Focusrite Scarlett 16i16
RedNetコンバーターを搭載した16入力16出力のUSBオーディオインターフェイス。122dBの広大なダイナミックレンジと優れたプリアンプ性能を誇ります。同等以上の機能と測定性能を持つ製品の中で世界最安であり、極めて高いコストパフォーマンスを実現しています。
概要
Focusrite Scarlett 16i16(第4世代)は、同社のフラッグシップRedNetシリーズから直接採用されたコンバーターを搭載する16入力16出力のUSBオーディオインターフェイスです。最大122dBのダイナミックレンジを持つ24-bit/192kHz対応AD/DAコンバーターと、最大69dBのゲインと-127dBuのEINを誇る2基の第4世代Scarlettマイクプリアンプを搭載しています。Auto GainやClip Safeなどの現代的な機能を備え、プロフェッショナルなレコーディング環境での使用を想定した設計となっています。
科学的有効性
\[\Large \text{0.8}\]AD/DAコンバーターのダイナミックレンジは122dB(ライン出力)を達成しており、ポリシーの透明レベル(105dB以上)を大きく上回っています。マイクプリアンプの等価入力ノイズ(EIN)も-127dBuと非常に優秀で、微細な音源もノイズを抑えてクリアに捉えることが可能です。24-bit/192kHz対応と合わせ、人間の可聴域を超える忠実な信号変換を実現しており、科学的有効性は極めて高い評価となります。第三者による詳細な測定でも、公称値に近い優れた性能が確認されており、信頼性の高いパフォーマンスを提供します。
技術レベル
\[\Large \text{0.8}\]フラッグシップであるRedNetシリーズのコンバーター技術を継承している点は、技術的なアドバンテージです。69dBの広大なゲインレンジを持つ第4世代マイクプリアンプや、録音ミスを防ぐ実用的なデジタル信号処理技術「Auto Gain」「Clip Safe」は、技術的に先進的と言えます。しかし、USB接続で多チャンネルの入出力を実現する基本アーキテクチャは標準的なものであり、業界全体を刷新するような革新的な技術とまでは言えません。堅実で高性能な技術を、うまく製品に落とし込んでいると評価できます。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{1.0}\]Focusrite Scarlett 16i16の市場価格は64,800円です。この製品と「同等以上の入出力チャンネル数(16イン/16アウト以上)」「同等以上の測定性能を持つコンバーターとプリアンプ」「ループバック機能」をすべて満たす代替品を調査したところ、PreSonus Studio 1824c(約7万円台)など、より高価な製品しか見つかりませんでした。したがって、レビュー対象であるScarlett 16i16が、その機能と性能カテゴリにおいて世界で最も安価な選択肢となります。ポリシーの計算式に基づき、スコアは1.0となります。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.8}\]Focusriteはオーディオインターフェイス業界におけるリーディングカンパニーであり、製品の品質管理やサポート体制には定評があります。3年間の長期保証も提供しており、信頼性は高い水準です。一部で第4世代製品全般のファームウェアアップデートに関する初期の不安定さが報告されましたが、その後のアップデートで改善されており、ハードウェア自体の信頼性を損なうものではありません。業界標準以上のサポートが期待できるため、安心して使用できる製品です。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.8}\]プロ用のハイエンド機材であるRedNetの技術を、より多くのユーザーが利用できる価格帯の製品に展開するというアプローチは非常に合理的です。Auto GainやClip Safeといった、ヒューマンエラーを減らし作業効率を高める機能の搭載は、現代の制作環境のニーズを的確に捉えています。2基のマイクプリアンプは限定的ですが、ADAT拡張を前提とすれば、スタジオの中核として十分な合理性を持つ設計です。性能、機能、価格のバランスが巧みに計算されています。
アドバイス
Focusrite Scarlett 16i16は、ホームスタジオを拡張したい方や、多チャンネルの同時録音・再生環境を構築したい方にとって、極めてコストパフォーマンスの高い選択肢です。同等の性能を持つ他社製品と比較して最も安価であり、その上でAuto Gainなどの実用的な機能も備わっています。マイクプリアンプが2基で不足する場合は、ADAT経由でScarlett OctoPreなどのプリアンプを増設することで、シームレスにシステムを拡張できます。高い基本性能と信頼性、将来的な拡張性を兼ね備えており、この価格帯では決定的な選択肢の一つと言えるでしょう。
(2025.7.30)