FiiO KA17
デュアルES9069Q DAC搭載のポータブルDAC/アンプ。THD+N 0.0015%以下、S/N比123dB、650mW出力を実現し、デスクトップレベルの測定性能を小型筐体で提供する高性能製品。
概要
FiiO KA17は、2024年にリリースされたポータブルDAC/ヘッドホンアンプです。デュアルES9069Q DACチップとTHX AAA 78+アンプ技術を組み合わせ、デスクトップレベルの音質性能を小型筐体で実現しています。3.5mmシングルエンド及び4.4mmバランス出力を搭載し、PCM 768kHz/32bit、DSD 512対応のハイレゾ再生が可能です。FiiOの技術力が結集された同社のフラッグシップポータブルDAC製品として位置づけられています。
科学的有効性
\[\Large \text{0.9}\]KA17は測定結果基準表の透明レベルを大部分でクリアしています。THD+N 0.0015%以下は透明レベルの0.01%を下回り、S/N比123dB(Aウェイト)も透明レベルの105dBを大幅に上回ります。周波数特性は20Hz-20kHz ±0.1dB以下を達成し、クロストークは80dB以上と優秀です。ダイナミックレンジ130dBも透明レベルを十分にクリアしており、聴覚上意味のある音質改善に寄与する測定性能を実現しています。出力インピーダンス1Ω以下も理想的な値です。
技術レベル
\[\Large \text{0.8}\]デュアルES9069Q DACチップの採用は技術的に先進的です。第4世代32bit HyperStream技術により、前世代比で高性能化と低消費電力化を実現しています。THX AAA 78+アンプ技術の4チャンネル完全バランス設計と8チャンネル並列接続op-ampは業界最高水準の技術的アプローチです。XMOS 16コアXU316プロセッサーの採用も技術レベルの高さを示しています。ただし、DACチップ自体は既製品の組み合わせであり、完全な自社設計ではない点で減点となります。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{1.0}\]KA17の価格は20,990円です。包括的な市場調査の結果、同等以上の測定性能(THD+N 0.0015%以下、S/N比123dB、650mW出力)を持つポータブルDAC/アンプで、より安価な製品は存在しません。最も近い競合製品はiBasso DC Elite(65,249円、現在の確認済み小売価格)です。計算式:65,249円 ÷ 20,990円 = 3.11となり、1.0を超えるため評価は1.0となります。TOPPING D10s(11,000円)等の据え置きDACは優秀な測定スペックを持ちますが、ポータブル形状、バッテリー/バスパワー動作、高出力ヘッドホンアンプ機能を欠くため、本製品カテゴリとは異なります。KA17は同等機能・測定性能を持つポータブル製品の中で最安価格を実現しています。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.8}\]FiiOは業界内で高い信頼性を誇るメーカーです。製品には1年間の保証が付属し、日本国内に正規代理店を持つため修理サポート体制が確立されています。ファームウェア更新にも対応しており、継続的な機能改善が期待できます。過去のKAシリーズの実績から、故障率は業界平均を下回ると推定されます。ただし、ポータブル製品特有の物理的耐久性については、長期使用での検証が必要です。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.8}\]KA17の設計思想は科学的に極めて合理的です。測定可能な音質改善に直結するTHD+N低減、S/N比向上、周波数特性フラット化を技術的に追求しています。デスクトップモードによる高出力化は、高インピーダンスヘッドホンの駆動において聴覚上意味のある改善をもたらします。ソフトウェア信号処理による10段階PEQ調整機能も、ユーザーの聴覚特性に応じた最適化を可能にする合理的なアプローチです。専用機器としての存在意義も、この性能を2万円台で実現する点で十分に正当化されます。
アドバイス
KA17は2万円のポータブルDAC/アンプ市場において、デスクトップレベルの測定性能を実現した革新的な製品です。購入を検討される方は、まず使用予定のヘッドホンのインピーダンスを確認してください。32Ω以下の高効率ヘッドホンであれば通常モードで十分ですが、300Ω以上の高インピーダンス機では デスクトップモードの650mW出力が真価を発揮します。競合するiBasso DC Eliteと比較して44,000円以上の価格差(確認済み現在価格)がありますが、測定性能では遜色ない水準を達成しており、コストパフォーマンスを重視する方には最適な選択肢です。ただし、ポータブル用途では発熱とバッテリー消費に注意が必要で、デスクトップモード使用時は電源供給の安定性を確保することを推奨します。
(2025.7.22)