Monolith M1570

参考価格: ? 89850
総合評価
3.0
科学的有効性
0.7
技術レベル
0.6
コストパフォーマンス
0.4
信頼性・サポート
0.6
設計思想の合理性
0.7

106mmドライバーを採用した平面磁界型ヘッドホンで測定性能は堅実だが、重量と異なるイヤーパッドによる周波数特性の不整合が課題

概要

Monolith M1570はMonopriceが手がけるプレミアム平面磁界型ヘッドホンで、Linear Symmetry Magnets技術を採用した106mm大径ドライバーをオープンバック設計に搭載しています。Audeze LCD-Xなどの高級機種に対するコストパフォーマンス重視の代替品として位置づけられ、2種類のイヤーパッド(ラムスキンとベロア)、ミニ4ピンXLR接続、5年間の包括的保証が付属します。Monopriceの直接調達ビジネスモデルによる手頃な価格で平面磁界型の性能を求めるオーディオ愛好家をターゲットとしています。

科学的有効性

\[\Large \text{0.7}\]

M1570はG.R.A.S.研究所機器による第三者検証を含む良好な測定性能を示します[1]。周波数特性測定では1kHz以下でフラットな性能と3kHzでの制御された+4dBピークを示し、過度なトレブルピークを持つ典型的な平面磁界型よりも大幅に優れています。しかし第三者測定により、ラムスキンイヤーパッドは問題のある共鳴と1-2kHz間の憂慮すべきヌルを示す一方、ベロアパッドはより平坦な応答を提供することが確認されています[1]。Audio Science ReviewによるGras 45C標準機器を使用した測定でもこれらの知見が検証され、フェイクレザーパッドは共鳴を示すラフな周波数応答パターンを生成します。100dBでのTHD仕様0.1%未満は極めて大音量でも聞こえないレベルの歪みという第三者確認により、優秀な測定性能を実証しています。第三者感度測定101.1dB/mWは、メーカー仕様96dB/mWを大幅に上回り、高効率動作を提供します。

技術レベル

\[\Large \text{0.6}\]

M1570は106mm平面磁界型ドライバーとLinear Symmetry Magnetsシステムにより適度な差別化を図った堅実な現代技術を表しています。デュアルマグネットアレイと独自磁気構造は、OEM調達ではなく自社開発を示唆しています。ドライバーサイズは大多数の競合製品を上回り、歪み低減とダイナミクス向上で理論的な利点を提供します。しかし設計は純粋にアナログ/機械的アプローチに依存し、DSPやワイヤレス接続などの最先端技術によるデジタル統合を欠いています。この技術はドライバーのスケーリングと磁気最適化を超える大きな革新を欠くものの、適切な現代的平面磁界型の実装を表しています。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.4}\]

現在の市場価格599 USDにおいて、M1570は同等以上の代替製品から強い競争圧力を受けています。HiFiMan Sundaraは、ラムスキンパッド使用時のM1570の問題のあるヌルを除去する1.5-3kHz域でのより平坦な測定周波数特性、適切な感度、オープンバック設計を、現在の市場価格229 USDで提供します[2]。Audio Science ReviewおよびSoundStage!の第三者測定では、M1570がフェイクレザーパッド使用時に共鳴問題を示す重要な中音域でSundaraのより線形な周波数特性が確認され、両製品は同等の平面磁界型技術とオープンバック設計を提供します。CP = 229 USD ÷ 599 USD = 0.38、四捨五入で0.4。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.6}\]

M1570は業界標準の2年間を大幅に上回る5年間の強固な保証を提供します[1]。しかし信頼性上の懸念として、イヤーカップを一時的に押すことで修正が必要な内部接続問題のユーザー報告や、保証交換を必要とするドライバー故障があります[3]。Monopriceのカスタマーサービスは歴史的にメール未返答や不十分なフォローアップの苦情により低評価を受けていますが、最近の報告では保証問題に対するより迅速な部品出荷により改善の兆候が見られます[4]。堅牢な平面磁界型設計は本来的な耐久性の利点を提供しますが、文書化された接続およびドライバー故障が延長保証の利点を相殺しています。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.7}\]

Monopriceは測定可能な性能パラメータを損なうことなくマークアップ層を排除する直接メーカー調達により、概ね合理的な設計思想を実証しています[5]。このビジネスモデルは機能と測定性能に直接貢献するコスト最適化を実現しています。デュアルイヤーパッドシステムは測定可能な周波数応答の違いを持つ意味のあるサウンドチューニングオプションを提供します。技術採用は保守的ながら適切で、主観的設計要素や不要なプレミアム素材なしに実証済みの平面磁界型アプローチを使用しています。M1570はドライバー技術と測定性能において以前のM1060シリーズからの明確な進歩を表しています。しかしデジタル処理、ワイヤレス技術、先端材料科学を積極的に統合する企業と比較すると、アプローチはやや保守的に留まっています。

アドバイス

M1570は拡張保証を重視し、大幅な重量(670g)を気にしない平面磁界型愛好家に堅実な測定性能を提供します。周波数特性の線形性向上のためベロアイヤーパッドを選択し、ラムスキンパッドの共鳴問題と1-2kHzヌルを避けてください。しかしHiFiMan HE400SEは優れた測定性能、劇的に優れた快適性、67850円安い価格を提供します。5年保証があなたの使用ケースで特に価値がある場合を除き、HE400SEがより良い総合価値を表します。ヘッドホンの重量に敏感なユーザーや長時間リスニングが必要な場合は、Dan Clark Audio Æon 2シリーズなどのより軽量な代替品を検討してください。60オームインピーダンスに対する適切な増幅を確保してください。ただし効率は大多数の消費者向けソースに十分です。

参考情報

[1] SoundStage! Solo - Monoprice Monolith M1570 Headphones, https://www.soundstagesolo.com/index.php/equipment/headphones/236-monoprice-monolith-m1570-headphones, 2025年9月25日アクセス, G.R.A.S. Model 43AG ear/cheek simulatorとClio 10 FWアナライザーを使用した測定; Audio Science Review - Monoprice M1570C Review, https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/monoprice-m1570c-headphone-review.45837/, 標準化されたGras 45Cを使用した測定でフェイクレザーパッドの共鳴問題を確認

[2] HiFiMan HE400SE公式製品ページ, https://store.hifiman.com/index.php/he400se.html, 現在の市場価格約22000円, Audio Science Reviewによる第三者測定で1.5-3kHz域での平坦な周波数特性と低歪み性能が確認された仕様

[3] Head-Fi.org ユーザー報告, Monolith M1570 ディスカッションスレッド, https://www.head-fi.org/threads/monoprice-monolith-m1570.884639/, 接続問題と保証交換体験, 2025年9月25日アクセス

[4] Head-Fi.orgとレビューサイトに文書化されたMonopriceカスタマーサービス体験, https://www.head-fi.org/threads/the-deals-discussion-thread-read-the-first-post.692119/, 2024-2025年の通信問題と注文遅延に関する複数ユーザー報告

[5] Monoprice会社情報, https://www.monoprice.com/pages/about-us, 直接調達ビジネスモデルとブランド理念, 2025年9月25日アクセス

(2025.9.25)