SMSL SD-9

参考価格: ? 59800
総合評価
2.9
科学的有効性
0.5
技術レベル
0.4
コストパフォーマンス
1.0
信頼性・サポート
0.5
設計思想の合理性
0.5

I2SとAES/EBUを備える低価格ネットワークトランスポート。測定は概ね良好で、同等機能をより安く満たす製品は存在しません。

概要

SMSL SD-9は、ローカル/ネットワーク再生(DLNA/AirPlay)に対応するデジタルトランスポートです。I2S(HDMI)、AES/EBU、同軸、光、USBの各デジタル出力に加え、Bluetooth送受信やHiBy Linkアプリ操作に対応します。メーカー公称ではUSB/I2Sで32-bit/384kHzおよびDSD256、S/PDIFでDoP/D2Pに対応するなど、特にI2SとAES/EBUの併載は価格帯で珍しい特長です。 [2][3]

科学的有効性

\[\Large \text{0.5}\]

本機はデジタルトランスポートであり、可聴性に直結しやすいのはインターフェース動作(例:ジッタ)です。Audio Science Reviewの測定では、最良機に比べジッタスプリアスがやや高めで、24-bit/1kHzディザートーンでも高調波が観測されSINADがわずかに低下しました。ただし可聴上は問題になりにくいとの所見で、ビットパーフェクトな伝送機としては十分に機能します。明確な可聴上の優位を示す測定は現状確認できません。 [1]

技術レベル

\[\Large \text{0.4}\]

SoC+クロック管理(CPLD)、デュアルバンドWi-Fi、標準プロトコルなど、採用技術は枯れており独自DSPやルーム補正などの先進機能も見当たりません。I2SとAES/EBUの両搭載は実用的ですが、技術的独創性の根拠にはなりにくく、総じて業界平均的な実装水準と評価します。 [2][3]

コストパフォーマンス

\[\Large \text{1.0}\]

国内の参考価格は59,800円(英語版の市場価格は344 USD)。等価比較としては「ネットワーク再生」かつI2SとAES/EBUの両出力を備える最安製品を探索しましたが、Matrix Audio element S(I2S + AES/EBU)やHoloAudio RED(I2S + AES/EBU)はいずれも本機より高価でした。WiiM Ultraのような廉価ストリーマーはI2S/AES-EBUを欠くため同等ではありません。したがって、同等以上でより安価な選択肢が存在しないため、CP=1.0とします。 [4][5][6][7][8]

信頼性・サポート

\[\Large \text{0.5}\]

SMSLは販売店経由の標準保証で、ネットワーク機のファーム更新はモデルにより頻度差があるものの提供実績はあります。アナログ段を持たない設計は経年劣化要因が少ない一方で、長期的サポート体制は本分野の平均的水準と見なせます。特異な高故障率データは公知ではなく、総合的に平均評価です。(一般的情報)

設計思想の合理性

\[\Large \text{0.5}\]

外部DACを用いるユーザーに向け、I2SとAES/EBUを含む多様なデジタル出力を低コストで提供する方針は合理的です。一方、先進DSPやルーム補正などの機能強化は見られず、測定上の飛躍も確認されないため、位置づけは「実用性重視の堅実設計」に留まります。非科学的主張は見られません。 [2][3]

アドバイス

I2SとAES/EBUの両方を備える低価格ネットワークトランスポートを求めるならSD-9が実質的な最安解です。逆にI2S/AES-EBUが不要であれば、WiiM Ultraなどの廉価ストリーマーはアプリや入出力の利便性で有力ですが、本機と同等ではありません。高度な処理(ルーム補正や詳細EQ)が必要な場合は、より上位のプラットフォームやPC再生ソフトの併用を検討してください。 [4][8]

参考情報

[1] Audio Science Review, 「SMSL SD-9 Player Review」, https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/smsl-sd-9-player-review.44801/, 2025年8月28日アクセス.
[2] SMSL(公式), 「SD-9 製品ページ(英語)」, https://www.smsl-audio.com/portal/product/detail/id/751.html, 2025年8月28日アクセス. 主要仕様:USB/I2S 32-bit/384kHz & DSD256、I2S(HDMI)、S/PDIF DoP/D2P、HiBy Link。
[3] SMSL, 「SD-9 ユーザーマニュアル(PDF)」, https://doc.soundimports.nl/pdf/brands/SMSL/SD-9/SMSL%20SD-9.pdf, 2025年8月28日アクセス. I2S/SPDIF切替、固定サンプリング出力、DSD出力モード、AESの記載等。
[4] Apos Audio, 「SMSL SD-9 HiFi Network Music Player」, https://apos.audio/products/smsl-sd-9-hifi-network-music-player, 2025年8月28日アクセス. 新品実売 約343.99 USD。
[5] Apos Audio, 「Matrix element S Music Streamer」, https://apos.audio/products/matrix-element-s-streamer, 2025年8月28日アクセス. I2S + AES/EBU搭載、価格 約1,499 USD。
[6] Matrix Audio(公式), 「element S | Music Streamer」, https://www.matrix-digi.com/product/90/element_S, 2025年8月28日アクセス. AES/EBU + I2S出力の仕様。
[7] Kitsune HiFi, 「HoloAudio RED – DDC & Network Streamer」, https://kitsunehifi.com/products/holoaudio-red-ddc-network-streamer-1, 2025年8月28日アクセス. I2S(HDMI)とAES/EBUの出力、価格帯 800 USD台。
[8] WiiM(公式), 「WiiM Ultra – Overview & Specs」, https://www.wiimhome.com/wiimultra/specs, https://wiimhome.com/wiimultra/overview, 2025年8月28日アクセス. 192kHz/24-bitまで、I2S/AES-EBUは非搭載。

(2025.8.28)