McIntosh MC2500

参考価格: ? 525000
総合評価
2.1
科学的有効性
0.5
技術レベル
0.3
コストパフォーマンス
0.7
信頼性・サポート
0.4
設計思想の合理性
0.2

1980年製造のヴィンテージ500Wステレオパワーアンプ。当時としては適度なコストパフォーマンスと妥当な仕様を持つ

概要

McIntosh MC2500は、1980年から1990年まで製造されたヴィンテージ・ソリッドステート・ステレオパワーアンプで、8オームで1チャンネルあたり500ワット、モノ構成では1000ワットを出力します。重量129ポンド(約58kg)で、McIntoshの特徴的なオートトランス出力結合を採用し、プロフェッショナルおよびハイエンドコンシューマー向けアプリケーション用に設計されました。背面のデュアルファンによる熱管理を備え、1980年代のMcIntoshらしいアナログ増幅アプローチを体現しています[1]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.5}\]

メーカー資料では、全高調波歪率(THD)0.02%(20Hz–20kHz、定格出力時)、周波数特性20Hz–20kHz(+0/−0.25dB)、ダンピングファクター>30、ノイズ&ハムは定格出力比95dB下とされています[4]。周波数特性は良好ですが、THDは現代の優秀機が到達する水準(1万分の1%台)には及ばず、ダンピングファクターも控えめです。公的な第三者の包括的測定は限定的で、主にメーカー仕様に基づく暫定評価です[1][4]。

技術レベル

\[\Large \text{0.3}\]

クラスAB増幅とオートトランス出力結合、リニア電源による1980年代的設計です。効率や歪特性で優れる現代クラスDや高度な帰還系・保護制御と比べると技術的には古典的で、機能面(ネットワーク連携、トリガー等)でも現代的な付加価値は限定的です[1]。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.7}\]

MC2500の現在の中古市場価格は、最近の販売データに基づくと 525,000円 程度です[2](米国市場では 3,500 USD 程度[2])。同等以上の機能・測定性能を満たし最安に近い比較対象は、Buckeye Amps Hypex NC2k モノブロック×2台(各 1,225 USD、合計 2,450 USD)です。ステレオ出力の同等性を取るためにモノブロックを2台組み合わせます(比較は完成品の組み合わせで可)。NC2kは8Ωで1600W(モノ)と十分な出力余裕を持ち、THD 0.002%(1250W/4Ω、20Hz–20kHz)やS/N 133dB等の指標でMC2500の仕様を上回ると判断できます[3]。
CPの計算は英語版に合わせUSDで行います:2,450 USD ÷ 3,500 USD = 0.70 → 0.7。なお他社の同等級NC2K系モノブロックはVTVが1,429 USD/台、Apollonが2,995€/台であり、Buckeyeが最安クラスであることも確認しています[5][6]。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.4}\]

生産終了製品のためサポートと部品供給は限定的です。堅牢な筐体・部品実装は長寿命に寄与し得る一方、経年による電解コンデンサの劣化や長年の熱ストレスは無視できません。メーカー保証は中古個体には原則適用されず、修理は専門性が高く高額になりがちです[1][2]。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.2}\]

大型・重量級筐体やオートトランス結合を重視する伝統的嗜好が色濃く、測定最適化・小型高効率化を進める現代設計の合理性には劣ります。音響的利得(実測での歪・S/N・負荷駆動性能など)に対しサイズとコストが相対的に大きく、科学的合理性の観点では低評価です[1][4]。

アドバイス

コレクション的価値やブランド整合性、プロ用途での高出力運用という文脈では魅力があります。一方で、同等以上の測定性能とより高い出力余裕低価格で満たす現代機(例:Buckeye NC2kモノ×2)があります[3][5][6]。500W/8Ω級の連続大出力が不要なら、さらに安価な現代クラスD(NCx500等)は測定面で優秀ですが、8Ω定格出力はMC2500未満のため本レビューのCP比較対象には不採用です[4]。

参考情報

[1] McIntosh Laboratory. “MC2500 (Legacy).” https://www.mcintoshlabs.com/legacy-products/amplifiers/MC2500 (参照日: 2025-08-31)
[2] HifiShark. “Used Mcintosh MC2500 Stereo power amplifiers for Sale.” https://www.hifishark.com/model/mcintosh-mc-2500 (参照日: 2025-08-31)
[3] Buckeye Amps. “Hypex NC2k Monoblock.” https://www.buckeyeamp.com/shop/amplifiers/hypex/nc2k/1_channel (主要条件: 1600W/8Ω、THD 0.002% @1250W/4Ω 20Hz–20kHz, S/N 133dB; 参照日: 2025-08-31)
[4] McIntosh Laboratory. “MC2500 Owner’s Manual (Black).” https://www.mcintoshlabs.com/-/media/Files/mcintoshlabs/DocumentMaster/us/Legacy/MC2500-BLACK-OWNERS.pdf (主要仕様: THD 0.02% 20Hz–20kHz 定格、FR 20Hz–20kHz +0/−0.25dB、DF>30、Noise&Hum −95dB; 参照日: 2025-08-31)
[5] VTV Amplifier. “Monoblock Hypex NC2000 (NC2K) NCore Amplifier 2000W.” https://vacuumtubevalues.com/vtv-amplifier/ (価格抜粋: 1,429 USD/台; 参照日: 2025-08-31)
[6] Apollon Audio. “Hypex NC2k Premium Monoblock Amplifier.” https://apollonaudio.com/apollon-audio-premium-amplifiers/ (価格抜粋: 2,995€/台; 参照日: 2025-08-31)

(2025.8.31)