HiFiMAN Ananda
軽量設計と適度な技術性能を持つオープンバック型平面磁界駆動ヘッドホンで、現在の価格でより改善されたバリュープロポジションを提供
概要
HiFiMAN Anandaは、同社の平面磁界駆動ヘッドホンの中核となるオープンバック機です。質量は399g、周波数応答は8Hz–55kHzとされ、発売当初の999 USDから価格改定が進み、現在は一部の小売で新品が360 USD前後で流通し、競争の激しいミドルファイ帯に位置づけられます。
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]Audio Science Review [1] の第三者測定では、客観指標は混在しています。周波数応答は40Hz付近からサブベースの減衰が目立ち、7kHz近傍のエネルギー過多でやや明るい傾向です。THDは平面駆動らしく高音圧でも非常に低く、ただし全体の応答は中立からの逸脱が見られ、複数帯域で±3dB程度の乖離があります。25Ω/103dBの仕様により駆動効率は良好ですが、この素のチューニングのままでは完全な透明性の達成は難しいです。
技術レベル
\[\Large \text{0.6}\]大面積の平面駆動ダイヤフラム、通気を確保したグリル、軽量シャーシといった実装は堅実な改良であり、革命的ではないものの妥当な設計です。平面駆動技術自体は確立されており、399gという軽さは快適性のための合理的な最適化と言えます。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.6}\]現在の実勢が約360 USDのAnandaに対し、229 USDの HiFiMAN Sundara は測定追従性でわずかに優位との評価もあり(RTINGSの比較)[2]、同等以上の測定性能を満たす安価な選択肢です。コストパフォーマンス計算は USD 基準で 229 ÷ 360 = 0.64。価格差は残るものの、以前より競争力は増しています。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.8}\]HiFiMANは多くのヘッドホンで1年保証を提供し、正規販売網でサポートを受けられます。平面駆動は可動部が少なく本質的に堅牢で、着脱式ケーブルにより交換性も良好です。過去には一部製品で品質管理に関する指摘もありましたが、Anandaは概ね良好な一貫性を保っています。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.8}\]軽量・通気重視の設計は技術性能と整合しています。一方で、サブベースのロールオフや高域の明るさといった素のチューニングは厳密な中立再生とは一致しません。もっとも、現在の価格設定ではSundaraに対するプレミアムは以前より妥当になり、性能差に見合った市場ポジショニングと言えます。
アドバイス
現在の約360 USD(国内目安約53,280円)という水準では、Anandaは以前より明確に魅力的です。229 USDのSundaraは依然として優れた対抗ですが、価格差は131 USDに縮小。Ananda特有の音場やビルド、装着感を求める方には有力な選択肢です。
参考情報
[1] Audio Science Review — “Hifiman Ananda Review (headphone)”: https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/hifiman-ananda-review-headphone.22281/
[2] RTINGS — HiFiMan Ananda vs HiFiMan Sundara 2020: https://www.rtings.com/headphones/tools/compare/hifiman-ananda-vs-hifiman-sundara-2020/670/24884
[3] HIFIMAN 公式ストア — SUNDARA 価格(229 USD): https://store.hifiman.com/index.php/sundara.html
[4] Apos Audio — HIFIMAN Ananda Planar Magnetic Headphone(新品の実売例 ≈359 USD): https://apos.audio/products/hifiman-ananda-planar-magnetic-headphone
[5] HIFIMAN — Warranty Policy: https://store.hifiman.com/index.php/warranty-policy
(2025.9.2)