Lewitt RAY
コンテンツ制作向けの大口径コンデンサーマイク。距離センシングAURAにより距離に応じてレベルとトーンを自動適応し、距離で作動するアナログミュートも備えます。
概要
Lewitt RAYは、距離を連続測定するAURAを搭載したカーディオイドの大口径コンデンサーです。距離に応じてレベルとトーンを自動適応し、指定距離でアナログ的にミュートする「MUTE by Distance」も実装します。AURAの動作範囲は5〜100 cm(2〜40インチ)で、オーディオ信号経路は終始アナログです [1][2]。
科学的有効性
\[\Large \text{0.7}\]メーカー測定は、自己ノイズ8 dB(A)、最大131 dBSPL、S/N比86 dB(A)、ダイナミックレンジ123 dB(A)(IEC準拠)を公表しており、20 Hz〜20 kHzの周波数特性とカーディオイド指向を備えます [1]。AURAは5〜100 cmで動作し、MUTE by Distanceでは−70 dBの減衰を行います [1][2]。標準化された第三者の網羅的測定はまだ限定的ですが、外部レビューでAURAが近接効果やレベル変動を実用上安定化させることが確認されています [3][4]。公開数値と機能検証を総合し0.7とします。
技術レベル
\[\Large \text{0.5}\]RAYはToF(タイム・オブ・フライト)距離センサーとマイコン制御を用い、+48 Vファンタム電源内でアナログ経路を保ったまま自動化を実現しています(特許出願中)[2]。音響トランスデューサはLCT 440 PURE系の成熟設計で、革新は主にワークフロー面(AURAと距離ミュート)に集中しています[1][2]。測定性能の絶対値が飛躍的に更新されたわけではないため中間評価です。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{1.0}\]国内の代表的市場価格は58,300円(参考:米国市場価格 449 USD)です [5][6]。等価以上の機能・測定性能(大型ダイアフラムXLRコンデンサー、距離連動のレベル・トーン同時適応、距離トリガーのアナログミュート)を満たすより安価な製品は確認できません。RAYは同機能を備えた初の製品であり [1][2][7]、本指標では世界最安の等価品が存在しないためCP=1.0とします。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.6}\]ショックマウント、磁気ポップフィルター、ウインドスクリーン、バッグが付属しビルドは堅牢です [1]。メーカー保証は2年です [1]。一方でセンサー/制御系を内蔵する分、パッシブ構成より故障点は増え、AURAの長期実績は発売時期的に限定的なため、やや高めの中間評価とします。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.6}\]近接効果と位置変動による音量・音色変化という実在の課題に対し、ToFによる距離検出でアナログ経路を制御する手法は理にかなっています(信号遅延なし)[2]。プレミアムの多くは利便性と一貫性に支払うもので、静的なトランスデューサ性能の絶対向上ではないため、合理的だが過度に革新的ではないと評価します。
アドバイス
収録中に動くことが多く、レベルやトーンの安定化と距離ミュートの自動化で編集やリテイクを減らしたい配信者・ポッドキャスター・ボーカリストに適しています。固定位置での正確なマイクセッティングが徹底でき、距離連動機能を必要としない用途では、従来型コンデンサーでも静的な音質は十分達成できますが、RAYのような距離知能は代替できません。ワークフロー短縮の価値が得られるかで判断すると良いです。
参考情報
[1] LEWITT, 「RAY – あなたを捉えるマイクロフォン」, https://www.lewitt-audio.com/ray, 2025年8月15日参照。(仕様値、AURA動作範囲、100%アナログ経路、付属品、2年保証)
[2] LEWITT, 「AURA Technology – 仕組み」, https://www.lewitt-audio.com/blog/aura-technology-how-it-works, 2025年8月15日参照。(ToFセンサー、+48 V下での制御、信号遅延なし、−70 dBミュート)
[3] Tape Op, “LEWITT RAY Autofocus Mic Review,” https://tapeop.com/reviews/gear/162/ray-condenser-mic, 2025年8月15日参照。
[4] The Podcast Host, “Lewitt RAY Mic Review,” https://www.thepodcasthost.com/equipment/lewitt-ray-review/, 2025年8月15日参照。
[5] サウンドハウス, 「LEWITT RAY」, https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/347413/, 2025年8月15日参照。(国内価格 58,300円)
[6] B&H Photo, 「Lewitt RAY Large-Diaphragm Condenser Microphone」, https://www.bhphotovideo.com/c/product/1815971-REG/lewitt_ray_large_diaphragm_condenser_microphone.html, 2025年8月15日参照。(米国価格 449 USD)
[7] Forbes, 「Lewitt Ray Is The World’s First Microphone That Focuses On A Voice」, https://www.forbes.com/sites/marksparrow/2024/06/19/lewitt-ray-is-the-worlds-first-microphone-that-focuses-on-a-voice/, 2025年8月15日参照。
(2025.8.15)