Neumann U 87 Ai

参考価格: ? 480000
総合評価
3.1
科学的有効性
0.8
技術レベル
0.7
コストパフォーマンス
0.1
信頼性・サポート
0.9
設計思想の合理性
0.6

業界標準のマルチパターン・コンデンサ。測定値は優秀で設計も成熟、高いサポート持続性が特長です。一方で設計思想は科学的ながら保守的で、同等以上の多パターン代替が大幅に安価なため、価値面は厳しい評価になります。

概要

Neumann U 87 Aiは、無指向性/単一指向性/双指向性の3パターンと20 Hz–20 kHzの帯域、ローカットと10 dBパッドを備える大型ダイアフラム・コンデンサで、ボーカルやナレーション収録の定番として広く用いられています[1]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.8}\]

等価雑音は12 dB-A(カーディオイド)、15 dB-A(無指向)、14 dB-A(双指向)、S/Nは79–82 dB-A、THDは117 dB SPL(パッド使用で127 dB SPL)まで0.5%以下です。周波数応答は概ねフラットで、高域の穏やかなプレゼンス上昇が明瞭性に寄与します[1]。

技術レベル

\[\Large \text{0.7}\]

二重膜カプセルの圧力勾配型トランスデューサー、3パターン切替、ローカット、パッドなど、成熟した実装です。ヘッドアンプは最短経路のFET回路でトランス結合バランス出力(公称200オーム)を採用しており、堅実かつ標準的な選択です[1]。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.1}\]

最安の同等以上:sE Electronics sE2300(3パターン、ローカット/パッド搭載)。カタログ値で自己ノイズ9 dB-A(カーディオイド)パッド使用時の高SPL耐性など、主要指標は同等以上です[2]。
計算(米国市場): 399 USD ÷ 3,595 USD = 0.111 → 0.1

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.9}\]

堅牢な構造と長年のプロ現場での実績から耐久性は高いと評価できます。Neumannはグローバルなサービス拠点網を持ち、1947年以降に製造された全マイクの修理に対応するなど、一般的期間を大きく超えるサポート持続性を提供しています[1][4]。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.6}\]

測定を重視し非科学的主張を排した設計思想で、パターン/フィルター統合も実用的です。一方でアプローチは保守的で革新性は控えめ、測定上の上積みに対する価格最適化も限定的なため、スコアは中庸よりやや高めに留めています。

アドバイス

ブランド指名や音色指定がある案件では依然として安全な選択です。一方で透明な多パターン収録が目的なら、sE2300が主要機能と指標を満たしつつ大幅に安価です[2]。名の通った代替としてはAKG C414 XLSも実用的です[3]。

参考情報

[1] Neumann, 「U 87 Ai – Data & Diagrams」, https://www.neumann.com/en-us/products/microphones/u-87-ai (参照 2025-08-27)。主な数値:等価雑音(パターン別)、S/N、最大SPL(0.5% THD)、トランス結合出力。
[2] sE Electronics, 「sE2300 User Manual / Specifications (v1.7)」, https://seelectronics.com/wp-content/uploads/2021/11/sE2300UserManualv1-7.pdf (参照 2025-08-27)。主な数値:9 dB-A自己ノイズ(カーディオイド)、パッド/ローカット、最大SPL。
[3] AKG, 「C414 XLS – Reference Multipattern Condenser Microphone」, https://www.akg.com/microphones/condenser-microphones/C414XLS.html (参照 2025-08-27)。
[4] Neumann, 「The Neumann Service Philosophy」, https://www.neumann.com/en-us/serviceundsupport/service (参照 2025-08-27)。

(2025.8.28)