Fostex RS-N2
Fostex RS-N2は業務用に特化した3ウェイリファレンスモニターで、独自の技術を採用する一方、受注生産による入手難と現行のDSP内蔵一体型モニターとは設計思想が異なる
概要
Fostex RS-N2は放送局やプロダクション施設向けに開発された3ウェイアクティブリファレンスモニターです。純マグネシウムハードドームツイーター、130mm HPスコーカー、300mm HPウーファーの構成で、40Hz-20kHz ±3dBの周波数特性が公称されています。専用アンプAccuphase PRO-30(N)との組み合わせで動作し、重量は約75kgと大型の設計です。主に業務用途向けの受注生産品で、購入や納期はFostexへの直接相談が必要です。
科学的有効性
\[\Large \text{0.7}\]RS-N2は40Hz-20kHz ±3dBという周波数特性を公称しており、透明レベル(±0.5dB)には届かないものの、問題レベル(±3.0dB)の境界線上にあります。純マグネシウムドームツイーターなど、歪み低減に配慮した設計が見られます。ただし、具体的なTHD+N、SNR、クロストークなどの詳細な測定データは公開情報からは確認できず、透明レベル達成の確証は得られません。業務用として設計されていることから一定の性能は期待できますが、科学的有効性の完全な評価には実測データが不可欠です。
技術レベル
\[\Large \text{0.4}\]純マグネシウムハードドームツイーターやHPユニットなど独自の設計思想が見られますが、その多くは1990年代〜2000年代に確立された技術であり、2025年時点では最先端とは言えません。また、アクティブスピーカーでありながら専用アンプを別筐体とする構成は、現代のDSP内蔵一体型設計に比べると統合性で劣ります。総じて業界平均をやや下回る水準と評価します。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.9}\]比較対象(同等の実用性能を満たす現行アクティブモニターの例)としてGenelec 8030C(ペア 約260,000円)を採用します。一方、RS-N2は中古市場で約300,000円で取引される事例があります。計算: 260,000円 ÷ 300,000円 = 0.87 → 0.9。入手性・メンテナンス性の差を踏まえても、現代的な代替として8030Cの価格対性能は優れています(価格は時期・地域により変動)。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.8}\]Fostexは1973年創立の老舗音響メーカーで、業務用機器において長期サポート実績があります。RS-N2は放送局などでの使用を想定した業務用設計のため、一般的な信頼性は期待できます。ただし、受注生産品であることから部品供給や修理対応に時間を要する可能性があり、サポート体制も主に業務用途に限定されます。業界標準を上回る信頼性を持ちますが、アクセシビリティに制約があります。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.7}\]透明レベル達成を目指した技術投入が見られ、歪み低減や周波数特性改善への取り組みは合理的です。業務用途での正確な音源再生を目的とした設計思想は科学的根拠に基づいています。しかし、現代的なDSP技術やルーム補正機能を持たず、アクティブスピーカーとしては統合性に欠ける設計です。また、個人市場を完全に排除した販売方針は市場拡大の機会を自ら制限しており、コスト削減効果を得られません。技術的合理性は認められるものの、総合的な設計思想では改善の余地があります。
アドバイス
RS-N2は技術的に興味深い製品ですが、2025年現在では入手困難性が最大の課題です。確実に入手できる現行のアクティブモニター(例: Genelec 8030C、Neumann KH120系、Genelec 8040系など)も選択肢となります。8030Cは2ウェイながらAccuracy of frequency response ±2 dB(54 Hz–20 kHz)、Class D 50W+50Wの内蔵アンプ、DSP機能を備えます。用途・設置環境・入手性を総合して検討するのが現実的です(価格は目安で時期・地域により変動)。
(2025.8.8)