Kanto Audio ORA

参考価格: ? 52500
総合評価
4.0
科学的有効性
0.8
技術レベル
0.7
コストパフォーマンス
1.0
信頼性・サポート
0.7
設計思想の合理性
0.8

リファレンス級の計測性能と現代的接続性を小型筐体に凝縮したデスクトップスピーカー

概要

Kanto Audio ORAは、コンピュータースピーカーと小型リファレンスモニターの中間に位置づけられる製品です。3.9” × 6.9” × 5.6”の小型筐体に、各チャンネルで0.75インチ・シルクドームツイーターと3インチ・ウーファーをバイアンプ駆動するClass-Dアンプを内蔵し、USB-C(最大24-bit/96 kHz)、Bluetooth 5.0、RCAアナログを備えます。サブウーファー接続時には100 Hzで自動ハイパス(24 dB/oct)が有効になり、デスクトップの近接設置でのヘッドルームを高めます[1][2][4]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.8}\]

第三者計測で小型機として優れた客観性能が確認されています。Audioholicsの測定では、0.5 m、5 msゲート、1/24オクターブ平滑化条件で、オンアクシスおよびリスニングウィンドウが20 kHzまで±2 dBに収まり、指向性も極めて良好です。低域は約50 Hzまで実用的な応答(最低域はヘッドルーム制限あり)を示し、カタログ値は70 Hz–22 kHzです。サブ出力使用時は100 Hzで24 dB/octのハイパスが主chに自動適用され、歪み低減とダイナミクス向上に寄与します[1]。USB-C入力は最大24-bit/96 kHzに対応します[2][4]。

主要数値:
・±2 dB(~20 kHz)/ 高いオフアクシス一貫性(第三者測定)[1]
・低域:~50 Hz実用応答(ヘッドルーム限定)/ 仕様70–22 kHz[1][2]
・サブ接続時:100 Hz・24 dB/oct自動ハイパス[1][4]
・USB-C:最大24-bit/96 kHz[2][4]

技術レベル

\[\Large \text{0.7}\]

ドライバー毎のバイアンプ+DSPクロスオーバー、ウェーブガイドによる指向制御、サブ接続時の自動ハイパスなど、実用的な技術統合がなされています(システム50 W RMS、ch当たりLF約16 W+HF約9 W)。接続性も現行標準(USB-C 24/96、BT 5.0、RCA)で、ハード自体の奇抜さよりも統合とチューニングで性能を出す設計です[1][2][4]。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{1.0}\]

同等以上の機能・測定性能を満たす最安比較対象(新製品): Kali Audio LP-UNF(ペア)。USB-Cデジタル入力、Bluetooth 5.1、アナログ入力を備え、独立測定(Klippel NFS)で小型近接用途におけるフラットな応答と深めの低域(-3 dB ≈ 54 Hz)が確認されています[5][6]。主要量販で349 USD、公式も「Starting at 349 USD」と記載があります[7][8]。

CP計算(USDで統一): 349 USD ÷ 350 USD = 0.9971.0(小数1位丸め)。
根拠:LP-UNFはUSB-Cデジタル+BT+アナログというユーザー機能の同等性を満たし、近接用での測定面も同等以上の実力(周波数偏差約2.9 dB/300 Hz–5 kHz、低域拡張優位)を示しつつ新価格がわずかに安価です[6][7][8]。
※参考価格:ORA 52,500円(= 350 USD 相当)、LP-UNF 349 USD(国内流通価格は変動し得ます)[1][2][7][8]。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.7}\]

Kantoは2年保証を明示し、販売店/メーカーのサポート体制が整っています。近接用の出力レンジとClass-D構成は熱・機械的負荷の点で有利です。モデルの市場歴が浅いことから長期データは限定的ですが、現時点で体系的な不具合情報は見当たりません[2][4]。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.8}\]

小型筐体での透明性確保に直結する手段(バイアンプ、DSPクロス、ウェーブガイド、サブ接続時の自動ハイパス)に注力し、USB-C/BTなど現代ワークフロー必須の機能を過不足なく実装しています。測定で裏づけられた設計であり、非科学的要素に依存しない合理的アプローチです[1][2][4]。

アドバイス

デスクトップの近接リスニングで、サイズを超えた線形性と定位を求める方に適しています。サブを使う場合は必ずORA側のサブ出力を用いて自動100 Hz/24 dBハイパスを活用すると、中高域の明瞭度と余裕が向上します[1][4]。同等機能でより深い低域と僅差の価格優位を重視する場合はKali LP-UNFも有力です[5][6][7][8]。

参考情報

[1] Audioholics — “Kanto ORA Powered Desktop Speakers & sub8 Review”(測定・自動HPF・FR): https://www.audioholics.com/computer-speaker-reviews/kanto-living-ora (2025年8月23–24日アクセス;0.5 m、5 msゲート、1/24oct平滑化)。
[2] Kanto — ORA 製品ページ(USB-C 24/96、BT 5.0等): https://www.kantoaudio.com/powered-speakers/ora/ (2025年8月24日アクセス)。
[3] Kanto — ORA ユーザーマニュアルPDF(100 Hz/24 dB自動ハイパス記載): https://www.kantoaudio.com/wp-content/uploads/ORA_EngManual_2023-11-08-linear.pdf (2025年8月24日アクセス)。
[4] Crutchfield — “Kanto ORA”(USB-C 24/96;サブ接続時100 Hz/24 dB HPF): https://www.crutchfield.com/p_310ORAMW/Kanto-ORA-Matte-White.html (2025年8月24日アクセス)。
[5] Kali Audio — LP-UNF 製品ページ(USB-Cデジタル、BT 5.1等): https://www.kaliaudio.com/lp-unf (2025年8月24日アクセス)。
[6] Spinorama.org(Erin’s Audio Corner ソース)— LP-UNF NFS測定(-3 dB ≈ 54.2 Hz、周波数偏差 ≈ 2.9 dB): https://www.spinorama.org/speakers/Kali%20LP-UNF/ErinsAudioCorner/index_eac.html (2025年8月24日アクセス)。
[7] Sweetwater — LP-UNF 価格(新品・ペア): https://www.sweetwater.com/store/detail/LP-UNF–kali-audio-lp-unf-ultra-nearfield-monitor-system-black-pair (2025年8月24日アクセス)。
[8] B&H — LP-UNF 価格掲載(ペア): https://www.bhphotovideo.com/c/buy/Shop-by-Brand-Kali-Audio/ci/4/phd/6883/N/4294255798 (2025年8月24日アクセス)。

(2025.8.24)