Focusrite Scarlett 18i20 Gen 4

総合評価
3.5
科学的有効性
0.8
技術レベル
0.7
コストパフォーマンス
0.6
信頼性・サポート
0.8
設計思想の合理性
0.6

RedNet コンバーター搭載により122dBダイナミックレンジを実現した18in20outオーディオインターフェース。音質は優秀だが価格競争力に課題。

概要

Focusrite Scarlett 18i20 Gen 4は、2024年にリリースされたプロフェッショナル向け18in20outオーディオインターフェースです。フラグシップRedNetシリーズのコンバーターを搭載し、122dBダイナミックレンジを実現しました。8つのScarlettマイクプリアンプ、Auto Gain、Clip Safe機能を備え、192kHz/24bitサンプリングに対応します。Focusriteは1985年創業のイギリスの老舗オーディオメーカーで、プロスタジオでの実績があります。

科学的有効性

\[\Large \text{0.8}\]

RedNetコンバーター搭載により122dBダイナミックレンジを実現、マイクプリアンプは69dBのゲインを提供し、THD -100dBの優秀な測定値を記録しています。192kHz/24bitサンプリング対応で、人間の可聴域を十分に超えた性能を持ちます。Auto Gain機能により自動的に最適なゲイン設定を行い、Clip Safe機能でクリッピングを防止します。これらの機能は測定可能な音質改善効果を実現しており、科学的根拠に基づいた効果があります。

技術レベル

\[\Large \text{0.7}\]

RedNetシリーズのコンバーター技術を下位機種に展開した点は評価できますが、基本的には既存技術の流用です。Auto Gain、Clip Safe、Dynamic Halos等の機能は実用的で、ソフトウェア制御による利便性向上を実現しています。8つのマイクプリアンプ設計も業界標準的なレベルで、革新的な技術というよりは確実な設計です。ADAT拡張により16chの追加が可能な点は実用的です。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.6}\]

現在価格約¥93,000に対し、PreSonus Studio 1824c(¥57,750)が同等の18in20out構成で存在します。Studio 1824cは115dBダイナミックレンジ、XMAXプリアンプ搭載で、実用上の音質差は限定的です。CP = 57,750 ÷ 93,000 = 0.62となり、価格競争力に課題があります。RedNetコンバーター、Auto Gain等の付加機能を考慮しても、純粋な音質性能に対するコストは割高です。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.8}\]

Focusriteは老舗メーカーとしての実績があり、製品の信頼性は高いレベルです。国内正規代理店による3年保証、継続的なファームウェアアップデートが提供されています。プロスタジオでの採用実績も多く、長期使用における信頼性は証明されています。USB-Cコネクタの採用により将来性も確保されています。ただし、価格帯を考慮すると完全ではありません。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.6}\]

RedNetコンバーター技術の下位展開により確実な音質向上を図った合理的な設計です。Auto Gain、Clip Safe等のソフトウェア制御機能は現代的で実用的です。しかし、18in20outという中途半端な構成は疑問視されます。プロ用途なら32in32out、セミプロなら8in8outが一般的で、この構成の必然性は限定的です。オーディオ専用筐体による高コスト化も、汎用ソリューションの進歩を考慮すると合理性に欠けます。

アドバイス

Focusrite Scarlett 18i20 Gen 4は確かに高音質を実現していますが、価格競争力に大きな課題があります。約¥35,000の価格差でPreSonus Studio 1824cが同等の機能を提供している現実を考慮すると、購入理由は限定的です。FocusriteブランドやRedNetコンバーターにこだわる場合は選択肢となりますが、コストパフォーマンス重視なら代替品が合理的です。プロスタジオでの運用を考えるなら、より大規模な32in32out以上の製品を検討すべきでしょう。DTMユーザーなら8in8outクラスで十分な場合が多いです。

補足情報

付属ソフトウェアにHitmaker Expansion、Pro Tools Artistが含まれます。ADAT拡張により最大16chの追加入出力が可能です。4つのエンドレスエンコーダー、Dynamic Gain Halosによる視覚的フィードバック機能を搭載しています。

レビュー日時

(2025.7.8)