Koss KSC75
チタンコーティング振動板による中域の透明度と開放的な音場が魅力ですが、低域拡張と高SPL時の歪みには明確な制約があるクリップオン型です。
概要
Koss KSC75は、オープンバック構造と2 µmチタンコーティング振動板を採用した軽量クリップオン型ヘッドホンです(公称 15–25,000 Hz/60Ω/101 dB、THD <0.2%)。外音取り込みや軽快な装着感を重視する用途に向きます[参考:公式製品ページ]。
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]第三者計測(RTings)ではLow-Frequency Extension 62.59 Hz、Low-Bass誤差 −9.76 dBと100 Hz未満の量感不足が明確です。Weighted THDは90 dBで0.219%/100 dBで0.715%と、音量上昇で歪みが増える傾向が示されています。設計上オープン型のため受動遮音はほぼありません。評価はこれらの第三者計測を主根拠とし、公称帯域は参考情報に留めています。
技術レベル
\[\Large \text{0.4}\]一般的なダイナミック構成に2 µmチタンコーティングを加えて剛性・歪みの抑制を狙う実装です。構造は簡素で合理的ですが、着脱式ケーブルなどの拡張性はありません。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{1.0}\]対象の一般販売価格例は3,680円(Amazon.co.jpの例)。同等以上の機能・測定性能を持つ最安対抗としてMoondrop 竹-CHU 2(有線IEM、遮音あり、第三者評価で素直なFR傾向)を採用し、国内の一般販売価格例は4,590円(e☆イヤホン)。本機の方が安価で、要件を満たす範囲で最安優位のため1.0とします。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.7}\]Kossは限定生涯保証を提供しており、米国内の保証返送・取り扱い手数料は1台あたり9 USDです。ケーブルは非着脱で、断線時は原則として製品交換/修理対応となります。軽量プラ主体のため乱暴な取り回しには注意が必要です。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.9}\]外音取り込みと中域の明瞭さを優先し、深い低域をあえて捨てるトレードオフは価格対効果の観点で一貫しています。装飾を排したシンプルな機構と材料選択で、価格帯に対して測定上妥当な結果を狙う姿勢は合理的です。
アドバイス
- 向いている用途:ボーカル重視/開放的な音場/周囲音の把握が必要な環境。眼鏡ユーザーや締め付けが苦手な方。
- 避けたい用途:重低音量感・遮音・大音量耐性を重視する通勤など。代替例として竹-CHU 2のような密閉IEMも検討価値があります。
- 装着最適化:クリップ位置とフォームパッドの状態で音が変わりやすいため、耳形状に合わせた微調整を推奨します。
参考情報
- RTings – Koss KSC75 Review, https://www.rtings.com/headphones/reviews/koss/ksc75 (LFE 62.59 Hz、Low-Bass誤差 −9.76 dB、Weighted THD 0.219%/0.715% 等)
- Koss – KSC75 Ear Clip(公式製品ページ), https://koss.com/products/ksc75
- Koss – Warranty Repair(保証案内・米国内手数料9 USD明記), https://koss.com/pages/warranty-repair
- Amazon.co.jp – KSC75 価格例, https://www.amazon.co.jp/KSC75-%E8%80%B3%E6%8E%9B%E3%81%91%E5%BC%8F%E3%83%98%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9B%E3%83%B3-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E5%9E%8B-%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB%E9%95%B7-%E7%B4%841-2m%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%8D%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC/dp/B076XZNKV8
- e☆イヤホン – 水月雨(MOONDROP)竹-CHU 2 国内価格例, https://www.e-earphone.jp/products/380438
(2025.8.16)