KLH Model Five

参考価格: ? 299700
総合評価
3.0
科学的有効性
0.6
技術レベル
0.4
コストパフォーマンス
0.6
信頼性・サポート
0.8
設計思想の合理性
0.6

1968年の名機を現代技術で復刻したアコースティック・サスペンション方式の大型スタンドマウント(専用スタンド付属)。伝統的設計で堅実な音質を実現するが、価格に見合う革新性には乏しい。

概要

KLH Model Fiveは、1968年から1977年まで生産された同名の名機を現代技術で復刻した大型スタンドマウント(専用スタンド付属)の3ウェイスピーカーです。KLHは1957年にHenry Kloss、Malcolm S. Low、Josef Anton Hofmannにより設立され、アコースティック・サスペンション方式の先駆者として知られています。現在のModel Fiveは、2017年に会社を買収したDavid Kelleyの下で2018年に復活を遂げた製品の一つで、オリジナルのキャビネット寸法と3ウェイ・アコースティック・サスペンション設計を踏襲しています。

科学的有効性

\[\Large \text{0.6}\]

Stereophileのラボ測定によれば、感度は87.9 dB/2.83V/m(自由空間推定)で、メーカー公称のインルーム感度90.5 dBとの差異も明示されています。公称インピーダンスは6Ω、最小インピーダンスは約3.7Ω(およそ122Hz付近)まで低下します。周波数特性は密閉(アコースティック・サスペンション)設計により低域のロールオフは約12 dB/Octで、実用下限は約42 Hz(−3 dB)、約32 Hz(−10 dB)です。これらは第三者測定で裏付けられた具体値であり、透明域には届かないものの業界標準を満たす科学的に妥当な性能です [1]。

技術レベル

\[\Large \text{0.4}\]

アルミドーム・ツイーターとダイカスト・アルミフレーム採用のミッド/ウーファーなど、現代的素材を使用していますが、基本設計は従来型の3ウェイ構成です。アコースティック・サスペンション方式は音響的に合理的ながら、業界をリードする革新的技術は見られません。他社が採用したがるような技術的優位性に欠け、業界平均を下回るレベルです。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.6}\]

本機の米国一般価格は1,998 USD(ペア、メーカー公称)です。測定線形性と有効帯域で同等以上が確認でき、一般販売価格が大幅に安価な候補としてEmotiva Airmotiv T2+(パッシブ3ウェイ、一般価格1,199 USD/ペア)を採用します。第三者測定では周波数特性・指向性が良好で、低域拡張も本機と同等以上であることが確認されています [2]。従って、CP = 1,199 ÷ 1,998 = 0.60 となります(一般販売価格ベース、セール価格は不使用)。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.8}\]

メーカー公称で10年保証(ラウドスピーカー)が提示されており、経験豊富なDavid Kelleyの経営の下、安定した顧客サポート体制が確立されています。2018年の会社再建以降、品質管理と製品供給は安定しており、信頼性は業界平均を上回る水準です。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.6}\]

アコースティック・サスペンション方式は科学的に有効なアプローチで、非科学的な主張や「オカルトオーディオ」的要素は一切ありません。伝統的手法に重点を置いた堅実な設計で、音響工学的に合理的です。ただし、革新的なアプローチによる性能向上や価格破壊には至っておらず、一般的なオーディオ製品として期待される水準にとどまっています。

アドバイス

Model Fiveは堅実な音質と長期保証を求める伝統志向のユーザーに適しています。純粋に価格と測定に基づく性能のバランスを重視するなら、同等以上の測定直線性と十分な帯域を持つArendal 1961 Tower(約1,498 USD/ペア)など、より安価な代替も検討価値があります。アコースティック・サスペンション方式の音色に特別なこだわりがある場合や、KLHブランドの歴史的価値を重視する場合には有力な選択肢です。

参考情報

  1. Stereophile - KLH Model Five loudspeaker Measurements, https://www.stereophile.com/content/klh-model-five-loudspeaker-measurements, アクセス日: 2025年8月10日, 測定条件: DRA Labs’ MLSSA system, DPA 4006 microphone(感度87.9 dB、最小インピーダンス約3.7Ω、−3 dB ≈ 42 Hz、−10 dB ≈ 32 Hz)
  2. Spinorama(第三者集約)- Emotiva Airmotiv T2+(Erin’s Audio Cornerソース集約ページ), https://www.spinorama.org/speakers/Emotiva%20Airmotiv%20T2+/ErinsAudioCorner/index_eac.html, アクセス日: 2025年8月10日

(2025.8.10)