Fosi Audio DS2

総合評価
3.7
科学的有効性
0.8
技術レベル
0.7
コストパフォーマンス
0.5
信頼性・サポート
0.9
設計思想の合理性
0.8

デュアルCS43131搭載のポータブルUSB DAC/アンプ。優秀な測定スペックと手頃な価格設定だが、競合製品との価格競争で厳しい立場

概要

Fosi Audio DS2は、Cirrus Logic社製CS43131 DACチップをデュアル搭載したポータブルUSB DAC/アンプです。2024年版では従来のESS社製チップから変更され、3.5mmシングルエンドと4.4mmバランス出力を搭載し、最大384kHz/32bit PCM、DSD256に対応しています。CNC加工による金属製ボディと60段階の独立ボリューム調整機能を備え、59.99米ドルの価格帯でポータブルオーディオ市場に参入しています。

科学的有効性

\[\Large \text{0.8}\]

THD+N 0.0001%、S/N比 130dB、SINAD 109dBという測定値は透明レベルを達成しており、科学的に有効な性能を示しています。ノイズフロア1μVも優秀で、可聴域において十分な品質を提供します。デュアルCS43131構成により、特に4.4mmバランス出力では510mW@32Ωと十分な駆動力を確保しています。周波数特性も±0.5dB以内に収まっており、客観的測定において高水準の性能を達成しています。

技術レベル

\[\Large \text{0.7}\]

デュアルCS43131構成とSA9312 USBインターフェース採用により、業界標準以上の技術水準を示しています。ただし、DACチップ自体は汎用品の組み合わせであり、独自設計要素は限定的です。60段階ボリューム調整とLEDインジケーターによる再生フォーマット表示などの実用的な機能を含む設計は評価できますが、革新的な技術要素は見られません。CNC加工による筐体品質は良好で、物理的な信頼性は確保されています。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.5}\]

DS2の価格は59.99米ドル(¥9,000)ですが、同等性能の競合製品が存在します。FiiO KA11(29.99米ドル = ¥4,500、THD+N 0.0006%、S/N比 125dB)は約1/2の価格で同等性能を提供し、iFi GO Link Max(79米ドル = ¥11,850、THD+N 0.0015%、S/N比 130dB)は若干高価格で同等性能を実現しています。計算式: ¥4,500 ÷ ¥9,000 = 0.5

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.9}\]

Fosi Audioは安定した製品供給とアフターサポートを提供しており、Amazon等の主要プラットフォームでの販売実績も豊富です。製品の故障率は低く、ユーザーレビューでも信頼性に関する大きな問題は報告されていません。国際的な販売網を持ち、技術サポートも適切に提供されています。1年間の製品保証も標準的で、業界平均以上の信頼性を示しています。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.8}\]

測定性能の向上に直結するデュアルCS43131構成は合理的な設計判断です。3.5mmと4.4mmの両出力対応、実用的なボリューム調整機能、コンパクトな筐体設計など、ポータブル用途に特化した実用的なアプローチを取っています。非科学的な音質改善主張は見られず、客観的測定値に基づいた設計方針を採用しています。ただし、価格帯を考慮すると、より攻撃的なコスト削減の余地があったと考えられます。

アドバイス

DS2は測定スペック上優秀な製品ですが、競合製品との価格競争において厳しい立場にあります。半額のFiiO KA11(29.99米ドル)でも実用上十分な性能を得られ、iFi GO Link Max(79米ドル)は若干高価格で同等性能を提供しています。購入を検討する場合は、デュアルCS43131構成による安定性と、Fosi Audioのブランド信頼性を重視するユーザーに適しています。ただし、純粋なコストパフォーマンスを求める場合は、より安価な競合製品を検討することをお勧めします。測定データを重視し、客観的性能を求めるオーディオファイルには適した選択肢の一つです。

(2025.7.8)