。代替案として、同等の基本機能を持つ他のエントリーレベルスタジオモニターとの比較検討が必要です。また、予算を150USD程度まで拡張できる場合、より高性能な選択肢も検討できます。MR4を選ぶ利点は、4インチドライバーによるわずかに優れた低音再生能力とモード切り替え機能ですが、これらの付加価値が価格差を正当化するかは個人の用途によります。初心者向けのホームスタジオ用途であれば十分な性能を提供しますが、より高いレベルの音楽制作を目指す場合は、上位モデルの検討を推奨します。

(2025.7.11)