Pioneer M-25

参考価格: ? 100000
総合評価
2.1
科学的有効性
0.7
技術レベル
0.3
コストパフォーマンス
0.3
信頼性・サポート
0.4
設計思想の合理性
0.4

1970年代後期のPioneer Series 20の一角を担うパワーアンプ。120W+120Wの出力とRETトランジスタを採用するも、現代の基準では測定性能と価格競争力で大幅に劣る

概要

Pioneer M-25は1977年頃に発売されたSeries 20の一角を担うパワーアンプです。8Ωで120W+120Wの出力、公称THD 0.01%(5Hz〜30kHz)、5Hz〜200kHz(+0/-1dB, 1W)の広帯域特性、ダンピングファクター100、S/N比120dBなどの仕様が示されています[1][2]。低出力域(約3W/8Ωまで)はクラスA動作、それ以上はクラスAB動作に自動切替する設計です[1]。RET(Ring Emitter Transistor)と3段ダーリントンの純コンプリメンタリPP段など、当時としては先進的な構成を採用しています[1]。現在は中古市場のみで流通しており、相場は状態により5万〜16万円程度の範囲で推移しています[5]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.7}\]

公称仕様では、定格出力時のTHDが0.01%(5Hz〜30kHz, 8Ω)、S/N比120dB、ダンピングファクター100、1W時の広帯域周波数特性(5Hz〜200kHz, +0/-1dB)と、透明域に近い指標が並びます[1][2]。第三者の最新計測データは乏しくメーカー公称値ベースでの評価である点を明記しつつ、聴感上意味のある歪・ノイズ・帯域の観点では一定水準を満たすと判断します。年代個体差とコンディションの影響が大きい点を考慮し、スコアは0.7に留めます。

技術レベル

\[\Large \text{0.3}\]

RETトランジスタの採用やクラスA/AB自動切替機構は1970年代として革新的でした。しかし現代の視点では既に陳腐化した技術です。ICやデジタル制御を活用した現代のアンプ設計と比較すると、ディスクリート構成による物量投入に頼った古典的アプローチに留まっています。測定性能も現代の廉価なClass-Dアンプに劣り、技術的優位性は失われています。設計の独自性は認められるものの、現在では他社が欲する有効技術ではありません。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{0.3}\]

中古市場での一般的な取得価格の基準を10万円とし(相場範囲の中央値、参考[5])、同等以上の機能・測定性能を満たす世界最安クラスの現行品としてBehringer A800を比較対象に選定します。A800はステレオ・パワーアンプで、8Ωで120W/ch以上を実測で達成し、総合的な歪・ノイズも良好と報告されています[3]。Amazon等での実勢価格は約29,900円(参考)で、計算は次の通りです。29,900円 ÷ 100,000円 = 0.299 → 0.3。機能面(ステレオPA、ライン入力、スピーカー駆動能力)と実測性能が一切劣らない範囲での最安比較に基づく評価です[3][4]。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.4}\]

40年以上経過した製品のため、部品劣化やメンテナンス性に課題があります。Pioneerは現在もメーカーとして存続していますが、本製品の公式サポートは既に終了しています。コンデンサ等の消耗部品交換が必要な個体が多く、修理費用が追加でかかる可能性が高いです。中古品のため個体差も大きく、購入時の状態確認が重要となります。保証期間も中古販売店の短期間に限定されるため、長期利用の信頼性は低いです。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.4}\]

クラスA/AB自動切替やRETトランジスタ採用など、当時の音質追求姿勢は評価できました。しかし現代の観点では非合理的な側面が目立ちます。同じ予算で現代のClass-Dアンプを選べば、より優秀な測定性能と追加機能(Bluetooth、DSP等)を得られます。物量投入による高コスト化は現代の効率的設計思想と対極にあります。アナログ回路への固執も、デジタル制御による高精度化が可能な現代では時代遅れです。専用オーディオ機器として存在する必然性は薄く、汎用機器による代替が合理的です。

アドバイス

Pioneer M-25の購入を検討される方は、現行の低価格帯パワーアンプでも同等以上の出力・測定性能が入手可能である点を理解する必要があります。ビンテージとしての所有満足以外の目的(純粋な性能/価格)では積極的には推奨できません。同価格帯なら現行の計測実績あるモデル(例:Behringer A800)を選ぶことで、優秀な測定性能と入手性・保証面のメリットを得やすいです[3][4]。どうしても本機を選ぶ場合は、技術者による事前点検や主要部品交換を含むメンテナンス費用を織り込み、良質個体を選定してください。

参考情報

[1] HiFi Engine, “Pioneer M-25 Manual/Specifications,” https://www.hifiengine.com/manual_library/pioneer/m-25.shtml(参照日: 2025-08-09)

[2] Audio-Database.com, “Pioneer M-25,” https://audio-database.com/PIONEER-EXCLUSIVE/amp/m-25-e.html(参照日: 2025-08-09)

[3] Audio Science Review, “Behringer A800 Amplifier Review and Measurements,” https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/behringer-a800-stereo-amplifier-review.10499/(参照日: 2025-08-09)

[4] Amazon.co.jp, “Behringer A800 実勢価格,” https://www.amazon.co.jp/s?k=Behringer+A800(参照日: 2025-08-09)

[5] aucfan(オークファン)検索結果, “Pioneer M-25 中古相場(ヤフオク),” https://aucfan.com/search1/q-pioneer%20m-25/s-ya/(参照日: 2025-08-09)

(2025.8.9)