Polk Audio Monitor XT30
Hi-Res認証を備えるエントリー向けセンター。測定上の中域の乱れとMTM特有の水平指向性の制約はあるものの、公開計測で同等以上の性能を満たすより安価品が見当たらず、CPは上限の1.0です。
概要
Monitor XT30は、デュアル5.25インチウーファーと1インチ・テリレン・ドームツイーターを搭載したパッシブのセンタースピーカーです。Monitor XTシリーズの一員として2021年に登場し、40kHzまでの拡張高域を備えるHi-Res Audio認証や、サラウンド用途(Dolby Atmos/DTS:Xデコード環境での使用)に向く基本仕様を提供します。公称仕様は55Hz–40kHz、−3dB 77Hz–26kHz、感度89dB(2.83V/1m)です [1][2]。
科学的有効性
\[\Large \text{0.5}\]第三者のKlippel NFS計測(ANSI/CTA-2034)によれば、XT30は中域に不整があり、2ウェイMTMセンターに典型的な水平オフアクシスの乱れが見られます。Spinorama集計ではPreference(Tonality)3.21(理想サブ想定5.83)、周波数偏差3.0 dB(300Hz–5kHz)、−3dB点約77.6 Hzが報告されています [3][4]。高レベル時には歪みと瞬時コンプレッションの影響も無視できません [3]。可聴閾内での完全な透明性には届かず、0.5と評価します。
技術レベル
\[\Large \text{0.4}\]構成は一般的なMTMレイアウト(リアバスレフ、ファブリック系ドーム、紙/バイラミネートコーン)で、特筆すべき独自技術は限定的です。40kHz拡張やHi-Res認証は適切に実装されていますが、技術的独創性は高くありません [1][2]。
コストパフォーマンス
\[\Large \text{1.0}\]価格(分母):22,490円(135 USD)。国内は量販店の実勢(例:ヨドバシ 22,490円)を確認、国際基準としてUSDは公式ページの135 USDを用いました [1][8]。同等以上の機能・測定性能を満たし、かつより安価なセンタースピーカーを探索しましたが、例えばJBL Stage A125C(約120 USD)はSpinoramaのPreference 2.32で等価条件を満たしませんでした [5]。公開計測の範囲でより安価な同等以上品が存在しないため、CP=1.0とします。
信頼性・サポート
\[\Large \text{0.7}\]正規販売経由のパッシブ・ホームスピーカーは5年間保証が明記されています [6]。パッシブ機でソフト更新の要素はなく、シリーズとしての成熟度も高いことから、平均以上と判断します。
設計思想の合理性
\[\Large \text{0.7}\]測定に基づく仕様を開示し、現実的なコストで一般的な要件(サブウーファー併用での80Hz付近クロスなど)に対応する設計は合理的です。MTMの水平指向性という物理的制約は残るものの、不可検証な主張に依存しない点を評価します [1][3]。
アドバイス
正面付近の座席を中心とした視聴と、約80Hzでのサブウーファー連携を前提にすれば、XT30はエントリーのセンターとして機能します。測定上の改善を重視して上位を目指すなら、ELAC Uni-Fi 2.0 UC52(Preference 4.85)のようなモデルが有力ですが、価格は大きく上がります [7]。予算最優先でさらに安価に抑える場合はJBL Stage A125Cも候補になりますが、測定性能はXT30を下回ることに注意してください [5]。
参考情報
[1] Polk Audio, “Monitor XT30 – High-Resolution Center Channel Speaker,” 価格/仕様, https://www.polkaudio.com/en-us/product/home-speakers/center-channel/monitor-xt30/300150.html, 2025-08-18参照。
[2] Polk Audio, “Monitor XT30/XT35 Info Sheet (PDF),” 主仕様, https://www.polkaudio.com/on/demandware.static/-/Library-Sites-polk_northamerica_shared/default/dw4613d353/downloads/monitor-xt30-xt35-infosheet-en.pdf, 2025-08-18参照。
[3] Erin’s Audio Corner, “Polk Monitor XT30 Center Channel Speaker Review,” 計測一式(CTA-2034), https://www.erinsaudiocorner.com/loudspeakers/polk_xt30/, 2022-01-08公開, 2025-08-18参照。
[4] Spinorama.org(Erin計測由来), “Measurements for Polk Audio XT30,” 要約指標(Preference 3.21, 偏差3.0 dB, f-3 dB ≈ 77.6 Hz), https://www.spinorama.org/speakers/Polk%20Audio%20XT30/ErinsAudioCorner/index_eac.html, 2025-08-18参照。
[5] Spinorama.org(ASR計測由来), “Measurements for JBL Stage A125C,” 要約指標(Preference 2.32)と価格目安, https://www.spinorama.org/speakers/JBL%20Stage%20A125C/ASR/index_asr-horizontal.html, 2025-08-18参照。
[6] Polk Audio, “Warranty (US) – Home Audio Passive Speakers,” https://www.polkaudio.com/en-us/warranty.html, 2025-08-18参照。
[7] Spinorama.org(Erin計測由来), “Measurements for Elac Uni-Fi 2.0 UC52 Center,” 要約指標(Preference 4.85), https://www.spinorama.org/speakers/Elac%20Uni-Fi%202.0%20UC52%20Center/ErinsAudioCorner/index_eac-horizontal.html, 2025-08-18参照。
[8] ヨドバシカメラ, 「ポークオーディオ センタースピーカー MXT30」価格(22,490円), https://www.yodobashi.com/product/100000001006717196/, 2025-08-18参照。
(2025.8.19)