MiniDSP UMIK-X
先進的なA2B配線とREW連携を備えたマルチチャンネル測定マイクアレイです。ただし66 dB(A)のS/Nはプロ用途の厳密測定としては不足で、利便性重視の用途に向きます。
概要
MiniDSP UMIK-Xは、音響測定とルームイコライゼーション向けのUSBマルチチャンネル測定マイクアレイです。パッケージにはUSB-A2Bインターフェース および UMA-4/UMA-XLモジュール(合計8または16マイク)が含まれ、24bit/44.1–48kHzで収録します。8マイク構成の基本パッケージは575 USDで、最大16chまで拡張可能です。単一ツイストペアで最大40mのオーディオ+電源伝送に対応し、UAC-2準拠、購入時にREWマルチチャンネルライセンスが付属します。
科学的有効性
\[\Large \text{0.3}\]モジュール仕様は S/N 66 dB(A)、AOP 132.5 dB SPLです。高AOPは十分なヘッドルームを与える一方、66 dB(A)のS/Nは低レベル信号の精密測定には不足で、問題レベルの閾値(≒80 dB)を下回ります。システムとしての包括的第三者測定(例:THD対SPL)は公開されておらず、評価はメーカー仕様に依拠します。
技術レベル
\[\Large \text{0.9}\]A2Bにより、1本のツイストペアで電源・音声を最大40m伝送し、デイジーチェーンで16chまで拡張できます。UAC-2準拠とクロスプラットフォーム対応、REW v5.20+のマルチチャンネル機能に公式対応(ライセンス付属)により、単一マイクの再配置では困難な分散測定を現実的な運用にします。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{1.0}\]機能・測定性能で同等以上(4ch以上の校正済みアレイ、マルチチャンネル同時収録、REW連携等)を満たすより安価な製品を確認できませんでした。UMIK-Xの8ch基本構成は575 USDで、この能力セットに対する事実上の最安水準です。そのためCPは1.0です。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.5}\]保証は1年です。ドキュメントとコミュニティは充実しています。過去のUMIK-1でUSB認識不良等の報告がある一方、公式サポート窓口が整備されており、総じて業界標準的なサポート体制です。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.9}\]複数点を一括測定して再現性を高めるという目的に対し、A2B配線、感度マッチング、REW連携といった実装は合理的です。測定効率と運用性を直接高める設計だといえます。
アドバイス
マルチチャンネルの効率と再現性を重視する用途に適しています。低ノイズ・超高精度が最優先であれば高S/Nの単一マイク構成も検討してください。空間分散やマルチサブ最適化のような作業では、UMIK-Xの利便性が優位に働きます。
参考情報
[1] miniDSP – 「UMIK-X – USB Multichannel Microphone Array」 https://www.minidsp.com/products/acoustic-measurement/umik-x-multichannel-mic
[2] miniDSP Support – 「What is the warranty on miniDSP products?」 https://support.minidsp.com/support/solutions/articles/47000681533-what-is-the-warranty-on-minidsp-products-
[3] miniDSP Community – 「UMIK-1 stopped working」 https://www.minidsp.com/community/threads/umik-1-stopped-working.10538/
[4] miniDSP – 「UMA-XL – A2B MEMS microphone module」(カプセル型番・S/N等) https://www.minidsp.com/products/acoustic-measurement/uma-xl
(2025.9.7)