FiiO BTR17

参考価格: ? 29290
総合評価
4.1
科学的有効性
0.9
技術レベル
0.9
コストパフォーマンス
0.7
信頼性・サポート
0.8
設計思想の合理性
0.8

FiiOのフラグシップBluetoothレシーバーとして、デュアルES9069Q DAC、THX AAA 78+アンプ、Qualcomm QCC5181プラットフォームを搭載し、aptX Losslessによる無劣化ワイヤレス伝送を実現。デスクトップモードでは650mWの高出力を発揮し、もはやDAP並みの音質と機能性を提供。768kHz/32bit PCM、DSD512、MQA対応により、あらゆるハイレゾ音源を高品質で再生できる多機能デバイス。

概要

FiiO BTR17は、2024年12月に発売されたFiiOのフラグシップBluetoothレシーバーです。前作BTR7から大幅な進化を遂げ、デュアルES9069Q DAC、THX AAA 78+アンプ、Qualcomm QCC5181プラットフォームを搭載。aptX Losslessコーデックによる無劣化ワイヤレス伝送、最大650mWの高出力、768kHz/32bit PCM・DSD512・MQA対応など、プロフェッショナルレベルの機能を小型筐体に凝縮しています。1.3インチIPS液晶ディスプレイ、10バンドPEQ、3つの動作モード(PC、BT、PHONE)により、ワイヤレスとUSB DAC両方の用途で最高クラスの音質を提供します。

科学的有効性

\[\Large \text{0.9}\]

BTR17の測定性能は、同価格帯の製品を大きく上回る水準に達しています。デュアルES9069Q DACによるDNR 130dB、THD+N -120dBという仕様は、透明性の高い音質再生に必要な条件を大幅に満たしています。aptX Losslessコーデックの2.1Mbps伝送能力により、CD品質の無劣化ワイヤレス伝送が実現され、Bluetooth接続での音質劣化を理論上排除。THX AAA 78+アンプの8チャンネル完全バランス設計により、クロストークの低減と歪みの最小化が図られています。10バンドPEQは192kHzサンプリングレートまで対応し、デジタル信号処理による音質補正が可能です。

技術レベル

\[\Large \text{0.9}\]

BTR17は、現在入手可能な最高水準のチップセットを採用した非常に高度な設計です。Qualcomm QCC5181は最新のBluetooth 5.4およびLE Audio対応プラットフォームで、2.1Mbpsの高速伝送を実現。デュアルES9069QはESSの最新DACチップで、HyperStreamテクノロジーにより優秀な性能を発揮します。XMOS XU316はUSBコントローラーとして768kHz/32bit、DSD512、MQA対応を可能にし、デスクトップオーディオでも妥協のない性能を提供。3つの動作モードの切り替えにより、用途に応じた最適化が実現されています。設計思想、部品選定、実装技術すべてにおいて業界最高水準に到達しています。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.7}\]

BTR17の実売価格は約29,290円で、同等機能を持つ競合製品と比較すると価格競争力に課題があります。直接の競合であるQudelix 5K(約20,000円)は、デュアルES9219 DAC、aptX Adaptive対応、優秀なPEQ機能を提供し、EQ機能では「市場最高」と評価されています。BTR17は技術的には優位(ES9069Q、aptX Lossless、THX AAA 78+)に立っていますが、音質向上の程度と価格差(約1.5倍)を考慮すると、コストパフォーマンスは限定的です。Shanling UP5(約25,000円)も強力な競合製品として存在し、XMOS USBレシーバーとMQA対応により類似機能を提供しています。CP = 20,000円 ÷ 29,290円 = 0.68となり、やや割高感があります。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.8}\]

FiiO製品の品質水準は近年向上しており、BTR17も同様の傾向が期待できます。1年間の製品保証と日本国内での正規販売により、適切なサポート体制が整っています。内蔵バッテリーの長期耐久性については、リチウムイオン電池の特性上、2-3年での劣化が想定されますが、これは同種製品共通の課題です。ファームウェアアップデートによる機能追加や不具合修正が期待できる一方、FiiOのアプリケーション品質には改善の余地があり、設定変更時の動作速度に課題があります。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.8}\]

BTR17の設計思想は非常に合理的です。Bluetoothレシーバーとしての基本機能に加え、USB DAC機能を統合し、3つの動作モードにより用途に応じた最適化を実現。デスクトップモードでの650mW出力は、外部電源供給時のみ動作する合理的な設計で、バッテリー寿命とのバランスを考慮しています。10バンドPEQによるデジタル信号処理は、物理的な音響補正よりも効率的で精密な調整を可能にします。aptX Losslessサポートは、ワイヤレス接続での音質劣化を理論上排除し、有線接続との性能差を最小化。1.3インチディスプレイによる視覚的フィードバックも実用的で、設定確認が容易です。

アドバイス

FiiO BTR17は、Bluetoothレシーバー分野における現在の最高峰製品の一つです。aptX Losslessによる無劣化ワイヤレス伝送、THX AAA 78+アンプによる高出力、デュアルES9069Q DACによる優秀な測定性能により、ワイヤレス接続でも有線接続並みの音質を実現できます。デスクトップオーディオとポータブルオーディオの両方に対応し、一台で多用途をカバーしたい方には理想的な選択肢です。ただし、価格は競合製品の1.5倍程度で、音質向上の程度と費用対効果を慎重に検討する必要があります。アプリケーションの動作速度に課題があり、設定変更時にストレスを感じる可能性があります。高品質なワイヤレスオーディオ体験を求め、価格よりも技術的完成度を重視する方には、間違いなく推奨できる製品です。最新のaptX Lossless対応スマートフォンやDAP、THX AAA 78+の高出力を活用できる高インピーダンスヘッドホンとの組み合わせで、真価を発揮します。

(2025.7.7)