KZ AS10 Pro
5基BAと着脱式ケーブルを備える有線IEMです。第三者の包括的測定が乏しく、測定で優位を示す安価な対抗機が存在するため、現時点の費用対効果は弱めです。
概要
KZ AS10 Proは片側5基のBAドライバーを搭載し、22955(低域)/29689(中域)/30019(高域)/31736(高域〜超高域デュアルアレイ)という構成、着脱式2ピン(0.75 mm)ケーブル、銀メッキOFCケーブル、電子クロスオーバーを採用すると公称しています[1]。公称仕様は26 Ω、109 dB、20–40 kHzです[1]。国内実勢はおおむね1.1万円前後(参考:10921円)、米国参考は68.99 USDです[2]。
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]AS10 Pro固有の第三者測定(FR/THD/IMD/遮音)が未確認のため、基準の0.5から開始し、メーカー値(26 Ω、109 dB、20–40 kHz)を記録します[1]。参考として旧機種KZ AS10にはRTINGSでの独立測定があり、同社環境での群遅延やユニット左右差の良好さが示されていますが、Pro版の応答や歪みを保証するものではありません[6]。
技術レベル
\[\Large \text{0.7}\]命名済みBA群(22955/29689/30019/31736アレイ)と電子クロスオーバーという構成自体は一定の技術的整合性があります[1]。一方で、最新測定で優位性を実証した例は現時点で見当たらず、到達水準は中上級に留まります。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.4}\]AS10 Proの米国実勢は68.99 USD[2]。同等以上の実用機能・測定傾向を満たす最安の代替として7Hz x Crinacle Zero:2(着脱式0.78 mm 2ピン、第三者5128データベースでターゲット整合的FR、メーカー公称THD <1%/1 kHz)を採用しました[3][4]。
計算: 24.99 USD ÷ 68.99 USD = 0.362 → 0.4(小数第一位丸め)。
同等性注記(ユーザー視点): いずれも有線IEMで着脱式ケーブルを備え、Zero:2は独立測定でターゲット整合的な周波数応答が確認できます[4]。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.6}\]着脱式2ピンは断線時のケーブル交換性に優れます。保証は販売店依存で、例としてLinsoulはIEMに1年保証を掲示しています[5]。メーカー公式サイトの「Returns and warranty」窓口はあるものの、統一的な世界共通期間の明記は確認できません[6]。総じて低価格IEM相当の平均的水準です。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.4}\]マルチBAとクロスオーバーを強調する方針は工学的には理解できますが[1]、透明性指標(ヘッドホン向けのFR/THD等)に関する第三者データが不足しており、測定に基づく最適化が十分に示されていません。現時点では合理性は限定的です。
アドバイス
ブランドのマルチBA構成や着脱式ケーブルを求める場合はAS10 Proも候補ですが、7Hz x Crinacle Zero:2(24.99 USD)のように測定傾向が明確な代替も有力です[3][4]。透明性を重視し、マルチBA自体に必然性がないならZero:2のほうが安全です。Pro版の独立測定が出揃えば再評価余地があります。
参考情報
[1] KZ Audio「KZ AS10 Pro」https://kz-audio.com/kz-as10-pro.html(2025-08-15参照)
[2] Linsoul「KZ AS10 Pro」https://www.linsoul.com/products/kz-as10-pro(2025-08-15参照)
[3] Linsoul「7HZ x Crinacle Zero: 2」https://www.linsoul.com/products/7hz-x-crinacle-zero-2(2025-08-15参照)
[4] Crinacle「5128 IEM Graph Tool(Zero:2共有リンク)」https://graph.hangout.audio/iem/5128/?share=Zero2_S1(2025-08-15参照)
[5] Linsoul「Return Policy & Warranty」https://www.linsoul.com/pages/return-policy-and-warranty(2025-08-15参照)
[6] RTINGS「KZ AS10 Review」https://www.rtings.com/headphones/reviews/kz/as10(2025-08-15参照)
(2025.8.15)