Shure SM35-TQG

参考価格: ? 13900
総合評価
3.3
科学的有効性
0.6
技術レベル
0.5
コストパフォーマンス
1.0
信頼性・サポート
0.6
設計思想の合理性
0.6

ShureのSM35-TQGは、ボーカル/MC用途に最適化されたカーディオイド型のヘッドセット・コンデンサーマイクです。高い最大音圧(メーカー測定で151.3 dB SPL, 1% THD, RPM400併用)と良好なS/N(59.2 dB, A-weighted)、堅牢な装着系を備え、ライブ現場でのハウリング耐性と取り回しに優れます。汗・湿気への耐性はSM31FHに譲るものの、指向性の明確さと音圧耐性のバランスが強みです。

概要

SM35-TQGはShureのヘッドセット型カーディオイド・コンデンサーマイクで、TQG(TA4F)端子を採用し、Shureワイヤレス送信機に直接接続できます。XLR直結は純正のRPM400TQG(TQG→XLRの有線プリアンプ、ファンタム必須)により可能です。周波数特性40 Hz–20 kHz、等価入力雑音34.8 dB SPL(A)、S/N 59.2 dB、ダイナミックレンジ116.5 dB、最大音圧151.3 dB(いずれもメーカー測定、RPM400併用条件明示)で、歌唱やスピーチの近接使用に適します。風防はスナップ式が2個付属し、交換アクセサリRK378も用意されています[1]。

科学的有効性

\[\Large \text{0.6}\]

メーカー公開の測定データ(RPM400併用条件)に基づき、最大音圧151.3 dB(1% THD)、等価入力雑音34.8 dB SPL(A)、S/N 59.2 dB、ダイナミックレンジ116.5 dBを確認しています[1]。カーディオイド指向により舞台ノイズやスピーカからの回り込み抑制が期待でき、近接での実用S/Nは良好です。ヘッドセット構造上、マイク位置が一定になりやすい反面、口元との距離・角度依存やオフアクシス時の色付けは残ります。第三者の網羅的ベンチ計測は限られるため、本項は主に公式仕様ベースの慎重評価です。

技術レベル

\[\Large \text{0.5}\]

小型カプセル+カーディオイド指向の定番設計で、最新のDSP/ネットワーク技術の導入は性質上不要です。Shureの装着系やポップノイズ対策など実装の練度は高く、交換アクセサリや有線化用RPM400TQGの純正ソリューションが用意される点は強みです[1]。一方で、測定面のブレイクスルー(たとえば自己雑音の大幅低減や極端な広帯域化)があるわけではなく、総合的に平均的な技術水準と判断します。

コストパフォーマンス

\[\Large \text{1.0}\]

米国市場価格は109 USD(SM35-TQG, Sweetwater)です[2]。等価比較対象はSennheiser ME 3-II(カーディオイド・ヘッドセット、最大150 dB、同等のTQG→XLR運用が可能)で、実勢は144 USD(Thomann USA)です[3][9][10]。またAKG C520は最大音圧126/130 dB(1%/3%)で性能的に下位[6]、Shure PGA31は145 dB(3%)で上限が低く同等未達です[4][5]。同等以上の機能・測定性能を満たしつつSM35より安価な製品は確認できないため、CPは上限の1.0とします。国内参考価格は13,900円(税込、Sound House)です[8](CP算出自体は米国価格109 USDを基準)。

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.6}\]

Shureはグローバルなサポート網と修理受付を提供し[7][8]、多くのマイク製品で2年保証(地域・製品により異なる)を案内しています[7]。構造はシンプルで、風防・クリップの交換部品(RK378)も入手容易です[1]。長期実測の故障率データは公表が限られるため平均を基準に、サポート体制加点を踏まえ0.6としています。

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.6}\]

ヘッドセット一体型・カーディオイドという合理的な解で、PA現場の実利(ハウリング耐性・安定した口元距離)に直結します。無意味な装飾やオカルト的主張はなく、コストは機能に寄与しています。一方で、汗対策の最優先なら同社SM31FH(耐汗設計)が適するなど、用途分化の余地は残ります[2]。総じて実用理性は高めです。

アドバイス

ライブボーカル/MCで両手を空けたい、かつ回り込みを抑えたい用途に最適です。高音圧に強く、発声が大きい場面やドラム/モニタが近い環境でも余裕があります[1]。激しい運動や汗が多い現場では耐汗性に優れるSM31FHのほうが安心です[2]。有線接続RPM400TQG+ファンタムで容易、風防消耗時はRK378で即復旧できます[1]。競合ではME 3-IIが同等クラスですが価格は上、C520/PGA31は最大音圧面で一段下です[3][4][5][6][10]。

参考情報

  1. Shure — SM35 User Guide (en-US), https://pubs.shure.com/view/guide/SM35/en-US.pdf, accessed 2025-08-30(測定条件:RPM400併用、A-weighted等の表記を含む)
  2. Sweetwater — Shure SM35-TQG Headworn Microphone, https://www.sweetwater.com/store/detail/SM35TQG–shure-sm35-headworn-microphone-for-shure-wireless, accessed 2025-08-30
  3. Sennheiser — ME 3-II Product Specification (PDF), https://www.sennheiser.com/globalassets/digizuite/41606-en-sp_1167_v2.1_me_3_product_specification_en.pdf, accessed 2025-08-30
  4. B&H — Shure PGA31 Headset Condenser Microphone, https://www.bhphotovideo.com/c/product/1039529-REG/shure_pga31_tqg_pga31_performance_headset_condenser.html/specs, accessed 2025-08-30
  5. Shure — PGA31 Product Page, https://www.shure.com/en-US/products/microphones/pga31, accessed 2025-08-30
  6. Sweetwater — AKG C520 Headworn Microphone, https://www.sweetwater.com/store/detail/C520–akg-c-520-headworn-microphone, accessed 2025-08-30
  7. Shure — Warranty Information, https://www.shure.com/en-us/legal/warranty-information, accessed 2025-08-30
  8. サウンドハウス — Shure SM35-TQG 商品ページ, https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/198021/, 参照日 2025-08-30
  9. Shure — SM35 製品ページ, https://www.shure.com/en-US/products/microphones/sm35, accessed 2025-08-30
  10. Thomann — Sennheiser ME 3-II, https://www.thomannmusic.com/sennheiser_me3_ii.htm, accessed 2025-08-30

(2025.8.30)