JBL Stage A130

参考価格: ? 26350
総合評価
2.7
科学的有効性
0.3
技術レベル
0.6
コストパフォーマンス
1.0
信頼性・サポート
0.6
設計思想の合理性
0.2

JBLのHDIウェーブガイドを採用するブックシェルフ。測定では直線性に課題があり、保証は強い一方、安価で同等以上の受動型代替は確認できずCPは最大評価

概要

JBL Stage A130は、JBLのHDI(High-Definition Imaging)ウェーブガイドを備えた1インチアルミドームツイーターと、5.25インチのポリセルロースウーファーを採用する2ウェイ受動型ブックシェルフです。公式仕様は55Hz~40kHz、感度86dB(2.83V/1m)、公称インピーダンス6Ω、クロスオーバー3.2kHz、リアバスレフとされています[3][4]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.3}\]

独立測定(Klippel NFS、CTA-2034-A準拠。基準面=ツイーター、ポート開)では、中性からの明確な逸脱が確認できます。約100Hz付近の持ち上がり、約800Hz~2kHzのキャビネット由来の共振、推定インルーム応答で見られる高域側の約+5dBのスイングなど、±3dBの標準的許容帯を超える偏差が存在します。歪みは決定的な問題ではないものの、直線性の不足により正確な再生という観点では評価は低いです[1]。

技術レベル

\[\Large \text{0.6}\]

HDIウェーブガイドは指向性制御として合理的で、プロ系からの技術移転としての価値はあります。一方で構成自体は一般的(アルミドーム+ポリセルロース、リアポート、標準的クロスオーバー)で、第三者測定が示すキャビネット共振の影響も見られます。総じて有能だが先進的とは言いにくい実装です[1][3][4]。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{1.0}\]

レビュー時の想定価格は26,350円(179 USD)です。より安価機能・測定性能が同等以上の受動型ブックシェルフを調査しましたが、たとえばSony SS-CS524,696円相当/168 USD)は、NFSデータ上で低域の伸びが限定的(F3約83Hz)で上中域~高域に非線形・筐体共振が見られ、同等以上とは判断できません[2]。このため、より安価で同等以上の候補が確認できず、CPは1.0とします。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.6}\]

米国向け消費者保証では非電源(パッシブ)スピーカーは5年と明記されています(電子機器は1年)。Harman/JBLの流通・サポート体制は確立しており、受動型のためファームウェア面の懸念はありません[5]。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.2}\]

信頼できる測定でバスの持ち上がりや中域の共振が示されており、科学的中立性よりも主観的な元気さを優先したボイシングと見受けられます。HDIの採用自体は合理的ですが、最終的な調整は透明性志向と乖離しています[1]。

アドバイス

EQやルーム補正を前提とし、パンチのある低域と明るめの高域を好むなら、ポートの部分封止やEQによる補正で実用域にできます[1]。一方で素のままの正確さを重視する場合は、CTA-2034曲線が滑らかなモデルを検討するのが無難です(Erinは中立性の観点でEmotiva Airmotiv B1+を推奨。ただしこちらは安価ではないためCP比較には用いていません)[1]。感度は約86dB、公称6Ωのため、一般的なAVRでも駆動は可能ですが、深い低域を求めるならサブウーファー併用と高めのクロスオーバー設定を推奨します。

参考情報

[1] Erin’s Audio Corner, 「JBL Stage A130 Review」, https://www.erinsaudiocorner.com/loudspeakers/jbl_stage_a130/ , 2025年8月アクセス。Klippel NFS、CTA-2034-A準拠、基準面=ツイーター、ポート開、共振調査含む。

[2] Erin’s Audio Corner, 「Sony SS-CS5 Bookshelf Speaker Review」, https://www.erinsaudiocorner.com/loudspeakers/sony_sscs5/ , 2025年8月アクセス。Klippel NFS、CTA-2034-A準拠、基準面=ツイーター、F3約83Hz、筐体共振の記述。

[3] JBL, 「STAGE SPEAKERS – Home Audio Loudspeaker System(仕様書, 2024-11-14更新)」, https://www.jbl.com/on/demandware.static/-/Sites-masterCatalog_Harman/default/dw9237038c/pdfs/JBL_Arena_Stage_Spec_Sheet_English%20-%20Update%2020241114.pdf , 2025年8月アクセス。A130の公称仕様(55Hz–40kHz、86dB、6Ω、3.2kHz、リアポート)。

[4] JBL, 「Stage Series」, https://www.jbl.com/stage-series/ , 2025年8月アクセス。シリーズ概要、特許取得HDIウェーブガイド表記。

[5] JBL Support(US), 「Warranty Information」, https://support.jbl.com/howto/jbl-warranty-information-us/000028546.html , 2025年8月アクセス。非電源スピーカーは5年保証(米国)。

(2025.8.20)