概要

Final Audio S4000は、デュアルBAを搭載し、ステンレス鋼筐体と新開発の「トーンチャンバーシステム」、修理性を重視した構造を採用する有線IEMです。付属品は0.78 mm 2ピンの8芯銀コートOFCケーブルとFusion-Gイヤーピースなどで、ケーブルダウン／耳掛けの両装着に対応します。国内の参考価格は44,800円です（米国代表価格は329 USD）。主要カタログ値は48 Ω、112 dBです。 [1][2][3]

科学的有効性

\[\Large \text{0.5}\]

2025年8月18日時点で、S4000の周波数特性・歪み・遮音の第三者計測（B&K 5128/IEC 60318-4等）は公開されていません。したがって独立データが出るまで中立の0.5を基準とします。メーカー公表情報はデュアルフルレンジBA（水平対向配置）、48 Ω、112 dBなどにとどまり、THDや遮音の数値は開示されていません。信頼できる測定値が出揃い次第、評価は更新可能です。 [1]

技術レベル

\[\Large \text{0.6}\]

前室容積を制御する「トーンチャンバー」や、自己共振低減を狙ったBAの水平対向配置、精密加工のステンレス筐体、接着剤の使用を抑えた修理前提の設計、標準2ピン着脱ケーブル、2年保証などは合理的かつ一定の独自性があります。最先端とまでは言えないものの、堅実な実装です。 [1]

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.1}\]

基準価格（分母）: 44,800円（329 USD 相当、計算はUSD基準で実施）。 [2][3]

同等以上の比較対象（最安）: Moondrop Chu II（有線IEM、0.78 mm 2ピン着脱）。第三者のB&K 5128測定でターゲットに近い周波数特性が確認され、メーカーは1 kHz/94 dBでTHD≤0.5%を公表しています。ユーザー視点の機能（有線・受動遮音・着脱ケーブル）と聴感上重要な指標（ターゲット整合FR、通常音圧での低歪み）で同等以上と判断します。市場価格: 19 USD。計算: 19 USD ÷ 329 USD = 0.06 → 小数第1位四捨五入で 0.1。S4000の第三者実測が出揃うまで暫定判断です。 [4][5][3]

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.6}\]

S4000は2年保証で、ステンレス筐体と標準2ピン着脱ケーブル、分解・修理を想定した構造など、耐久性と保守性に配慮があります。公的な故障率データは見当たりませんが、サポート水準は同カテゴリの平均的水準とみなせます。 [1]

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.5}\]

ドライバー干渉を機械的に抑える水平対向配置、前室制御による音響設計、修理性重視といった方向性は工学的に合理的です。一方で、透明性達成を示す第三者測定の裏付けが不足しているため、高評価までは至りません。現時点では中立評価とします。 [1]

アドバイス

ステンレス筐体の小型シェルやデュアルBA、修理しやすい構造に価値を置く方には一考の余地があります。客観的な音質（測定整合）を最小コストで得たい場合、ターゲット整合が確認済みの低価格IEM（例：Moondrop Chu II）が依然として有力です。S4000の独立測定が公開されるまで、価格対効果の観点では慎重な検討をおすすめします。 [4][5]

参考情報

[1] final（公式）. “S4000 – 製品ページ（特長・仕様）.” https://final-inc.com/en/products/s4000 （2025-08-18参照）。仕様：フルレンジBA×2（水平対向）、ステンレス筐体、0.78 mm 2ピン、感度112 dB、インピーダンス48 Ω、保証2年。

[2] AV Watch. “final、トーンチャンバーシステム採用の新BAイヤフォン『S5000/4000』.” https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1633825.html （2024-10-23；2025-08-18参照）。国内価格：S4000 44,800円、S5000 54,800円。

[3] Audio46. “Final Audio S4000 Earphones（米国商品ページ）.” https://audio46.com/products/final-audio-s4000-earphones （2025-08-18参照）。米国代表価格329 USD。

[4] Moondrop（公式）. “MOONDROP CHU II – 仕様.” https://moondroplab.com/en/products/chu-ii （2025-08-18参照）。THD≤0.5%（1 kHz/94 dB）、有効FR 20 Hz–20 kHz（IEC 60318-4）。

[5] Crinacle / Hangout.Audio. “5128 Graph Tool – Chu 2.” https://graph.hangout.audio/iem/5128/?share=Chu_2 （2025-08-18参照）。第三者による周波数特性測定（B&K 5128）。

(2025.8.19)