HiFiMAN Susvara
極低感度かつ多数の共振が測定で確認された平面磁界フラッグシップ。客観性能ははるかに安価な機種でも同等以上に達するため、コストパフォーマンスは極めて低いです
概要
HiFiMAN Susvaraは6,000 USD(約900,000円)の元フラッグシップ平面磁界ヘッドホンで、現在はSusvara Unveiledが上位機種です。オープンバック構造にステルスマグネットとナノメートル厚ダイアフラムを採用。デュアル3.5 mm着脱式で1/4”・4ピンXLRに対応します。質量約450 g、インピーダンス60 Ωに加え感度が極めて低く、実用音量には高出力アンプが必要です。
科学的有効性
\[\Large \text{0.4}\]第三者測定では、透明性を損ねうる技術的弱点が確認されています。SoundStageのGRAS計測では感度80.6 dB SPL(1 mW)と極端に低く、オーディオ帯域全体に強い共振が多数(オープンバック平面型として最多級)と報告。Hi-Fi Newsのラボレポートでは、250 Hz以降で不整が多く、約3 kHz付近の不足により下位トレブルが凹む傾向が指摘されています。いずれもTHDは低いものの、可聴帯の不規則性が見られることから、科学的有効性は平均未満と判断します。【SoundStage/Hi-Fi News】
技術レベル
\[\Large \text{0.6}\]ナノメートル級振動板とステルスマグネットは先進的ですが、ダンピングを抑えた実装は測定上の高Q共振に結びついています。技術プラットフォーム自体は高度ながら、音響制御という観点で最善の結果には至っていません。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.0}\]同等以上の代替が大幅に安価に存在します。
- HiFiMAN Sundara(2020) — オープンバック平面磁界。RTINGSの測定で優れたターゲット適合(例:中域RMS偏差1.4 dB)と非常に低い歪み(0.04 %@94 dB SPL/0.09 %@104 dB SPL)を確認。感度105.0 dB SPL(@1 kHz-1 V)で駆動も容易。ユーザー視点の機能は同等、かつFR適合・THDで同等以上です。【RTINGS】
比較対象の最安確認価格(レビュー時点):229 USD(公式ストアのプロモーション価格)。コストパフォーマンス計算: 229 USD ÷ 6,000 USD = 0.038 → 0.0(四捨五入)。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.7}\]HiFiMANは標準保証とグローバルな販売網を有します。ビルドは上位機らしい品質ですが、極端な増幅要求によりシステム全体の複雑性と総コストは増加します。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.2}\]超低感度やダンピング最小化は、測定上の透明性向上に結びついていません。より安価な機種で測定的に整った結果が得られる現状を踏まえると、設計の優先順位は科学的合理性に乏しいと評価します。
アドバイス
客観的な測定性能と取り回しを重視するなら、Sundara(2020)はFR適合と低歪みを非常に低価格で実現します。Susvaraを選ぶ場合は、数ワット級の専用アンプを含む総投資の増大を必ず織り込んでください。
参考情報
- SoundStage Network「HiFiMan Susvara Headphones」(感度80.6 dB/1 mW、スペクトル減衰に多数の共振)。
- Hi-Fi News「HiFiMan Susvara Headphones Lab Report」(250 Hz以降の不整、約3 kHzの不足、1 V基準での極低感度)。
- RTINGS.com「HiFiMan Sundara 2020 Review」(ターゲット適合指標、THD 0.04 %/0.09 %、感度@1 kHz-1 V 105.0 dB SPL)。
- HiFiMAN公式ストア「Sundara」製品ページ(229 USDの特価)。
(2025.8.24)