ifi-audio NEO iDSD2
世界初のaptX Lossless対応を謳うデスクトップDAC/アンプ。優秀な測定性能を持つが、同等以上の性能をはるかに低価格で実現する代替品が存在するため、コストパフォーマンスは低い。
概要
iFi-audio NEO iDSD2は、世界初のaptX Lossless対応を謳うデスクトップDAC/アンプです。SNR >120dB、THD+N <0.0015%という優秀な測定性能を持ち、最大5,551mWの強力な出力を実現しています。Bluetooth 5.4とaptX Lossless対応により、ワイヤレスでロスレス音源の再生が可能とされています。四チャンネルBurr Brown DACとPureWave回路設計により、バランス・デュアルモノ構成を採用しています。価格は133,517円で、デスクトップオーディオ市場の中上位に位置します。
科学的有効性
\[\Large \text{0.8}\]測定性能は透明レベルをほぼ達成しています。SNR >120dB(透明レベル105dB以上)、THD+N <0.0015%(透明レベル0.01%以下)、ダイナミックレンジ 120dB(透明レベル105dB以上)という数値は、すべて測定結果基準表の透明レベルをクリアしています。周波数特性についても公式情報は限定的ですが、レビューでは低中域にわずかな暖かみがあるものの、全帯域にわたり良好なクリアリティを持つと評価されています。これらの測定結果は人間の聴覚において意味のある音質改善をもたらすレベルに達しています。
技術レベル
\[\Large \text{0.7}\]独自のPureWave回路設計とバランス・デュアルモノ構成は技術的に優れており、GMT femto-precision clockによるジッタ除去技術も20dB以上の改善を実現しています。世界初のaptX Lossless対応Bluetooth DAC/アンプという点は技術的な先進性を示していますが、基本的なDAC/アンプ回路については業界標準的な設計に留まります。四チャンネルBurr Brown DAC構成は合理的な選択ですが、革新性という点では限定的です。業界平均以上の技術レベルを持つものの、最高水準には達していません。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.3}\]同等以上の機能・測定性能を持つ製品として、FiiO K7 BT(約40,000円)が存在します。K7 BTは、THD+N <0.0003%、SNR ≥128dBと本機を上回る測定性能を持ち、Bluetooth(LDAC対応)も搭載、2000mW(32Ω時)の十分な出力を実現します。コストパフォーマンス計算:40,000円 ÷ 133,517円 = 0.299となり、0.3に四捨五入されます。本機のaptX Lossless対応と5,551mWという高出力は差別化要素ですが、K7 BTが約3分の1の価格でより優れた基本測定性能と実用上十分な機能を提供していることを考慮すると、コストパフォーマンスは低いと評価せざるを得ません。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.8}\]iFi-audioは英国を拠点とする確立されたオーディオブランドで、業界において一定の信頼性を持っています。製品の保証体制は標準的で、ファームウェア更新にも対応しています。過去の製品における故障率は業界平均的で、サポート体制も適切に機能しています。デスクトップオーディオ機器としては複雑な構成を持ちますが、設計の成熟度は十分で、長期使用における信頼性は業界平均以上と評価できます。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.7}\]測定性能の向上を重視した設計アプローチは合理的で、透明レベルの達成に寄与しています。aptX Lossless対応やBluetooth 5.4の採用など、最新技術の活用も評価できます。しかし、一部でオーディオ機器特有の主観的な表現(「暖かみのある音」など)も見受けられ、完全に科学的根拠に基づいているとは言えません。デスクトップDAC/アンプとしての存在意義は明確ですが、同等以上の性能をはるかに安価に実現する製品が存在することを考慮すると、その価格設定の合理性は低いと評価されます。
アドバイス
NEO iDSD2は優秀な測定性能と強力な出力を備えたデスクトップDAC/アンプですが、133,517円という価格に見合う価値があるかは慎重な検討が必要です。代替品として、FiiO K7 BT(約40,000円)は、測定性能(THD+N <0.0003% vs <0.0015%、SNR ≥128dB vs >120dB)でNEO iDSD2を上回り、LDAC対応Bluetoothや2000mWの十分なヘッドホン出力を備えています。NEO iDSD2の利点は、最新のaptX Lossless対応、それを上回る5,551mWという非常に強力な出力、そして据え置き機としてのデザイン性です。しかし、既存のLDAC等のコーデックとaptX Losslessの間に、客観的な測定上の大きな優位性は確認されていません。約9万円の価格差が、この出力とaptX Lossless対応、デザインに見合う価値があるかを十分に評価した上で購入を判断することをお勧めします。
(2025.7.22)