Genelec G Three

参考価格: ? 195800
総合評価
3.4
科学的有効性
0.8
技術レベル
0.7
コストパフォーマンス
0.2
信頼性・サポート
0.9
設計思想の合理性
0.8

フィンランドの老舗プロオーディオメーカーGenelecによる5インチアクティブモニター。優秀な測定性能と信頼性を持つが、同等以上の性能を持つ製品と比較して価格が約6.6倍と極めて高価。

概要

Genelec G Threeは、フィンランドの老舗プロオーディオメーカーGenelecが設計・製造する5インチ2ウェイアクティブモニタースピーカーです。130mmポリプロピレンコーンウーファーと19mmアルミニウムドームツイーターを搭載し、それぞれ50WのクラスDアンプで駆動されます。キャストアルミニウム筐体、アクティブクロスオーバー、専用設計アンプなど、Genelecの長年にわたるプロフェッショナルモニター開発の知見が投入されています。RCAとXLR入力を装備し、デスクトップ、ウォールマウント、天吊りなど多様な設置に対応します。ホームオーディオからプロフェッショナルスタジオまで幅広い用途での使用を想定した製品です。

科学的有効性

\[\Large \text{0.8}\]

Stereophileの実測データによると、G Threeは極めて優秀な測定性能を示しています。周波数特性は54Hz-20kHz ±2.5dBと公称スペック通りで、最適な測定軸では300Hz-20kHzで±1.5dBの精度を実現しています。総高調波歪率は100Hz以上で0.5%未満、50-100Hzで2%未満と、スピーカーカテゴリでは優秀なレベルに達しています。クロスオーバー周波数3kHzでの継ぎ目も滑らかで、アクティブ設計の利点が測定結果に表れています。これらの測定値は聴覚上意味のある改善をもたらすレベルであり、透明度の高い音響再生が期待できます。しかし、周波数特性の±1dB以下という透明レベルには届いておらず、また低域の伸びも54Hzと限定的です。

技術レベル

\[\Large \text{0.7}\]

G Threeは業界平均を上回る技術レベルを持っています。キャストアルミニウム筐体は共振を効果的に抑制し、社内設計のクラスDアンプは各ドライバーに最適化されています。アクティブクロスオーバー設計により、パッシブ部品による損失や位相特性の劣化を排除しています。130mmウーファーと19mmツイーターの組み合わせは適切に設計されており、3kHzのクロスオーバー周波数も合理的です。ただし、ドライバー技術自体は特に革新的ではなく、クラスDアンプも現在では一般的な技術です。同社の上位機種と比較すると、DSP処理やルームコレクション機能などの先進技術は搭載されていません。技術的には堅実で信頼性重視の設計といえるでしょう。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.2}\]

G Threeのコストパフォーマンスは極めて低いと評価せざるを得ません。日本での価格は単体97,900円、ペアで195,800円です。同等の機能・測定性能を持つJBL 305P MkIIはペア29,600円で購入可能であり、計算式「29,600円 ÷ 195,800円 = 0.151」に基づき、スコアは0.2となります。測定性能においても、JBL 305P MkIIは周波数特性のフラットさや低域の伸びにおいてG Threeに匹敵、あるいは部分的に上回っており、機能面で劣る点はありません。同様に高性能なAdam Audio T5Vもペア57,200円で入手可能です。Genelecブランドの付加価値を除けば、純粋な性能対価格比では他の選択肢が圧倒的に優れています。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.9}\]

Genelecは業界最高水準の信頼性とサポート体制を提供しています。フィンランドでの自社生産による品質管理は極めて厳格で、プロオーディオ業界での長年の実績があります。製品登録により5年保証が提供され、これは業界標準の2-3年を大幅に上回ります。キャストアルミニウム筐体は長期使用での劣化が少なく、アクティブ回路も高信頼性部品で構成されています。国内代理店のサポート体制も整っており、故障時の対応や修理サービスも充実しています。プロフェッショナル用途での酷使にも耐える堅牢性を持ち、長期間の安定動作が期待できます。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.8}\]

G Threeの設計思想は極めて合理的で科学的です。アクティブ設計により各ドライバーに最適化されたアンプを直結し、パッシブクロスオーバーによる損失や位相問題を排除しています。測定に基づく音質チューニング、キャストアルミニウム筐体による共振抑制、適切なクロスオーバー周波数の選択など、すべて物理的根拠に基づいています。Genelecは測定機器メーカーとしての側面も持ち、非科学的なオーディオ神話に惑わされない姿勢を貫いています。ただし、現代的な観点では、DSP処理による更なる精度向上やルームコレクション機能の非搭載は、やや保守的ともいえます。

アドバイス

G Threeは優秀な測定性能と高い信頼性を持つプロフェッショナルグレードのモニタースピーカーですが、コストパフォーマンスの観点から推奨しにくい製品です。同等の機能・性能を持つJBL 305P MkIIが約6.6分の1の価格で、Adam Audio T5Vが約3.4分の1の価格で入手可能な現状では、Genelecブランドへの強いこだわりがない限り合理的な選択とはいえません。購入を検討される場合は、本当にGenelecの付加価値(長期保証、ブランド信頼性、フィンランド製造品質)に195,800円の価値を見出せるかを慎重に判断してください。プロスタジオでの使用や、長期間の安定運用が最優先で予算に余裕がある場合にのみ推奨できます。一般的なホームオーディオ用途であれば、まず代替製品を検討し、その音質や機能に不満がある場合の最終選択肢と位置づけるべきでしょう。

(2025.7.24)