Pioneer Exclusive M-4
1974年発売の純A級ステレオパワーアンプ。8Ωで50W×2、強制空冷と並列出力段を採用。廃番につき中古市場のみ
概要
Pioneer Exclusive M-4は、1974年に日本市場向け「Exclusive」ラインで登場した純A級ステレオパワーアンプです。差動入力—プッシュプル出力、各ch並列出力トランジスタ構成に加え、2基の低速ファンによる強制空冷で大きな発熱を処理します。定格は8Ωで50W×2、当時の定価は350,000円でした。現在は生産終了で中古流通のみです。[1]
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]現代の第三者測定は見当たりません。メーカー公表値として、8Ω50W+50W(20Hz–20kHz)、THD定格時0.1%(約−60dB)、1W時0.03%(約−70dB)、出力帯域幅5Hz–70kHz(IHF・両ch駆動)、周波数特性3Hz–60kHz(+0/−1dB)、ダンピングファクター30以上(8Ω)が示されています。1W時の歪率は「問題レベル(例:0.1%)」と「透明レベル(≈0.01%)」の中間に位置し、かつ現代計測での検証がないため、本評価はポリシー上の中間値(0.5)が妥当です。[1]
技術レベル
\[\Large \text{0.2}\]当時として洗練されたディスクリート設計(並列出力段、大型カットコア電源、強制空冷、直流検出+温度検知(ポジスタ)+サイリスタ保持の保護回路)ですが、現行の高効率Class-D/高度AB機に比べると測定性能・効率・熱設計面で劣ります。[1]
コストパフォーマンス
\[\Large \text{0.0}\]対象製品の代表的中古価格(作動品): 1,600 USD。[3]
同等以上の最安代替: Fosi Audio V3(Class-D)。69.99 USDから(公式)。仕様上 THD ≤0.003%、SNR ≥110dB、SINAD 88dB と明示され、実用に十分な出力とより良好な測定性能を示します。[2]
CP(最安同等品 ÷ 対象価格):
69.99 USD ÷ 1,600 USD = 0.0437 → 小数第一位へ四捨五入 → 0.0。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.3}\]約50年経過の廃番機で、メーカー保証や正規部品供給はありません。電解コンデンサ劣化やファンの摩耗、純A級による熱ストレスなどで長期安定性は現行製品に劣ります。整備はヴィンテージ専門業者依存です。[1]
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.4}\]クロスオーバー歪抑制のためA級を選ぶ思想は1970年代としては合理的でしたが、現在は効率的な方式で透明レベルが一般的に達成できます。常時高発熱・ファン依存という設計は歴史的価値はあるものの、測定的合理性では現行技術に劣後します。[1][2]
アドバイス
本機はコレクション/レストア対象としての魅力が中心です。実用最適化(透明な測定性能、低発熱、低コスト、長期安定)を重視するなら、Fosi Audio V3のような現行小型アンプが遥かに合理的です。外観や所有体験に価値を見いだす場合でも、整備費・部品確保・個体差リスクを予算に含めるべきです。[2][3]
参考情報
[1] Audio-heritage.jp「Exclusive M4の仕様(JA)」https://audio-heritage.jp/PIONEER-EXCLUSIVE/amp/m4.html
[2] Fosi Audio(公式)「V3 Mini Stereo Amplifier」https://fosiaudio.com/products/fosi-audio-v3-300w-x2-2-0-channel-hi-fi-stereo-audio-amplifier-with-tpa3255-chip
[3] eBay(作動品の代表例)「PIONEER EXCLUSIVE M4 Stereo Power Amplifier in Very Good Condition」https://www.ebay.com/itm/156784612736
(2025.8.20)