Kinera Celest IgniteX Beast
優れたビルド品質を持つハイブリッドIEMですが、独立測定データの不足と競争激しい予算価格帯での平均的パフォーマンスにより科学的有効性が限定的です
概要
Kinera Celest IgniteX Beastは、1ダイナミックドライバー+1バランスドアーマチュア構成のハイブリッドIEMで、2024年にKineraのCelestサブブランドとして登場しました。10mm LCP(液晶ポリマー)ダイナミックドライバーとカスタムCelest 10012 BAドライバーを3Dプリント樹脂シェルに収め、炎をモチーフにした意匠を採用しています。現在の市場価格は7500円(49USD)で、ポップス等に合うバランス系チューニングを狙った予算モデルです。
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]本機の第三者測定(カプラーによる周波数特性やTHDなど)は未公開で、客観評価はカタログ値に留まります。メーカー仕様は16Ω、106dB、20Hz–20kHz、10mm LCPダイナミック+Celest 10012 BA構成です[1]。独立測定が入手できるまで、可聴性に直結する指標(FRの偏差、歪み、遮音など)の確認はできず、評価は暫定となります。
技術レベル
\[\Large \text{0.6}\]LCP振膜DDと小型BAのハイブリッドという定番アーキテクチャを3Dプリント筐体と0.78mm 2ピンでまとめた構成です[1]。価格帯に対して妥当な選択である一方、クロスオーバー等に新規性の開示はなく、設計は堅実寄りです。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.5}\]現在の市場価格:7500円(49USD)。同等以上のユーザー向け機能と公開測定を備え、より安価に購入できる製品として 7Hz x Crinacle Zero:2(22.49USD)があります[2][3]。
計算: 22.49 ÷ 49 = 0.458 → 0.5。
同等性メモ: いずれも有線IEM・着脱式0.78mm 2ピンで、Zero:2は第三者によるFR/THD測定が公開され、クラスとして妥当な測定性能が確認できます[3]。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.5}\]Kineraは一般的な保証と流通体制を備え、ビルド(3Dプリント筐体、着脱2ピン)は堅実です。本機の長期故障率データは未整備で、サポート水準は同価格帯の標準的な範囲と見込まれます。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.3}\]素材選定(LCP)やハイブリッド構成は合理的ですが、神話モチーフ等の外観要素は測定上の利得に結び付きません。22.49USDで第三者測定が整う対抗機(Zero:2)が存在する状況[2][3]で、49USDの価格付けに測定裏付けが伴わない点は、工学的優先度が控えめである印象です。
アドバイス
外観重視で“無難に聴ける”エントリー・ハイブリッドを求める方には十分選択肢になり得ます。測定に基づく確実性とコスト効率を重視するなら、まず 7Hz x Crinacle Zero:2 を候補に入れるとよいでしょう[2][3]。本機を選ぶ場合は、独立測定が出揃うまでカタログ値前提での購入になる点を理解しておくと安心です。
参考情報
[1] Celest Audio(公式),“Celest IgniteX Beast Earbuds In-Ear Monitor” 製品ページ。https://celestaudio.com/products/celest-ignitex-beast-earbuds-in-ear-monitor ,2025-08-19参照。(ドライバー構成、技術仕様:16Ω、106dB、20Hz–20kHz、10mm LCP+Celest 10012 BA)
[2] Linsoul,“7HZ x Crinacle Zero: 2” 製品ページ。https://www.linsoul.com/products/7hz-x-crinacle-zero-2 ,2025-08-19参照。(現在価格22.49USD、着脱0.78mm 2ピン、THDメーカー仕様<1% @1kHz)
[3] Audio Science Review(フォーラム),“7Hz x Crinacle Zero:2 IEM Review”。https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/7hz-x-crinacle-zero-2-iem-review.50534/ ,2023-12-18公開(スレッド開始)。(第三者測定と議論)
(2025.8.19)