Marantz PM-7000N
ネットワーク機能内蔵のプリメインアンプとして、測定性能と統合設計に優れ、コストパフォーマンスも許容範囲内の製品
概要
Marantz PM-7000NはHEOS機能を内蔵したネットワーク対応プリメインアンプです。同社初のカレントフィードバック回路を採用した統合型Hi-Fiアンプとして、60W×2(8Ω)の出力を持ちます。Wi-Fi、Bluetooth、AirPlay 2に対応し、DSD 5.6MHzまでの高解像度音源再生が可能です。独自のHDAM-SA3技術とディスクリート構成のクラスA/B回路、シールドトロイダルトランスを搭載しています。
科学的有効性
\[\Large \text{0.8}\]測定性能は優秀な水準です。THD 0.02%は透明レベル(0.01%以下)に近く、SNR 115dB(ライン入力)は透明レベル(105dB以上)を上回ります。周波数特性5-100kHz(±3dB)は十分な帯域を確保し、ダンピングファクター100(8Ω基準)も透明レベル(100以上)を達成します。フォノ入力のSNR 87dBも良好です。これらの測定値は可聴域での透明性確保に十分寄与します。
技術レベル
\[\Large \text{0.6}\]HDAM-SA3モジュールとディスクリートカレントフィードバック回路は同社の技術的特徴ですが、業界最高水準とは言えません。AKM4490EQ DACチップは標準的な選択です。ネットワーク機能の統合は現代的なアプローチですが、技術的革新性は限定的です。シールドトロイダルトランスなど基本設計は堅実ですが、突出した独自技術は見当たりません。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.8}\]99,000円の価格に対し、Yamaha R-N803(75,537円)が145W×2出力、SABRE 9006AS DAC、同等のネットワーク機能を提供します。計算式:75,537円 ÷ 99,000円 = 0.763となります。より高出力で同等のDACを搭載した競合製品が約24%安価に入手可能ですが、価格差は当初想定より小さく、コストパフォーマンスは許容範囲内です。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.7}\]Marantzは確立されたオーディオブランドとして適切な保証とサポート体制を提供しています。製品の故障率は業界平均的で、修理体制も整備されています。ファームウェア更新にも対応しており、長期使用における信頼性は標準的な水準です。ただし、業界最高レベルの保証期間や革新的なサポートサービスは提供していません。
設計思想の合理性
\[\Large \text{1.0}\]ネットワーク機能の統合は現代的な音楽リスニング環境に対する合理的なアプローチです。HEOS プラットフォームによるマルチルーム機能、高解像度音源対応、各種ストリーミングサービス対応など、デジタル時代の要求に適切に応答しています。測定性能の透明レベル達成と利便性の両立を図る設計方針は極めて合理的です。汎用機器での代替が困難な統合機能を提供している点も評価できます。
アドバイス
PM-7000Nは測定性能と機能性に優れた製品です。同等機能でより高出力な競合製品であるYamaha R-N803が約24%安価で入手可能ですが、価格差は許容範囲内といえます。Marantzブランドの信頼性やHEOS エコシステムへの統合を重視するユーザーには適した選択肢です。純粋に価格重視なら代替品も存在しますが、統合設計による利便性と測定性能の両立を求めるユーザーには推奨できる製品です。
(2025.8.3)