Philips SHP9600

参考価格: ? 11500
総合評価
1.6
科学的有効性
0.2
技術レベル
0.3
コストパフォーマンス
0.4
信頼性・サポート
0.6
設計思想の合理性
0.1

重大な周波数特性の問題と高い歪みレベルを持つオープンバック型ヘッドホン

概要

Philips SHP9600は50mmネオジウムドライバーを搭載したオープンバック型オーバーイヤーヘッドホンです。当初はMSRP 129.99米ドル(約11,500円)でカジュアルリスニング向けのミドルレンジ製品として位置づけられ、金メッキ接続端子付きの着脱式3mケーブルと3.5mmおよび6.3mmアダプターを付属しています。「完璧にチューニングされた」ドライバーと「純粋な高音域」という宣伝文句にも関わらず、第三者測定では性能に大きな限界があることが明らかになり、これらの主張と矛盾しています。Philips公式製品ページでは廃盤を示していますが、サードパーティ小売業者やAmazonを通じて依然として入手可能です。

科学的有効性

\[\Large \text{0.2}\]

DIY-Audio-Heavenの第三者測定に基づくと、SHP9600は深刻な性能不良を示しています。周波数特性では1kHzから5kHzにかけて大幅な-10dBの落ち込みがあり、ヘッドホンの問題レベルである±3dBを大きく超えています[1]。ただし、DIY-Audio-Heavenは、ドライバーが角度をつけて配置されているため、実際の3kHzの落ち込みは耳介ゲインにより2-4kHz間で約5dB浅くなることを指摘しています[1]。THDは30Hzで10%に達し、100Hzでも1%を超えており、これらはヘッドホンの問題レベルである0.5%を大幅に上回っています[1]。周波数特性の偏差は依然として重大な可聴的妥協を示し、ヘッドホンを許容可能な性能基準を下回るレベルに位置づけています。100Hz以上で良好なチャンネルマッチングを達成していますが、周波数特性の不規則性と高い歪みレベルの組み合わせにより、最低評価層に該当します。

技術レベル

\[\Large \text{0.3}\]

SHP9600は角度配置という軽微な実装詳細を持つ標準的な50mmネオジウムドライバーを採用しており、音響的な利点は限定的です。オープンバック設計と金メッキコネクター付き着脱式ケーブルは、革新的な差別化のない確立された成熟技術を表しています。独自特許、最先端技術の採用、独特な技術的専門知識の証拠は存在しません。アナログ専用設計は、現在の技術リーダーシップを特徴づけるデジタル処理、ソフトウェア最適化、測定ベースの高度チューニングアプローチの現代的統合を欠いています。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.4}\]

現在の市場価格約11,500円において、SHP9600は測定性能で同等以上のSuperlux HD668B(約4,500円)と比較されます[2]。HD668Bは50mmドライバー、58Ω インピーダンス、着脱式ケーブル、セミオープン設計という同等のユーザー向け機能を提供し、DIY-Audio-Heavenの第三者測定でSHP9600の深刻な周波数特性偏差(1kHzから5kHzにかけて-10dBの落ち込み)を解決するより平坦な周波数特性を実証しています[2]。SHP9600の高歪みレベル(30Hzで10%THD、100Hzで1%超)に対し、HD668Bも低周波数で高歪みを示すものの、中音域では改善された性能を示しています。

CP = 4,500円 ÷ 11,500円 = 0.4

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.6}\]

Philipsは標準的な12-24ヶ月保証期間とグローバルサポート体制、国際保証認証を提供しています。最小限の部品を持つシンプルなパッシブ設計は、本質的に故障の可能性を減らします。しかし、製品の不確実な入手可能性状況と公式サポートの縮小により、将来的な保証サービスと部品供給が制限される可能性があります。Philipsは50年以上のヘッドホン経験を持つコンシューマーエレクトロニクスでの確立された実績を維持しており、製造品質に合理的な信頼性を提供しています。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.1}\]

SHP9600の設計思想は重大な非合理性を示しています。「完璧にチューニングされた」ドライバーと「クリアな低音、バランスの取れた中音域、純粋な高音域」というマーケティング主張は、深刻な周波数特性偏差と高歪みレベルを示す測定性能によって直接矛盾されています。保守的なアプローチは、測定ベースの最適化や現代的なコスト削減技術なしに成熟技術のみに依存しています。性能主張の科学的検証を示唆する証拠はなく、製品の廃盤は限られた市場成功を示しています。設計は合理的なコスト効率性や意味のある技術革新を実証していません。

アドバイス

Philips SHP9600は、第三者測定で記録された根本的な性能不良により推奨できません。重大な周波数特性の不規則性と高歪みレベルは、許容基準を下回るレベルでオーディオ忠実度を損ないます。オープンバック型ヘッドホンを求める方は、メーカーのマーケティング主張に依存するのではなく、信頼できる測定源から検証されたフラットな周波数特性と低歪み測定を持つ製品を優先すべきです。測定性能で優位で大幅に安価なSuperlux HD668Bなどの代替品を検討することを推奨します。

参考情報

  1. DIY-Audio-Heaven, “SHP9600 Measurements,” https://diyaudioheaven.wordpress.com/headphones/measurements/brands-philips/shp9600/, 2025年9月24日アクセス
  2. DIY-Audio-Heaven, “HD668B Measurements,” https://diyaudioheaven.wordpress.com/headphones/measurements/brand-superlux/hd668b/, 2025年9月24日アクセス, 現在価格約4,500円(€30-35)

(2025.9.24)