JBL K2 S9800
2002年のベリリウム/ホーン型フラッグシップ。客観性能は当時として良好ですが、現行の良測定タワーに対してCPは低いです。
概要
JBL K2 S9800は2002年のフラッグシップで、15インチAquaplas処理ウーファーと、435Be/045Beのベリリウム・コンプレッションドライバーをSonoGlassホーンで駆動する受動3ウェイ・フロア型です。外形は1295 × 508 × 375 mm、質量は各90 kgで、プロ機譲りの高出力と指向性制御を志向した設計です。[1]
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]メーカー公称は周波数特性45 Hz–50 kHz(–6 dB)、感度94 dB(2.83 V/1 m)、公称インピーダンス8 Ω、推奨最大アンプ出力400 Wです。最新規格(Klippel/CTA-2034)での第三者測定は未確認のため、検証度合いに基づく基準値を適用します。 [1]
技術レベル
\[\Large \text{0.3}\]ベリリウム圧縮ドライバーや成形ホーンは当時先進的でしたが、シミュレーション駆動のネットワーク最適化やDSP線形化が一般化した現在と比べると世代差があります。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.2}\]比較対象:JBL Studio 698(現行の受動3ウェイ・タワー)。機能(受動フルレンジのステレオ再生)で同等、かつ測定性能は劣らない(独立NFS計測のスピノラマで良好な軸上/初期反射応答と中立的な指向性、定格下限36 Hz)。感度差は“忠実度”の指標ではないため機能差としては軽微です。 [2][3][4]
計算: 2,199.90 USD ÷ 8,900 USD = 0.247 → 0.2(小数1桁スコア)。
- レビュー対象価格(分母):中古市場の代表的スナップショット 1,200,000円(8,900 USD)。 [2]
- 比較対象価格:主要小売の実売(1台1,099.95 USD、ペア2,199.90 USD)。 [4]
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.4}\]JBLのサポート網は広い一方で、生産終了機ゆえ部品(特にベリリウムダイアフラム)調達は限定的です。受動・重量級キャビネットは長期安定性に有利ですが、レガシーパーツ依存のリスクは残ります。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.4}\]圧縮ドライバーと制御指向性ホーンで高出力・低歪み・広い“スイートスポット”を狙う方針は合理的です。ただし現行のデータ駆動型最適化やDSP統合がないため、同価格比では現代機に及びません。
アドバイス
プロ譲りのホーン/コンプレッションドライバーの音色やオブジェクト価値を重視するなら選択肢になり得ます。一方で測定基準に対する費用対効果は、Studio 698など現行機が同等以上の客観性能を大幅に低価格で提供するため厳しく、CPは低評価です。 [2][3][4]
参考情報
[1] JBL「Project K2 S9800 Owner’s/Technical Manual(仕様:45 Hz–50 kHz –6 dB、94 dB、8 Ω)」https://support.jbl.com/on/demandware.static/-/Sites-masterCatalog_Harman/default/dwd71d7033/pdfs/K2_S9800_OM_EN.pdf(2025-08-23参照)
[2] HiFiShark「JBL K2 S9800 モデルページ/掲載例(8,900 USD)」https://www.hifishark.com/model/jbl-k-2-s-9800(2025-08-23参照)
[3] Erin’s Audio Corner「JBL Studio 698 Tower Speaker Review(Klippel NFS, CTA-2034)」https://erinsaudiocorner.com/loudspeakers/jbl_studio_698/(2025-08-23参照)
[4] Best Buy「JBL Studio 698(1本)1,099.95 USD」https://www.bestbuy.com/site/jbl-studio-698-dual-8-woofer-6-mid-3-way-compression-driver-floorstanding-loud-speaker-each-dark-wood/6547547.p(2025-08-23参照)
(2025.8.24)